第5話 魔法の練習 後編
最近ちょっと余裕が出来てきたのでペースアップして書いていたんですが、思ったよりも順調にかけているので調子に乗って連日投稿させて頂きます。
多少ストックが溜まってきたので出来る限りペースアップして投稿できればと思ってます。
朝食を食べ終わり、昨日はMP切れで強制終了してしまった魔法の練習を再開することにした。
『攻撃系の魔法は昨日大体習得できたようじゃな。じゃから今日は応用という事で火の魔法を使っての補助を練習してみようかの。』
『まずは全身に魔力を循環させて、身体の中に力がみなぎるイメージをするんじゃ。そして。』【ファイアアップ】サラがそう言うと。全身が薄い赤色のオーラの様なものを纏っているように見える。
『これが肉体強化の【ファイアアップ】じゃ。攻撃魔法で事足りる故、儂は殆ど使う事は無いが。これを使えば重い物を運んだり、重い武器を振るうことも出来るようになるはずじゃ。』なるほど肉体強化か、僕は腕力が低いからそれの底上げになるから、かなり便利かも。
昨日ゴブ吉から貰った短剣でさえ、ちょっと重く感じたぐらいだからな。武器なんかを使う戦闘には必須かもしれない。
早速教えてもらった通り実践してみる。
全身に魔力を循環させて、力がみなぎる・・・。イメージは出来た気がする。
【ファイアアップ】ボシュッ!!全身から激しくオーラが溢れ出す。メラメラメラ!!「ぐぉぉぉぉぉぉ!!」あれ?僕最強かも!?
『やめいやめい!お前様それは出し過ぎじゃ。』
僕は慌てて魔力循環を停止する。すると全身から溢れ出したオーラが体の中に戻っていく。
『ちょっとイメージが強すぎたようじゃな。もう少し抑えてやらんとすぐに魔力切れを起こして倒れてしまうぞ。どうやらお前様には攻撃魔法よりも肉体強化の方が向いているようじゃな。』確かに攻撃魔法を使った時よりもスムーズに魔法を使うことが出来た気がする。
しかし言われた通り、あのままの状態でいたら5分と持たず倒れていたかもしれない。それぐらいの魔力消費を感じた。
『勿論昨夜練習した攻撃魔法も十分実用範囲内じゃ。じゃが今練習した肉体強化は実用範囲以上、むしろ儂よりもすごい強化が出来ておったよ。あとは自分の魔力量に合わせた強化段階を身体で覚える事じゃな。そうすればそれだけで十分役に立つじゃろう。』
なるほど、自分の魔力量に合わせた強化か。さっきは某スーパーなサイ○人をイメージしたんだけど、もう少し弱めな湧き出す力をイメージすればいいって事かな。
【ファイアアップ】フンッ!力を込める。
全身からボワーっと緩やかにオーラが溢れ出す。思ったよりも多いが魔力がすぐに底をついてしまうほどではない。昨夜魔力切れを起こしてから少し魔力が強化されたのかな?
