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第37話 暮らすって物入りね

魔の週末なんて言ってすみませんでした。

土日の二日間で多くのPVを頂きありがとうございます。

ご拝読頂いた方々に感謝です。

さて、今日から少し私の生活が変わります。毎日投稿は続けていくつもりですが。

書く時間がどうしても取れなければ、最悪隔日投稿とかになるかもしれません。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 スラム街再生計画が始動してキャスは毎日忙しく動いているという。キャスはちょいちょい経過報告を入れに僕達の部屋を訪れていた。

 

 町の住民が完全に戻り、町は元の活気を取り戻してきたそんなある日。僕とマリアは領都にある教会に向かっていた。と言っても町の中央広場にあるギルドから然程距離はない。

本当は越してきてすぐに行こうと思っていたんだけど、スタンピードの話が急に持ち上がって、教会に行くチャンスが無くなっていたのだった。


やっぱり新しい地にきたら、その土地の教会に挨拶しておかないと、コンティニューも出来ないし、復活の呪文も聞けないからね。

あとは、あわよくばサラに逢えるんじゃないかと期待してもいる。主にこっち。



領都の教会はデカかった。流石領都と言うべきなのかな。

広大な敷地に広々とした庭園。建物もかなり大きく、正面にある扉も巨大なものが取り付けられている。もしかしたら物凄く背の高い人がいるのかもしれない。


教会に入ると中の造りもたいしたものだった。壁面や柱には創造神、精霊神を模ったと思われる彫刻が施されており、ステンドグラスや彫像なんかもかなりのものが設置されていた。

因みにマリアに教会の事を聞いたんだけど、エルフは精霊信仰だから人族の教会には詳しくないという話だった。なんならあまり幸せでない人生を送ってきているマリアは神様の存在自体を疑っていると言っていたぐらい。


教会では何人もの住民が祈りを捧げており。僕もそれに倣って祈りを捧げる事にした。


ひざをつき、胸の前で両手を合わせる。目を瞑り祈りを捧げる。頭に浮かぶのはサラの笑顔。いや、煩悩の塊か!?



「お前様霊体のようじゃが、また遊びにきてくれたのか?」目を開けると目の前にはサラの笑顔があった。

僕の正面で腰に手を当てて僕の顔を覗き込んでいる。


「久しいな。また逢えて嬉しいぞ。」サラはニコニコしながら僕の周りをぴょこぴょこと跳ねている。ぴょこぴょこ可愛い。


「久しぶりだね。領都で生活の目途が立ったから教会にお祈りをしにきたんだ。教会に来たらサラに逢える気がしてさ。」僕はサラに微笑みかけた。


「そうかそうか。領都についたのは把握しておった。大変なことになっていたようじゃな。」サラは大体把握しているようだった。


「そうなんだよ。本当は領都についてすぐに教会に来る予定だったんだけど、色々あってバタバタしててね。今日はやっと時間を作って教会にきてるってわけ。」僕はサラに言い訳をするように愚痴った。


「まぁよいよ。お前様が無事なのはわかっておったしの。儂の方はノームのじいさんがまだ交替にやってこなくての。時間の感覚が精霊単位じゃからな、気長に待ってるんじゃが、待ってる時というのは長いもんじゃな。意識してなければ100年ぐらいあっという間に感じるものなんじゃがなぁ。」サラは身体をクネクネさせながらノームへの怒りを現していた。クネクネ可愛い。


