第40話 パンダちゃんと僕
本日もご拝読ありがとうございます。
早いものでもう週も真ん中ですね。
今日からまたちょっと忙しいですが、物語を書く時間が作れるように頑張ります。
物語はいよいよ待望のキャラを出すことが出来ました。
書き始める前には構想になかったキャラなんですが、書き始めてすぐに思い付いて、早く出したくて出したくて機会を伺っていたキャラでした。
詳細については追々明かしていきますので末永く見守ってやってくださいませ。
「僕の名前は疾風って言うんだ。君の名前は?」パンダちゃんに自己紹介してみた。
『ない。名前つけて。』パンダちゃんはそう答えた。
ないのかぁ~。パンダちゃんの名前ねぇ・・・。パンダの名前ってなんか繰り返しの名前が多いよな。カンカンとかランランとか。でもそれだと呼びにくいしなぁ。
「じゃぁ、白黒だから『モノ』っていうのはどうかな?」ちょっと安易かな?でも可愛いから良いと思う。
『モノ?モノ、いいね。』気に入ったようだ。マリアもうんうんと頷いている。
「モノ、彼女はマリアだよ。」マリアも紹介する。
『よろしく。』ペコリと頭を下げてマリアに挨拶するモア。
「よろしくだって。」マリアに通訳してあげる。
ギューーーッ!マリアはモノを抱きしめた。マリアももうメロメロである。仲良くやっていけそうだ。
さて、マリアはモノを抱きしめたまま離さないので、とりあえず帰る準備しないとだね。
荷馬車は3km程先に置いてきちゃったから、このレインボウベアは全部持って帰ることはできないね。
とりあえず皮を剥いで、内臓を取り出して、そこから胆嚢だけを切り取って指定された袋にしまっていく。7匹分の胆嚢が取れたからきっと報酬も良いはず。
この毛皮は高く売れそうな予感がするから持って帰ろうかな。というわけで皮の裏の脂肪をナイフでこそぎ落として畳んでいく。ちょっと嵩張るけどなんとか持てないこともないだろう。
「肉は勿体ないけど持ちきれないからここに置いていこう。」マリアに言うとレインボウベアの毛皮をよいしょっと持ち上げる。
「私が持ちます。」マリアはそう言うとモノを下に置いて僕からヒョイっと毛皮を奪い取った。
『持ちきれないの?僕持てるよ。』モノが僕に話しかけてきた。
「持てるって?」持てるってどういう事だろう?力持ちってことかな?僕が首を傾げる。
『こうやるの。』モノはそう言うと地面に降りてレインボウベアの肉の前に立ち両手を広げる。
空中に光が浮かび上がり、その光が大量のお肉を包み込んでいく。光が消えると大量のお肉が消えていた。
「え??なにやったの?お肉が消えた!」僕は驚いて多分変な顔してる。マリアの方を見るとマリアは目を大きく開けて口をパクパクさせている。マリアは可愛いなぁ。驚いた顔も可愛い。
『元にも戻せるよ。』そういうとモノはもう一回手を広げて光を呼び出し。そして光が消えるとそこには大量のお肉があった。
「す、凄い!!それ魔法なの?」僕はまた驚いてきっともっと凄く変な顔になってるはず。マリアの方を見るとマリアは相変わらず可愛い。エルフって本当に美形なんだなぁ。ずっと見ていたい。
『これはスキル。空間操作っていうの。神様に教えてもらった。』神様に教えてもらった??モノが今とんでもない事言ったぞ。
「神様?」僕はもう驚きすぎて変な顔通り越して多分無表情になってるとおもう。マリアは美人のまま。
『僕がこの森に生まれて来る時に神様の声が聞こえたの。僕にスキルをくれるって。そして僕を助けてくれる人について行けって。このスキルでその人を助けるようにって。』神様のお使いって事?使徒って事?もう僕はこれ以上驚かないって思ってけどやっぱり驚いちゃった。
「君のステータスに幻獣って書いてあったけど、それって神様の使いっていう事?」モノのステータスを最初にチェックした時に、ステータスにそう書いてあったのを思い出した。
『そう、神様は僕が幻獣だって言ってた。特別な力があるって。でも生まれたてで弱いからあの熊に殺されそうになった。』モノはそう言うと下を向いて落ち込んでしまった。
