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第4話 魔法の練習 前編

最近やっと少しずつ読んでいただける方が出てきたようで、もの凄く嬉しいです。

小説の投稿は初めての事で、色々とわからないことが多く不安な中投稿を続けているんですが。

少しでも読んでくれている方がいるんだなという事がわかると、頑張っていこうという気持ちになります。

これからも頑張って投稿を続けていきますので、応援していただけると嬉しいです。

 ご飯も食べて落ち着いたところで、サラが火の魔法について教えてくれるという。


『お前様には火の魔法と風の魔法の素養があるようじゃな。火神(カガミ)と言う名に火の意味があるように、疾風(ハヤテ)と言う名に風の意味でもあると言う事かもしれんな。』

「確かに疾風(ハヤテ)と言う名には風という文字が入っているよ。疾風(ハヤテ)と言う名は【疾風迅雷(しっぷうじんらい)】素早く激しいという言葉からとった名なんだ。」僕は自分の名前についての由来を語った。


『随分と大層な名をもらったのぉ。お前様の名付け親は、物凄く期待を込めて名をつけたんじゃろうな。』サラは腕を組み目を閉じて、まだ見ぬ僕の父を想像しながらそう言った。

 僕の頭の中には長い前髪で片眼が隠れていて、やる気の感じられないピース姿の父の姿が浮かぶ。父の写った写真にはどれもそんなポーズをとる父の姿ばかり写っていた。なにか意味のあるポーズだったのだろうか?中には詰襟の学生服を着ている写真もあった。学生時代の父には見えないからコスプレかなんかだったのだろうか?


「僕の父が名付けてくれた名は一郎という名なんだ・・・。火神疾風は僕が勝手に名乗っているだけで。あれ?でもステータスに載ってる名前は本名じゃなく火神疾風の方だ・・・。なんでだろう?」ステータスに表示される事柄っていうのは普通本当の事だよな?嘘をついてもステータスを見ればわかるように本当のことしか表示しないっていう仕組みのものだと思ってた。

そのへんの事情はよくわからないが、ステータスに名前が火神疾風と書いてある事から、僕の魔法適正が火と風っていうことになっているらしい。



『まぁそのあたりは儂の知るところではないが。風の魔法に関して、儂からは基礎的な事しか教えてやる事は出来ん。だが火の魔法についてならある程度は教えてやることができる。これからの旅に役立つじゃろうから教えておこうと思う。』サラはそういうと立ち上がって泉に向かい手を前に出す。


『まずは自分の身体の中に流れる魔力を掌に集中させるのじゃ。掌に魔力が集まってきてるのを感じたら、』【ファイアボール】そう言うと、掌から火の塊が飛び出した。火の塊は泉の方へ勢いよく飛んでいき空中で四散した。


『頭の中に魔法のイメージを浮かべたら、【ファイアボール】というふうに呪文と共に魔力を解き放つんじゃ、火の塊が飛び出したら、あとは何処に飛ばしてどうしたいかイメージするんじゃ。そうすることによってかき消すことも爆発させることもできる。全てはイメージ次第じゃ。呪文に関しても別に口に出す必要はない。頭の中でイメージとリンク出来れば良いだけじゃ。塊では無くもっと細いイメージで火の矢【ファイアアロー】にもなる。場所を指定してその場で炎が立ち上がるイメージをして【フレア】とでも唱えれてやれば火柱を作ることも出来る。』


どうやら魔法とはイメージということだ。そのイメージを自分に分かりやすい言葉(呪文)とリンクさせる事で簡単に発動させる事ができるようだ。


早速試してみる。掌を泉の方に向け、身体の中に流れる魔力というものを探る。目を閉じ静かに呼吸し身体の中を観察してみる。

身体の中をぐるぐると循環する暖かい流れが見えてきた。それを掌に集める。

そして目を開き「ファイアボール」そう言った瞬間バスケットボール大の火の塊が勢いよく飛び出す。


サラの出した塊よりもだいぶこじんまりしているがそれを頭にイメージした軌道で動かしてみる。

思ったよりも自由自在に動かすことが出来るようだ。ジグザグに動かしたり素早く平行移動させたり、最終的に上空に打ち上げて、最後は花火のように破裂させてみせた。


『綺麗なもんじゃのぉ。良いイメージじゃ。』サラが花火に見蕩れて笑顔になる。


「思ったよりも自由に動かせるもんだなぁ、これなら弓を使うよりも楽に当てられそうだ。」


『あとは練習次第でもっと強力な魔法にもなろう。身体を鍛えれば強くなるように、魔法も使えば使うほど強力になる。お前様の努力次第じゃ。』

『じゃが、魔力が低いうちは戦闘ではあまり無理するでないぞ。体内の魔力が尽きてしまうと動けなくなってしまうからの。』


その後火の矢や火柱についても時間をかけて練習をした。火力の調整なんかもだいぶ上手くなった気がする。木に干した洗濯物を焦がさずに乾かすことが出来るぐらいにはなれた。


