134.メタノヴァ2日目
○瀬良リツ
@Rituse_mob
本日は少し早いですが17時からメタノヴァ2日目あります。
ゆうが街案内をしてくれるそうです。
2021/1/11
182件のコメント 2.2万件の高評価
【メタノヴァ2日目】街を見てみよう【陽月リツ】
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【瀬良リツ】チャンネル登録者数71万人
〇【お】
〇【お!】
〇【きちゃ!】
〇【待ってた】
〇【きちゃ?】
「りっくん!起きてるー?りっくーん!」
〇【お!】
〇【ゆうちゃんの声が】
〇【ゆうちゃん?】
〇【画面真っ暗】
〇【畳?】
部屋の外から扉を叩くゆうちゃんの声が聞こえて僕は目を覚ます。
「今開けるよ…」
〇【お】
〇【寝てたのかw】
〇【起きた!】
〇【芸が細かい】
〇【お、見えた】
「おはよーりっくん!」
「おはよう…早いね」
〇【カップルかな?】
〇【てぇてぇ】
〇【かわよ】
〇【ゆうちゃん♡】
〇【かわいい】
寝起きのままの格好で僕は部屋にゆうちゃんを招き入れる。
「全然早くないよー!もう17時だよ?」
「まぁ…確かに。普通は遅いか」
〇【草】
〇【は、いしんしゃ】
〇【セラリツもすっかり配信者やね】
〇【昨日割と遅くまでやってたしね】
〇【夕方なんよね】
「今日は観光してくれるんだっけ?」
「そう!いっぱい行きたいところあるから早く準備して!」
「はいはい…」
「外で待ってるからねー」
〇【かわいい】
〇【ゆう♡】
〇【かわよ】
〇【彼女ですか?】
〇【なんだこのカップル】
「りっくん、後ろ乗ってー」
「え、これ?」
〇【お】
〇【タンデム?】
〇【バイクだ】
〇【おぉ】
〇【2人乗りできるやつ?】
身支度を整えて外に出るとサイボーグがショットガン片手に乗っていそうなゴツいハーレーに跨ったゆうちゃんが待っていた。
「ゆうちゃん、これは…?」
「リンさんに貸してもらったんだよねー。乗り方も教えてくれたし」
「へ、へぇ」
〇【リンさんありがとう】
〇【本当に面倒見てるんやな】
〇【心配そうで草】
〇【乗りたくなさそうで草】
〇【事故りそうw】
リンさんに教えてもらったとはいえこの街に来てから初めてバイクに乗った初心者のハーレーにタンデムするのは勇気がかなりいると思うんだが。
「大丈夫、大丈夫!ほらこれヘルメットね」
「ありがとう」
「ちゃんとうちのこと掴んでおいてね。飛ばすよ!」
「お手柔らかにね…」
〇【こ、わい】
〇【怖いw】
〇【大丈夫か?w】
〇【ゆうちゃんw】
〇【事故RTAあるか?】
恐る恐るゆうちゃんの腰に手を回し、僕の心配とは裏腹にそのままバイクは走り出した。
・
・
・
意外にも運転の筋がいいゆうちゃんの後ろでリアトロイトの街をゆっくり観光し、警察署や病院、おすすめの飲食店の場所を教えてもらった。
「……で、ここがゲームセンターだね」
「ゲーセンもあるんだ」
〇【すげぇ】
〇【へぇ】
〇【ゲーセン?】
〇【実際に遊べんのかな】
〇【すご】
「色んな筐体置いてあってね。スピ6とかもあるんだよ」
「え…?それは、ちゃんとやれるの?」
「できるみたいだよ。よくわからないけど協賛してるんだって」
〇【まじか!?】
〇【え!?】
〇【そうなんだ】
〇【すごくね?】
〇【すっご!!】
ゲーム会社がスポンサーについてるって普通に凄すぎない…?
