4.覚悟を決めよ
りつせ
@Rituse_mob
受肉しました。
3日後に配信します!
【瀬良リツ】
45件のコメント 1.4万件の高評価
最終的には【瀬良リツ】という名前で配信することなった。
ショートに中性的な顔立ち、首にチョーカーを付けて黒ワイシャツに赤いネクタイを締めているスタイルである。
正直自分の男としての欲が漏れ出ていないといえばウソになるが、オタクたちはこういう中性キャラ好きだから大丈夫だろう。言っていいのかはわからないけど、イメージはシュ〇ゲのルカ子っぽいかんじだ。
最近は自分の実力がみとめられてきたのか、フォロワーの数が5万に達し、昨冬にインディゲームのイラストの仕事が入った。地道に毎日イラストを投稿してきたおかげだろう。
ん・・・?待てよ。
仕事が入るようになったということはVになる必要がないのでは?
いやいや・・・でも、Vになればこういう風に利用することも可能だと宣伝できるわけだし・・・。
・・・。
あんまり深いことは考えないようにしよう。
それにVになってそこそこ名が知れれば僕の推し達とも絡める機会が来るかもしれないしね!
そうそう、最初からそうしようとしていたのさ!
改めて設定を確認しよう。そこまでロールプレイを重視する必要はないが、ライバーとしてはあまりリアル感を出さないほうがいい。
【瀬良リツ】
年齢:不詳
性別:不詳
仕事:フリーのイラストレーター
性別年齢不詳のジェンダーレス系Vチューバー。イラストレーターとして活動しているが、なかなか依頼が来ない。中性的なボイスと「ボク」という一人称が特徴。
まぁ、軽くこんな感じか。
性別年齢不詳にしたのはVならではのミステリアス性を醸し出すためだ。Vの中には独特の世界観でリスナーを魅了し、その動画一本に考察スレが何本もたつようなこともある。
たかだか、これくらいのことで考察はされないにしろ、リスナーのなかで想像できる余地を残しておくほうがいいのかもしれない。まぁ、後々性別云々に関しては発表してもいいかもしれないけれど。
「ふぅ・・・」
初配信の発表をして椅子に深く腰をかけると、急に不安が僕の心を襲った。
もしかしたら、配信によって傷つくかもしれない。
もしかしたら、身バレして大変なことになるかもしれない。
もしかしたら、好きなVtuberが嫌いになるかもしれない。
もしかしたら・・・。
無数の仮定条件が頭をよぎる。
正直、ここでうまくやっていけなくても推しのために行動するという理念は変わらない。しかし、夢である推しに会うという目標は大きく離れてしまう。
それにネットの世界は魔窟だ。少しでも失敗すれば吊るしあげられ、深く傷つけられる。
本当にこれからやっていけるのだろうか・・・。
不安になる僕のスマホに一通の通知が来た。
リリカ殿下の配信が始まるようだった。
【キュークラ】10万人感謝【リリカ・ルルーシア】
3,890人が視聴中
↑3478 ↓29 □
【リリカ・ルルーシア】チャンネル登録者数10.5万人
「みなさん、どうもごきげんよーー!ブルーレスト王国ルルーシア公爵令嬢のリリカ・ルルーシアです。初見の方ははじめまして。王国民の皆様はいつもありがとうございます」
〇【ごきげんよー!】
〇【ご機嫌よー!】
〇【なんか今日テンション高くね?笑】
〇【ごきげんよー!】
〇【ごきげんよー!】
「テンションも高くなりますよ!10万人ですよ、10万人!!本当はこの前のホラゲー配信の時にいってたらしいんですけど、あの時はあんまりにも怖すぎてコメントまで気が回りませんでした・・・」
〇【悲鳴SE助かる】
〇【いや10万人はめでたい】
〇【殿下も半年前と比べたら大分伸びたよね】
「いや、自分でもここまで伸びるとは・・・。何の因果かわかりませんね」
〇【殿下の実力だよ!】
〇【かわいいからだよ】
〇【殿下の実力は勿論だけど、やっぱり音MADとかがバズってたのもでかいと思う】
〇【音MAD・・・王国民ニキか】
「あぁ、やっぱり王国民さん・・・ここでは切り抜き師のかたですけど。あの方のおかげが大きいかもしれませんね。あの動画が私という存在を広く皆さんに知っていただけるきっかけになったようですし」
〇【王国民ニキは偉大なり】
〇【でも最近王国民ニキ活動してないよな?】
〇【離れた?】
〇【たしか、概要欄にしばらくお休みするって書いてあったけど】
〇【無事だといいが】
〇【↑死亡フラグやめな】
「最近、配信でもコメントしていらっしゃらないようですし、どこで何をしているのかはわかりませんが彼がまた私の配信を見に来てくれることを祈りつつ私は私で配信を頑張らないとですね!」
〇【それはそう】
〇【亡き王国民ニキに敬礼】
〇【↑いや、だから殺すなw】
「それじゃあ、今日は10万人記念にこのブルーレスト王国になにか建てようとおもいまーす!」
・・・・・・・
今年に入ってからなんやかんやと忙しくて彼女の配信を見る機会がかなり減ってしまっていた。久しぶりにみた彼女の配信を見て僕は思わず流れる涙をこらえることができなかった。
だって、推しに心配されてるんだよ?ファンとしてこれ以上のファンサはあるのか・・・。
さっきまでVになる覚悟がどうたらとうじうじしていたがリリカ殿下の配信を見て腹が決まった。言い訳はやめだ。
僕は、推しのことを同じ業界から至近距離で眺め、あわよくば絡めたりコラボができちゃったりするためにVチューバーになる!
不純な動機だろうが構わない。これが僕を突き動かす唯一無二の動機だ。
僕の夢は少しづつゴールに近づいている。
すべては僕の愛するすべての『推し』たちのために!