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第48話 傷付けない武道

本日もご拝読ありがとうございます。

ちょっと遅くなりましたが本日分です。


なかなか書く時間が取れなくて、週末も殆ど書けていませんでした。

とりあえず自転車操業な投稿ですが、なんとか中1日のペースで続けていくことが出来ています。

クオリティに関してはちょっと納得はいっていませんが、最低でもこのペースは守っていきたいと思っています。

 空気も凍り付くような寒さ。裸足のつま先が物凄く痛い。

おばあちゃんの手首を掴むとその掴んだ手首を外側にクルンと回転させて僕の腕を掴みそこを支点として円を描くように身体を横回転させて投げ飛ばされる。それを受け身を取って衝撃を和らげる。


次はおばあちゃんが僕の手首を掴む。それを僕がクルっと手首を返して8の字を描くように手首を中心にクルクルと動きおばあちゃんを投げる。投げたと同時に少しひっぱり衝撃を和らげて着地させ、そのままうつ伏せにして後ろ手を取り固める。


寒い冬は受け身を取って衝撃を和らげても痛いんだよな。長い袴を履いているけど、道着って分厚い生地の癖に凄く寒い。冬は地獄のようだった。

でもそんな稽古を毎日欠かさずやっていたな。辛かったけどいい思い出だ。元気なおばあちゃんの姿を久しぶりに見て涙が溢れる。


途中から多分夢だなって気が付いていた。でもどうせ夢なら少しでも長く見ていたいと、最後まで稽古をつけて貰った。

稽古の時は厳しいけど、とても優しいおばあちゃん。

寒い冬の稽古の後はいつも温かいお風呂に浸かって身体を温めてから学校に行ったっけ。

お風呂から出ると美味しい朝ごはんを作ってくれていたな。


僕は異世界で元気に生きています。

マリアはとても優しくて毎日僕のお世話をしてくれるんだ。とても美人だけど、可愛いものに目が無くて、可愛いものの話をするときは凄く興奮してちょっと残念な感じに見えるんだ。

モノは僕が大好きなパンダで、神様から使わされた僕の友達なんだ。凄く可愛くてモフモフで、毎日一緒に寝てるんだ。まだ出会って間もないけど、既に無くてはならない存在になってる。

天国に行ってしまったおばあちゃん。そんな僕をどうか見守っていてください。



目が覚めると涙でぐしゃぐしゃだった。久しぶりにおばあちゃんの夢をみたな。

昨日まで毎日ずっと朝から晩まで稽古漬けの日々だった。身体がクタクタに疲れていて、夢を見る余裕すらなかったんだな。


1週間の集中稽古期間を終えて、だいぶ攻撃を避ける動きに慣れてきた。というよりは武器で攻撃される事に恐怖が無くなってきたって言った方が正しいのかな?

攻撃されても避けられる、素早い連撃でも確実に避け続けられるという自信が、武器攻撃への恐怖に撃ち勝てたという事だと思う。


この1週間、どんな攻撃も避け続けて、確実に反撃に移る(かわ)しをイメージしてきた。これは反撃術を想定してのカウンターを当てる練習だった。

しかし実際にカウンターを当ててしまうと確実にクリティカルが出てヤバいダメージが出てしまう事がわかっているので、それを出さずに練習してきたっていうのが昨日までの事。


今は更にそこからカウンターをとらずに組み伏せる、自分本来の合気道スタイルで戦う事で、クリティカルを出さずに倒せるのではないかという結論に至った。

っていうかさっき夢の中でおばあちゃんと合気道の練習をしている場面を見て思いついたんだけどね。目が覚めたらそれを試してみたくて飛び起きてしまった。


僕が飛び起きると隣で寝ていたモノがコロコロとベッドの下に転がり落ちそうになる。

素早く飛んでベッドの反対側に回ると落ちるモノを抱きとめてそのままコロコロと元の位置に戻す。ごめんねモノ。


何事もなかったかのようにそのまま眠るモノに布団を掛けてあげて、僕は中庭に出ていく。


さて、練習するにしてもいきなり人相手に試してクリティカル出てしまっても困るな。

というわけでイメージトレーニングからかな。目を瞑って相手を想定してみる。



大剣を振り下ろしてくるミルドレイク伯、その懐に入って持っている大剣を一緒に握り、その振り下ろす反動を使いグルンと1回転して円を描くように背中からすとんと着地して、更に地面に転ががった拍子に大剣を奪い取って、そのままの勢いで立ち上がり倒れたミルドレイク伯の首元に大剣を押し付ける。


実際に転がって立ち上がるところまでの一連の動作がスムーズに出来ている。

身体に受ける衝撃も少なく、相手に対するダメージも無い様に感じた。これならいけるのでは?