「そういえばりっくんスピ6上手いんだっけ?」
「いや5はちょっとやってたけど…てか、なんで知ってるの?」
「りっくん…うちはリッキーに一番近いファンガなんだよ?」
「リッキーやめて?」
〇【草】
〇【リッキーw】
〇【中の人同士w】
〇【ただのゆうリツてぇてぇ】
〇【70万人記念配信見てて草】
普通にRP破壊してくるんだよね。
結構な確率で僕の配信見てるから迂闊なこと言えないな…。
「中入ってみる?」
「いや…今度また行こうかな」
「おっけー!一緒に行こうね」
〇【ナチュラルにデートやん】
〇【楽しみ】
〇【次の約束も欠かしませんと】
〇【楽しみや】
〇【おぉ】
出来ればカッコよくないところは見せたくないから次来るまでにはちょっと練習しようかな。
「じゃあ、最後に見せたい場所あるんだけど行ってもいい?」
「いいよ」
〇【おぉ】
〇【いいねぇ】
〇【どこだろ】
〇【景色のいい場所にね】
〇【これで付き合ってないってマ?】
そう言うとゆうは街を抜けて郊外に走り出し、左右が木々に囲まれた坂道をぐんぐん登っていく。
しばらく進むと展望台がポツンと建っている少し開けた場所にたどり着いた。
「りっくん、こっちこっちー!」
「今行くよー」
〇【かわいい】
〇【下見えるタイプの階段やん】
〇【こわぃ…】
〇【たっか】
〇【結構高いな】
ずんずんと螺旋階段を登るゆうちゃんの後ろをなるべく下をみないようにしながら追いかける。
「ほら、見てりっくん!夕陽が綺麗だよ」
「おぉ…」
〇【すげぇ】
〇【エモいな】
〇【グラフィックすごいな】
〇【エッモ】
〇【リアルだな】
街の中心部にそびえ立っているビルの間から夕日が漏れて街がオレンジ色に染まっている。
神秘的な光景に呆然としているとゆうちゃんはおもむろにスマホを取り出した。
「りっくん、ちょっとこっち来て」
「え…うん」
〇【ツーショきちゃ】
〇【かっわ】
〇【ピースしてくれ】
〇【ゆうリツてぇてぇ】
〇【てぇてぇ】
そういうとゆうちゃんは困惑する僕のことを尻目にとびきりの笑顔をスマホに向けた。
「よし!いい感じに撮れた!これSNSに上げてもいいかな?」
「えぇ…まぁ、うーん…いいけど」
「やったー!今あげるね!」
〇【かわよ】
〇【折れるんだよねw】
〇【ゆうちゃんにはとことん甘い】
〇【草】
〇【かわいい】
「インフルエンサーになるためにはこういう活動もしなきゃね」
「へぇ…」
「ほら、めっちゃいい写真でしょ!」
〇【おお】
〇【いい写真だ】
〇【かわよ】
〇【草】
〇【双子だから顔似てるな】
夕日を背景にしてシリウスもかくやというとびきりの笑顔をこちらに向けるゆうちゃんとその明るさに眩む僕が写っていた。
「うちね、本当はこの街に来た別の理由があるんだ」
「別の理由?」
〇【ほう?】
〇【本当の理由?】
〇【おお】
〇【なんだ】
〇【隠してたやつか】
「うちらが物心つく前に死んだお父さんがこの街にいるらしいの」
「え、父さんが?母さんからは病気で死んだって聞いてたけど...」
〇【お】
〇【裏設定だ】
〇【へぇ】
〇【RPしてんねぇ】
〇【ストーリーきちゃ】
「うん...でも、この前お母さんが夜中に電話で話してるの聞いちゃって」
「なる、ほど...」
〇【この街にいるのか】
〇【誰なんだろう】
〇【すげぇ】
〇【ワクワクする】
〇【ほー】
確かに事前にゆうからは父親が物心つく前に亡くなっているという裏設定があることは伝えられていたがそういうことだったとは。
