57.無人島人狼(中編)
とりあえず、スタート地点の砂浜に戻ってきた。
一応、キラー陣営としてはミッションや資材集めはしない方がいいのだがサバイバー側に疑われないようにするためにも序盤は協力するフリをしたほうがいい。僕がサバイバーとして潜伏している間に四月一日さんがなんとか全員キルしてくれるだろう。
「木材...持ってきました」
「お!じゃあ、そこに置いてくれ」
「あ...はい」
〇【海斗だ】
〇【ムーブうまい】
〇【最初は疑われないようにね】
〇【いかだ作り中か】
〇【アルファはいないのかな】
拠点では佐倉さんと永久さんがせっせといかだの製作を進めていた。
「瀬良先生、食料持ってたら分けてくれないか?」
「うちもほしいなぁ」
「あ...大丈夫ですよ」
「ありがとー」
〇【葉隠から奪ったやつやんw】
〇【すでに相方が死んでるとは思わんやろなぁ】
〇【百花のやつw】
〇【二人は殺れないか】
〇【形見...】
出来れば終盤まで何もしないで潜伏していたい。こうやってサバイバーに対して友好的であるほうが白として見られやすいので有利だ。
「じゃあ...僕は通信所のほう直してきます」
「了解ー」
「いってらー」
〇【いいね】
〇【本当は四月一日くんいたらよかったけど】
〇【ここははぐれるしかない】
〇【誰かぼっちおらんかな】
〇【アルファはどこかな...?】
「とりあえず終盤までこのムーブで白め取りにいくので極力キルはしません。そのうちに四月一日さんが華麗に5キル決めてくれるはずです」
〇【葉隠...?】
〇【キルしてるんだよなぁ】
〇【極力ね、極力】
〇【白目ムーブは強い】
〇【完全に人任せで草】
〇【頼くんでも5キルはきついやろ】
まぁ、とりあえず通信所のまわりをうろうろしてキラーボックスを漁りつつアルファさんを探そうかな。
「とりあえず、アルファさんを探したいですね。自己紹介の時にいじめてきたので罰を与えなきゃならないので」
〇【おや?】
〇【草】
〇【極力キルしないって言ってたのは...?】
〇【キルしない宣言したばっかなのにw】
〇【草】
〇【こわw】
〇【アルファw】
今度は周りに誰もいないことを確認してキラーボックスを開けた。
中には地雷、斧、無線機が入っていて、持ち物がいっぱいになったので地雷だけもっていくことにした。現在持っているアイテムは食料、地雷、トラバサミ、ショットガン(残弾4発)、資材、医療キットだ。
〇【地雷は強いね】
〇【無線機いらんか】
〇【近接武器一つは持っときたいけど】
〇【上級者のアイテム欄】
〇【予習してきた?】
〇【アイテムの引き割といい】
〇【ここで資材捨てないの強い】
通信所についたので誰かいないか声をかけてみる。
「誰かいますかー?」
「お!瀬良ちゃん!」
〇【アルファw】
〇【アルファw】
〇【草】
〇【見つかってしまった...】
〇【終わったな】
〇【いたw】
「...アルファさんどこですか?」
「通信所の中にいるよー」
〇【終わったなw】
〇【tobecontinued】
〇【ほかに人おらんのか】
〇【アルファだけ?】
〇【やばい】
入る前にショットガンに弾をこめておく。もし他に誰かいた場合はサバイバーとして行動しなければいけないので一応資材に持ち替えて中に入った。
「あれ...アルファさん一人だけですか?」
「うん。さっきまで歌詠ちゃんと頼くんもいたんだけど二人で資材取りにいっちゃった」
「へぇ...」
〇【頼くんもキルしてそうだな】
〇【タイミング...】
〇【これは...】
〇【さて】
〇【アルファ終わったな】
〇【こわw】
通信所を扉を閉めて、外に出られないように陣取る。ショットガンにもちかえて通信機器を修理しているアルファさんの背中に照準を定めた。
「ふりむかないで聞いてください。自己紹介の時、僕のことイジメてきましたよね」
「えっと〜...瀬良ちゃん?」
〇【尋問だw】
〇【草】
〇【完全に尋問で草】
〇【草】
〇【さらばアルファ】
「もしかしてだけど、瀬良ちゃんがキラーなのかな〜?」
「いや、僕はサバイバーですよ」
「絶対嘘じゃん!」
〇【草】
〇【ショットガン突きつけておいてw】
〇【草】
〇【もうひとり殺してるんよな】