小一時間練習をしたところで魔力が尽きたのか、身体がだるくなってきた。


『さっきチラっと話したんじゃが。この泉は神域で、人族はおろかモンスターも入ってこれない安全地帯じゃ。襲われることもないから安心して休むがいいぞ。』ぐたーっと座り込む僕の隣にサラが座り教えてくれた。僕の頭を膝に乗せ膝枕をしてくれる。

見た目は小学生ぐらいだけどお姉さんなんだなぁ。そんな事をぼんやり考えながら眠りに落ちた。




目が覚めるとサラは泉に向かって立ち、なにやらわからない言葉で祈りをささげていた。

泉が全体的に光を放ち光の柱が立っているように見える。

『目が覚めたかの?』僕に気付くと優しく微笑んでサラが言った。

『この泉はどんどん水が湧き出ているが、その水はどこにも流れて行ってないじゃろ?』


確かに言われてみればそうだ。普通湧き出た水は低い場所へ向けて流れていくものだ。この泉にはそれがない。

「じゃぁこの水はどこへ行くの?」


『今儂がやっていたのがその答えじゃ。毎日こうやって祈りを捧げて、この神聖な水をこの世界に循環させるための道を作っておるのじゃ。』サラは両手を上げて空へ続く光の柱を仰ぎ見た。


『放っておくとその道が絶たれて、この世界は汚れていってしまう。その管理のために儂らは存在しておるのじゃ。その昔ここを一人で守護していたノームのじいさんが「交替が誰もおらんのは大変じゃ。」とかぬかしおってな。それで少しずつ増え、今では四柱の精霊神で交替で守護しておるというわけじゃ。』


「なるほど、大事な役目なんだなぁ。」


『この世界では多かれ少なかれ誰でも悪しき心を持つ。悪事を働けば業が溜まる。人々の業が溜まると大気も澱む。悪しき心が伝染するように、綺麗な心をもむしばんでいくのじゃ。じゃから何もせんでいると無尽蔵に穢れが溜まりよる。業が溜まり過ぎた人間の魂はモンスターへと転生するとか言われておるが、まぁ本当の詳しいところは創造神のみぞ知るじゃがな。』


 『最初に少し話したが、本来儂ら精霊は高位のエルフ族ぐらいにしか認識できん存在なのじゃ。人族で言えば聖女と言われる存在でも声ぐらいしか届かぬ。じゃから最初にお前様と話した時は大層びっくりしたぞ。』


『ちなみにお前様が洗濯物を置いたり、食事の時に椅子にしていたのは人族の聖女が用意した祭壇じゃ(笑)。まぁそこで祀られておる儂も一緒に座ったから同罪じゃがな。』サラは楽しそうに笑った。


『これから旅をする中で精霊を見たとか、話したとかそういう事を言うと、頭のおかしい奴じゃと思われるから注意するんじゃぞ。』こんな風にサラはこの世界で生きていく上で必要な知識を色々と教えてくれた。


そうだ、昨日はゴブリンとの戦闘とかサラとの出会いとか色々あってすっかり忘れていたが、肘の内側に塗った果汁でかゆみとかも出なかった。どうやらあの果実【ルエダの実】といったか、あれに毒は含まれていないようだった。


というわけで朝食にルエダの実を食べてみることにする。手で皮をむいてガブリ。一口食べてみる。想像していた通り甘くて美味しい!

最初マンゴーみたいだと思った時から、甘い果実だと勝手に想像していた。酢っぱかったり渋かったりしなくてホントよかった。


美味しい果実だという事がわかったのでサラにも勧めてみる。


『それはその辺に生えておる実じゃろ?ならば興味はさほどないから、一人で腹いっぱい食べるがよいよ。昨夜は貴重な異世界の食べ物を譲ってもらっておるしな。』サラは優しく微笑んで隣に座った。なんだか本当のお姉さんみたいに思えてきた。見た目はどうしたって妹なんだけど・・・。ロリババア恐るべし。


【ベシッ!】無言で後頭部をはたかれた。

第4話にして未だ動かぬ主人公にイライラされる方もいらっしゃるかもしれません・・・。

しかし物事には準備が大事なのです!

あと数話動きませんが、辛抱くださるとありがたいです。

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