『安定しているようじゃな。それぐらいであれば暫く魔力も持つじゃろう。そのまま強くしたり、さらに弱くしたり、調整を練習してみるといいぞ。』サラが楽しそうに僕を見ている。
言われたように、暫くの間その状態から強くしたり弱くしたり、肉体強化のコントロールを練習した。その間もサラは僕の方をニコニコしながら眺めていた。
昨夜と同じぐらいの時間練習していたが未だに魔力切れは起こらない。昨夜よりも魔力量が増えたのか?いや肉体強化に使われる魔力量が極端に低いのかもしれない。
最初のように身体中の魔力を注ぎ込むような無理な強化をしなければ、強化したまま1日過ごせてしまう程コスパのいい魔法なのかもしれない。
小一時間撃ち続けて魔力切れを起こしてしまう攻撃魔法よりも、長時間運用できる肉体強化を使った近接戦闘の方が向いているのかもしれないな。
これからは攻撃魔法はスポットで使い、常時肉体強化で戦う方向で考えよう。
ある程度自由自在に肉体強化が出来るようになったので、次はサラが専門じゃないからと消極的だった風魔法を習うことにした。
『風の魔法に関しては儂も殆ど知らぬ。シルフ姉さんが使っているのを見たことがある程度なので。最低限どんな事が出来るのかという程度の知識しか与えてやれぬが許してほしい。そのヒントから自分で色々見つけて貰えるとありがたいんじゃが。』すまなそうにいうサラ。
「自分の専門じゃないからと、何も教えてくれないよりましさ。なんとかヒントだけでもというサラの優しさがとても嬉しいよ。」サラに笑顔を向ける。
『お前様の笑顔はとても綺麗じゃな。惚れ惚れするわい。』サラが嬉しそうに言った。
『さて、その笑顔で儂も元気いっぱい貰ったから頑張って教えるぞ!』
『まずは空気の塊が飛んでいく魔法じゃな。【エアバレット】とでも唱えればよいじゃろう。』
「空気の塊か、火の塊を空気に変えたような感覚でいけるかな?。」頭の中でイメージする。
【エアバレット】イメージしたように火の塊の代わりに空気の塊を飛ばしてみる。
ふわぁ~~。
ちょっと強めの涼しい風が吹く。
少しイメージが違うようだな・・・。
「空気の塊かぁ。もっとこう空気を圧縮して小さく小さく硬くなるぐらい、ぐーーーーーーっと。」手でぎゅっぎゅっと空気を握るように・・・。そんなイメージを膨らませて。
【エアバレット】ブンッ!!見えない空気の塊が前方に飛んでいく、物凄い速度で。
コントロールしようとしたがうまくいかず、前方にあった木に命中し幹がはじけ飛ぶ。支えを失った木が倒れていく。
「コントロールが難しいみたいだなぁ・・・。」
『おそらく加護がないから火の魔法程上手くコントロールできないんじゃろうな。イメージをうまくあてることが出来なかったのも同じ理由じゃろう。普通の人間は加護など無いから、いくら素養があってもかなりの時間をかけないと魔法など使えないものなんじゃよ。それが1回の失敗で空気の塊を出せるようになった事だけでも素晴らしい事じゃよ。さすが疾風じゃな。』サラは自分の事のように嬉しそうにぴょんぴょんしながら喜んでくれた。
「そんな風に言ってもらえると凄く嬉しいな。」そうか、むしろ昨夜から練習している魔法も、教えてもらってからすぐ使えてる時点で凄い事なのか・・・。少し自信が持てたぞ。
それにしてもこんなに喜んでくれると頑張ってやっていこう!って気になれるなぁ。サラは先生に向いてるなぁ。もし人間に生まれ変わったら先生になると良いと思うな。
そしてサラ先生の授業を受けたい。女教師サラ、ちょっとエロい響きだ。気に入った
『おい、なんじゃ変な事考えとるな?まぁ別に悪い気はせんから良いんじゃが。』サラは顔を赤らめて頬を掻いた。
僕が頭の中で考えてる事バレバレなんだった。あまりエロい妄想しないように気をつけよう・・・。
『じゃぁ気を取り直して次の魔法にいくぞ。次は風の刃で対象を切り裂くイメージで【ウインドエッジ】というのはどうじゃ?』
「風の刃か。なんかゲームとかでもよく見る感じだな。これはイメージしやすいかも。」
早速倒れた木に向かって、風の刃が切り裂くイメージをする。
【ウインドエッジ】スパッ!