〇【未だにサバイバーでいようとしてて草】
〇【白々しいw】
「...さっきのいじめに対する言い訳があるなら聞きますけど」
「いやいやいや!ほら、さっきのはあれじゃん?場を和ませるためにというかー?」
「なるほど...」
「痛っ!!嘘...躊躇なく撃つじゃん!?」
〇【ギルティ】
〇【サイコリツ】
〇【真顔なの怖いw】
〇【さっきからキルするとき躊躇なくて草】
〇【草】
「みんなで脱出しようって言ったじゃん!」
「言ってないですね」
「た、助け...」
〇【殺した】
〇【映画のワンシーンやん】
〇【アルファ脱落】
〇【あと何人だ?】
〇【そろそろ怪しまれそう】
〇【エイムよすぎん?】
現時点で僕が把握している中で残っているサバイバーは拠点にいた佐倉海斗・永久千弦と資源集めに出ている桐生アリス・四季波歌詠の4人。アリス様に関してはどこにいったのかわからないので孤立したタイミングでキルされているかもしれない。
「少し一人行動しすぎたので一回拠点に戻りましょう」
〇【二人いないことは気づかれてるのかな】
〇【一旦潜伏】
〇【かなりうまくね?】
〇【いいね】
〇【アサシンリツ】
〇【白目とってこ】
そうだ。地雷も持っていることだし、アルファさんの死体をわざと見えやすいところに設置してブービートラップを仕掛けておこう。
「ここらへんでいいかな」
〇【殺意高w】
〇【いいね】
〇【陰湿やなぁw】
〇【だれかかかるかな】
〇【やっぱうまいわ】
「とりあえず最低限の仕事はしましたし、あとは四月一日さんに任せましょう。僕はサバイバー陣営で潜伏します」
〇【仕事はした】
〇【この罠でもう一人やれる】
〇【潜伏しよう】
〇【あと何人?】
〇【頼くんと情報交換した方が...】
あまり一人で行動しているとキラーだと疑われるかもしれないので、できればここで誰かと合流して拠点に戻りたい。
誰かいないか見回りながら歩いていると遠くの方から声が聞こえてきた。
「誰かー!誰かいませんのー?」
この声は....。
「あ!瀬良さん、助けてください!四月一日さんに歌詠が殺されたんです!」
「...」
〇【アリス様だ!】
〇【バレてる...】
〇【アリス様生きてたのか】
〇【バレちゃったか】
〇【殺すしか...】
〇【死んでると思ってた】
「瀬良さん...どうかしましたの?」
〇【?】
〇【固まってる】
〇【どうした?】
〇【ここでやるしかないぞ】
〇【ためらってる?】
本当ならアリス様とはかち合いたくなかった。もしかしたら、というか絶対に悠が彼女の配信を見ているからだ。自己紹介の時はみんなの声でがやがやしていたのでバレないとしてもマンツーマンでは相手の配信に僕の声ががっつりのってしまう。
本当はアリス様と一緒に拠点に戻ればかなり白目をとれるのだが...。
仕方ない。
「...すいません」
「え?なんです...って痛い!?えぇ!瀬良さんもキラー!?」
〇【声ちっちゃw】
〇【もうサイボーグやん】
〇【キルマシーン】
〇【感情ないなったw】
〇【かわいそうに】
「...」
「なんでさっきから何も言わないんですの!?怖いんですけど!やめ...やめてくだ...」
〇【ナイスキル】
〇【3キル目!】
〇【人間として生きるってなんだろう()】
〇【弾なくなったな】
〇【さっきからスタグレなしでキルしてるのふつーにやばくて草】
〇【無言でキル怖いw】
〇【うまいなぁ】
これでマガジンの弾が切れた。一応アリス様の持ち物を漁ってみるが武器らしいものは持っていない。よくこれであの四月一日さんから逃げ切れたものだ。スタングレネードを持っていたので持っていた資材と交換する。
スタングレネードは相手の視界を10秒間奪い、その地点に拘束するアイテムだ。本来ならトラバサミやスタグレで相手の動きを止めてからキルするのがいいのだが、ショットガンの場合は至近距離であれば2発でキルできる。
そのため、先程のように極限まで近づいてくれるとショットガンに切り替えて1発目を撃ち、混乱しているうちに2発目を放てば僕でも簡単にキルできる。まぁ、そのかわり弾数が6発と少ないので多くても3人までしかキルできないのだ。
さて、とりあえず死体の近くにトラバサミを仕掛けて拠点に戻ることにしよう。
 