何度も相手を変えて想定通りの動きができる様に練習していく。

大剣、槍、短剣、ダガー、そして素手の相手に対してのイメージトレーニングをしていく。衝撃を与えないように、武器を奪い取り、又はうつ伏せに倒して後ろ手を取りねじ伏せる。

目を瞑ったまま相手を想定して何度も地面に転がっては起き上る。イメージだけでも随分と練習ができるものだ。

そんな風に何度も転がっているとマリアが心配して覗きに来ていた。


「疾風様、大丈夫ですか?」何度も転がって全身砂埃だらけになった僕を見て、マリアが心配そうに聞いてきた。


「大丈夫だよ。ちょっと夢で見た動きが実際に出来るか試していたんだ。誰かと稽古する前に、まずはイメージで相手を怪我させないように出来るかどうかをね。」そう言うとマリアは少し安心した顔をした。


「朝ごはんの準備が出来ております。」マリアはそう言うと食堂の方に向かっていった。


職人ギルドには大勢の人が食事をとれる大きな食堂がついていた。毎食そこで僕達は全員で食事をとっている。

食事を作る人は獣人族の女性が中心で、なんとなく食事係みたいな感じで役割分担がなされていた。

僕とマリアもそこで作る手伝いをしていたりする。マリアは朝食、僕は夕ご飯担当って感じだった。


食材も巡回任務についている領兵達がついでに狩りをしてくれているので割と豊富だったりする。



朝食を食べた後に中庭に行くと門番の2人が組み手をしていた。

2人に声を掛けて、1人ずつ相手をしてもらう事にした。

昨日までのように連撃ではなく、渾身の一撃を入れてくれと言ってある。


まずは1人目のダルさんから、槍を構えて間合いをとる。槍は長剣よりもリーチが長く間合いが命だ。自分の間合いをしっかりととりつつ攻撃の隙を(うかが)っている。


僕はダルさんの構えに合わせて(しゃ)に構える。そして姿勢を正して全身の力を軽く抜く。これでどんな攻撃が来ても瞬時に対応できる。


ダルさんが動き出すその瞬間、動きがスローモーションになる。僕は僅かに横に動くと一気に間合いを詰めて懐に入る。そして両手で槍を持ち、突き出した槍の勢いを円運動に変えて、くるんと身体を回転させて地面に背中から落としてやる。

お互いに槍を強く握っているので着地の瞬間に力を入れてフワッと地面に着地させる。

練習していた通り、クリティカルを出すことなく怪我をさせない投げを出すことが出来た。イメージ通りだ。


その後槍を握る両手の真ん中部分を軸に縦方向にクルっと回転させてやれば簡単に槍を奪うことが出来る。奪った槍を首元に向けて勝負ありだ。

「参った。」ダルさんは手を上げて降参のポーズをとる。


イメージトレーニングしていた通りの動きで怪我をさせることなく倒して武器を奪い降参させる。相手の出方次第で手前に倒したり、相手の後ろ側に倒したり。仰向けに倒して武器を奪ったり、うつ伏せに倒して腕を決めたりと。

色々なパターンでイメージ出来ている。スローモーションで見える事で、臨機応変に使い分けて行くことが出来そうだ。


その後相手をシグさんに変えて、そこから2人交互に違うパターンで倒していき、色々なイメージを試していく。


結局昼までずっと2人が付き合ってくれた。思いつく限りの色々なパターンを試して、相手に怪我をさせないで組み伏せる方法を会得することが出来た。


これからは反撃術と使い分けて行こうと思う。相手を傷付けずに倒す術は必要になってくるだろうしね。

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