「この街で有名になればもしかしたらお父さんがうちに会いに来てくれるかもしれないでしょ?」
「それは、たしかに...」
「どうしてうちらのことを放っておいてこの街で暮らしてるのかわからないけど、事情くらいは聞いておきたいじゃん?」
〇【なるほどね】
〇【有名になって見つけてもらうのか】
〇【頭いい】
〇【ゆうちゃんかしこ】
〇【かっけぇ】
「じゃあ僕も裏で探してみるよ。力になれるかはわからないけど」
「ううん、りっくんは手伝わなくていいよ」
「えぇ...」
〇【ばっさりw】
〇【草】
〇【拒絶されてて草】
〇【一刀両断やん】
〇【草】
てっきりそういう流れなのかと思ってたんだけど。
「りっくんはね、うちがお父さんを探してる間にやってほしいことがあるんだよ」
「やってほしいこと?」
〇【なんだ】
〇【別ミッションか】
〇【ほう】
〇【なんだ?】
〇【別で?】
「りっくんにしか出来ないことなんだけど...やってくれる?」
「まぁ、ゆうちゃんの頼みならなんでもやるよ」
〇【おお!】
〇【流石シスコン】
〇【親バカならぬ兄バカやね】
〇【草】
〇【シスコン】
上目遣いで僕を見上げるゆうちゃんのチャームに何も考えずに返答してしまったのが運の尽きだった。
「ホント?じゃあ、りっくんはこの街でガールフレンド作って!」
「わかった...って、ガ、ガールフレンド?!」
〇【草】
〇【ガールフレンドw】
〇【まじかw】
〇【急な無茶ぶりw】
〇【無理だろw】
え、待って...?
こんなの裏設定にも全然書いてないんだけど。
「そ!うちがお父さんを探してる間にこの街でうち以外の女の子と良い感じの関係になってね!」
「え、ちょっと待って?僕がその...彼女を作ることが父さんを探すことに何か関係があるってこと...?」
「そう!!!」
「そう...なんだ」
〇【草】
〇【絶望w】
〇【草】
〇【めちゃくちゃ笑顔で草】
〇【ゆうちゃんw】
ゆうちゃんは屈託のない笑顔を僕に向けてそう言いきった。
「いやぁ、でも...僕が彼女を作るのはかなーり難易度が高いというか...」
「でも、りっくんさっきうちの頼みなら何でも聞いてくれるって...」
「うっ...」
〇【これは草】
〇【※RPです】
〇【ゆうリツてぇてぇ()】
〇【追い詰められるセラリツ珍しいw】
〇【草】
確かに言った。
普段の僕なら言ったとしてもやっぱりなしでと言えるのだが...。
RPとして演じている陽月リツは超がつくほどのシスコンであるため、ゆうちゃんに対してなんでもやると一度言ってしまったのなら文字通りなんでもやらなければならないのである。
「わ...かっ、た」
「よし!!じゃあ、りっくんはいい感じの人見つけたらうちに教えてね!」
〇【絞りだしてて草】
〇【大丈夫かw】
〇【この街起きてこれんのかw】
〇【コミュ障なのに恋愛RPすんのかw】
〇【まじでワクワクしてきた】
まじでどうしよう...。
もういっそのこと黒森さんをこの街に呼んでこの茶番に付き合ってもらうしかないのではないだろうか...?
「そろそろ日も落ちてきたし帰ろっか!」
「...うん」
〇【声ちっさw】
〇【草】
〇【もうどうしようか考えてるやん】
〇【どうなるんだろうw】
〇【草】
さっきまで煌々と僕たちを照らしていた夕日はすっかり水平線の向こう側に沈み、あたりはすっかり薄暗くなっていた。
「レッツゴー!」
僕のブルーな気持ちなど露知らずいつも通り...いやいつもより2割増しで明るいゆうちゃんの後ろに乗って下り坂を下りて行った。