「まぁ僕も頑張って生きてるから。そのうちまた逢いに来るよ。」自分の身体に引っ張られる感じがするのでそろそろ元に戻ると思う。


「うむ。また話を聞かせておくれ。息災にな。」サラが笑顔で手を振って送り出してくれる。


僕も手を振り返し、身体が意識を引っ張っていく。


目を開けると教会にいた。今回は倒れないで済んだようだ。


立ち上がるとマリアが寄ってきた。

マリアにはサラの話はしてある。そのうち来るって言ってたよって言ったら、多分自分には精霊を見ることはできないから、お世話はできないかもしれないと言っていた。

まぁサラもお構いなくって感じだろうから大丈夫だろう。



それから数日が過ぎ、僕達の家の改築がやっと終わった。スタンピード騒ぎで工事自体がのびのびになっていたからね。

僕達は宿泊所に置いてある荷物を纏めて、引っ越しの準備をしている。


ギルドの宿泊所にはスラムの人達が生活していて、解体所は既に営業を始めている。

まだ食堂は出来ていないので肉の買い取りに関しては自分達で消費する分だけを冒険者から買い取るという形で暫定的に回している状態だ。


因みに調理班は冒険者から買い取った肉を使ってギルドの酒場の厨房を借りてスラムの住民達全員分の食事を作ってもらってる。

調理班代表のセレナにはあれから毎日色々なレシピを教えてだいぶ日本食っていうか、おばあちゃんの教えてくれたおばあちゃんの味を作れるようになってきている。


今は本格的に運営していくまでの準備段階だね。

解体の手数料で得た運営資金から肉以外の食材の材料費も賄えていて、完全に独立運用できるシステムが構築されているのを感じる。


早く本格的に営業開始できる日が来ると良いな。寺子屋には僕も通う予定だ。文字の読み書きが出来ないと不便だしね。


引っ越しの準備を終えると、宿泊所内に住むマッシュとセレナに挨拶をして新居に向かう。


ギルドの1階に行くとケイトさんが待っていてくれた。

ケイトさんが一緒にきて、家の引き渡しをしてくれるという。




かつての錬金術工房だった僕等の新居は見違えていた。


以前は店舗だった部分を玄関とエントランスに改築していて、そこからリビング・ダイニング・キッチン・そして待望のお風呂と素晴らしい間取りに仕上がっている。

生活同線を考慮した良い間取りだ。トイレの場所も申し分ない。

とても以前まで店舗兼工房だったとは思えない仕上がりになっていた。


お風呂に関しては魔道具で湯を張り、使い終わったら排水出来るようにと、きちんとお風呂としての機能を果たしている。

元々広々とした工房があった場所なのでお風呂自体も広々としていて解放感がある。

湯舟も足を延ばしてぐでーんと出来るぐらい大きい物が設置された。

これで露天なら文句なしなんだがなぁ。まぁそれは周りを建物で囲まれた都心部だから贅沢は言えないね。


ケイトさんに工事を行った箇所の説明を受けて、鍵を貰って引き渡しも全て完了した。


新たに出来たキッチンでお茶を入れて、ダイニングでのんびりとお茶を飲み、ケイトさんは初めてのお客さんになった。ダイニングに布広げて地面に座って、自宅でピクニック気分のお茶だけどね。まずは家具を買わないといけないね。


おばあちゃんが居た頃はおばあちゃんの家が我が家って感じがしてたけど、今日からここが僕の我が家になるんだな。

物凄く感慨深い。感無量ってこの事なのかもね。



さて、工事は終わったけど、ここで住むには色々と必要なものがある。


綺麗なキッチンには最低限の設備はあるが、料理するための調理器具・食器・調味料・食材等が必要だし。

お風呂には洗い場に必要なものが何も無いし。

ダイニングにはダイニングテーブルと椅子も必要だし。

リビングにはソファとテーブルとかも最低限必要だし。

寝室にはベッドと寝具が必要になってくる。


これら全ての物を買って来ないと生活が出来ない。


と言っても買ってすぐ持ち帰れるものばかりではないだろうから、当分は野営セットで生活していくことになるかもしれないけどね。


流石に家の中で天幕は張らないけど、寝るのはブランケットに包まってって事になるかもしれない。


改築したばっかりで家の中が綺麗だから明日の朝には白猫になってるって事もないだろうけど、このまま生活するのには無理がある。



というわけで今日はマリアと一緒に買い物に行くことにしたよ。


まずは大きい物からと家具類を買いに家具屋さんへ。家具屋さんに入るとまずは食器棚を選ぶことに。

キッチンの雰囲気を考えて無垢材の明るい色の食器棚を購入した。間取りから家具のサイズを測ってきたが丁度良いものがみつかった。


まぁちょっと大き過ぎ感は否めないが、大は小を兼ねる。いっぱい食器が入るという事はそれだけ食器を揃える事も出来るという事だからね。


ついでに食器棚に合わせたキッチンの作業台と、寝室のベッドを2つとマリアの部屋に置くクローゼットを買って。

ダイニングのテーブルセットと、リビングのソファとテーブルも買った。


それぞれ部屋の雰囲気に合った温かい色の家具を選んだ。これはくつろげそうだ。


家具類はすぐにでも届けてくれるという事だったので助かった。ブランケットに包まって寝るっていう事も必要なさそうだ。


家具屋さんは大きな荷馬車に家具を乗せて3往復分の家具をテキパキと運び込んで、家の中で組み立てまでしてくれた。

スタンピードのせいで生活をどうしようかと悩んでいた所に、僕達が大量の家具を買った事で一気に生活の不安が解消されたと凄く喜んでくれた。だからこそのサービスだったんだね。


家具が入ると途端に生活感が出てきたね。こうやって少しずつ家の物がそろってくると、段々と新しい生活に期待してワクワクしてくる。


次はキッチンで使う雑貨を買いに行く。小さめの鍋と中くらいの鍋と大き目の鍋。フライパンも小さい物と大きい物。お玉に包丁にまな板。あとは食器類が大量に。それと掃除道具だね。部屋用、キッチン用、お風呂用、トイレ用。


 最後に大事な寝具だね、これは安眠に不可欠だからケチれない。多少値は張っても良いものを買う方がいい。

という事で高級品を扱うお店で二人分の寝具を揃えていく。


いやぁ~使ったね。この日だけで金貨10枚以上飛んだよ。日本円にして100万円以上。


そして家具の配送に往復3回、雑貨類も自分達で手に持って4往復。寝具に2往復。

あとは調味料と食材が足りないけど、今日のところはもうこれで終了。時間が足りなかった。


人が暮らしていくだけでこれだけの物が必要って事だよね。

ホント暮らすって物入りね。


さて、買って来たものを荷解きするのも一苦労だね。買ったものを全て所定の場所に収納して、ベッドも寝れる状態に整えて、これだけでくたくただよ。


新生活って大変なんだなぁ。

マリアが色々手伝ってくれたからまだ良かったけど、これを一人でってなったら5日ぐらいかかるんじゃなかろうか。主に買い物でもたもたしそう・・・。


マリアが居てくれてよかった。マリアが居てくれなかったら森で野宿とかして生活してたかもしれない。

まぁそれはそれで楽しそうだけどね。


とにかく、ここから僕等の新しい生活がはじまる。そういうお話。

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