狙った場所が見事に切断された。これは便利。
『こっちはかなりイメージしやすかったようじゃな。』今度は失敗しなかったからサラが頭を撫でてくれた。ちょっと照れる。
『儂から教えられる風の魔法はこれぐらいじゃ。たった2個しか伝えられなくてすまぬ。多分火の魔法と同じように、自分自身へかける強化系の補助もあるじゃろうし。攻撃系の魔法ももっとあるかもしれん。まぁじゃが魔法とはイメージじゃし、魔力量によっても強さが変わってくるものじゃ。教えたものだけでも使いようによっては役に立つじゃろ。研鑽に励むがよいよ。』女教師サラは腕を組んで頷きながらまとめてくれた。
心なしか女教師メガネをかけているようにも見える。
よし、頑張って魔法を使いこなせるように練習しよう。
ぐぅぅ~~~。
でもとりあえずお腹が減ったからお昼ご飯を食べようか・・・。
残ってる食料は総菜パン3個だけだ。焼きそばパンと、コッペパンにあんこと生クリームが挟んであるやつ、それとソーセージがまるごとのってマヨネーズのかかった僕の好きなやつ。
さて、どれを食べようか・・・。とりあえず焼きそばパンとコッペパンをお昼にして。夜にメインディッシュのソーセージのやつにしようかな。それだけじゃ足りないだろうからデザートにルエダの実を食べよう。
残り食料も少ないからもっと少しずつ食べれば良いと思ったんだけどね。総菜パンってのは意外と賞味期限が短いんだ。
まぁあくまでも賞味期限だから少しぐらいは過ぎてもへっちゃらなんだけど。こっちは結構気温も高いし、腹を下すのはサバイバルとしては避けたいところだからね。美味しく食べられるうちに最後の日本の食べ物を堪能したいじゃない。
とりあえずは、食べられる木の実も確認できたし、手持ちの食料を食べてしまっても生き残ることはできるだろう。
ということでサラを呼び、焼きそばパンをわけっこする。サラは最後の思い出の食べ物だからと物凄く遠慮したが、僕がサラに食べて欲しいんだ。最後の日本の食料を2人で一緒に食べたかった。
「いただきます。」
『いただきます。』そういうとサラは焼きそばパンにかぶりついた。
『ほほぉ~!これはいいのぉ!この柔らかいパンも美味しいし、中に挟んであるものの香ばしい香りが最高じゃの!!この時々ピリっとする赤いやつも良いアクセントじゃ。』
「紅ショウガに気付くとは流石だなぁ。僕も焼きそばパンの紅ショウガのアクセントが大好きなんだ。」2人でニコニコしながら最後の焼きそばパンを味わう。ウーロン茶と共に。
そしてデザートはこちら!
『そとのパンはさっきの焼きそばパンと同じじゃな?して中身は・・・。パクリ。ほほぉ!!これは良いな、甘いぞ甘いぞ!!幸せの味じゃぁ。2種類のものが挟んであるがそれぞれが違う甘さで良い組み合わせじゃな。黒い方は控えめな甘さで、白い方は力強いが上品な甘さじゃ。これは気に入ったぞ!!』
どうやら気に入ってもらえたようだ。夢中で食べている。
あまりご飯に甘いパンは買わない主義なんだけど、サラが喜んでくれたから買ってよかった!このパンを買った昨日の僕を褒めてあげよう。
「ごちそうさまでした。」
『ごちそうさまでした。』2人で同時に手を合わせてごちそうさました。
誰かと食べるご飯ってやっぱり美味しいよね。おばあちゃんが体調を崩して入院してからずっと一人でご飯を食べていた。
誰かと食べるだけで同じ物でも何倍も美味しい。この世界に来て凄く不安だったけど、サラと出会えてよかった。心からそう思う。
神様ありがとう。
あ、サラも神様みたいなものなのかな。精霊神って言ってたしな。とりあえず拝んどこう。僕はサラに向かって手を合わせた。
それをサラはニコニコしながら見ていた。
本日時間があったので3話分ぐらいストック出来ました。
最近隔日で投稿していたんですが、調子に乗って毎日投稿をしてみたいと思ってます。
生活に余裕がなくなったら隔日に戻るかもしれませんが・・・。