「そうか、ついてなかったね。でもそのおかげで僕達は逢えたんだし。」僕はモノを抱き上げてなでなでモフモフした。
『疾風に逢えてよかった。これからは僕も疾風助ける。』モノはなすがままの状態でそう言った。僕はずっと顔をうずめてモフモフしている。
「ありがとう。僕もモノと逢えてよかった。」マリアが凄く羨ましそうな顔で見てるけどまだモフり足りない。モフモフし続ける。
その後モノはマリアに奪われ、マリアも飽きるまでモフった後に、モノはマリアが持っていた毛皮も大量のお肉も一緒にしまってくれた。
そして馬車に戻ると、モノに荷台の荷物も一緒にしまって貰い、僕達は領都に向かって出発した。
その後途中で野営し、領都に着いたのはその次の日の夕方だった。
領都につく手前でモノに魔物素材だけを荷台に出してもらっておいた。買い出し品はモノに持ってもらったままである。これは便利だなぁ。可愛いし。モフモフだし。
領都に戻ると僕達はギルドでクエスト報告と余った素材を売り、モノの従魔登録をしてもらった。専用のスカーフを首に巻いておけば大丈夫らしい。これで大手を振って外を歩ける。
因みに熊猫っていう魔獣は珍しいけど、山の奥に普通に生息している魔獣なのだそうだ。
まぁ珍しいっていう事実にはかわりないから、モノが誘拐されないように気をつけないといけないなと思った。
その後借りていた荷馬車を返却すると僕達は家へと向かった。
今回のクエスト報酬と素材売却で稼いだ額は総額で金貨2枚と銀貨70枚だった。ユガーラの町で泊まった貴賓室の値段には僅かに足りないぐらい。
でも、1回の遠征(3泊4日)でそれだけ稼いだっていう事は、このぐらいの遠征を月に2回もやっていれば、余裕で家賃払って普通に生活していけてしまう。
しかも今回の遠征で無理な事は一切していない。むしろ温泉で休暇を楽しんできたぐらいだしね。
まぁ泊まった部屋があれだから赤字なんだが・・・。
月の半分働いて、残りの半分は遊んで暮らす。そんな生活も夢じゃないって事だな。
色々とやる気が出ない時とかはそうやって過ごしてもいいかもしれない。
自宅に着くとモノに家の中を案内して回った。家にある色々な物にひとつひとつ食い付き、物珍しそうに家の中をキョロキョロしながら見て回った。
マリアはその間に晩御飯を用意してくれている。今夜は肉のお土産がいっぱいあるのと、遠征で使い切らなかった野菜類を使ってシチューを作ってくれると言っていた。
帰りに大好きなパンも買ってあるのでパンと一緒に食べようと思ってる。
そういえば帰りにモノから聞いた事なんだが、パンダと言えば笹って印象なんだけど。
モノは基本的に雑食で、なんだったら魔力さえ補充できれば、最悪食べ物がなくても生きていけるらしい。幻獣恐るべし。
サラも食べ物は食べないで生きていけるって言ってたし、そんな存在に近いのかもしれないね。
まぁ同じものが食べられるなら一緒にワイワイ食べたいよね。賑やかなご飯は楽しい。
早くサラとも一緒にご飯を食べたいな。
マリアからご飯が出来たと呼ばれたので、僕はモノを抱っこしてダイニングに向かった。
シチューのお肉はあまり長い時間煮込まれてはいないが、お肉の質が良くてとても柔らかかった。一番いい部分の肉を持って帰って来たからね。
スープはお肉と野菜の出汁がしっかりと出ていて、赤ワインと醤油の隠し味も効いていてとても濃厚な味に仕上がっていた。
パンにもとても合って大き目のパンを3個も食べてしまった。
モノも美味しい美味しいと言ってパンもシチューもいっぱいお替りしていた。
マリアは嬉しそうにお替りを入れてきてくれていた。旅で疲れているだろうに、とても働き者だ。マリアのご飯はやっぱり美味しい!
僕は皆でごちそうさました後、マリアにいつもありがとうって言っておいた。日々の糧にもマリアの料理にも感謝しかない。
モノはお腹いっぱい食べたせいか、ソファでくつろぐ僕のお腹の上で大の字になって寝てしまった。
寝ているモノをモフモフしながら僕もうとうとしている。なんだか幸せな時間だ。これからこの家で僕達3人の生活がはじまる。