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第31話 僕達にできる事

23日はちょっと久しぶりに遠方にグルメ遠征しようと計画していまして、22日の投稿作業と同時に予約投稿をしています。

その為、もしかしたら24日分の投稿はお休みしちゃうかもしれません。

今夜どれぐらい書く時間をとれるかがポイントになりそう・・・。

 部屋に誰かがやってきた。目が覚めると誰かが近付いてくる足音が聞こえる。


トントン、ドアがノックされる。

マリアがドアを開けるとケイトさんが立っていた。

作戦会議の結果が出たらしく、僕らも会議に出て欲しいという事で会議室へと呼ばれた。



会議室に入ると大きなテーブルをぐるりと人が囲んで座っていた。

一番奥にはミルドレイク辺境伯が座っており、その横にはギルドの受付の奥にいつも座っている、怖い顔のおじさんが怖い顔をして座っていた。

そのおじさんからミルドレイク伯を挟んで反対側にケイトさんが座るとその横に僕たちも座るように促される。


どうでもいいけど周りに座ってる人達からジロジロ見られてる、本当にこういう視線が一番苦手。お前誰だよ?とか思われてるのかな、下を向きストールをぐいっと上に上げる。


僕達が席に着くと、ケイトさんが話し始めた。

「今回、彼等アルカディアの報告により、かなり大規模なスタンピードの発生を確認しております。群れのリーダーはゴブリンキングの可能性も出てきました。」ケイトさんは大勢が見守る中堂々と発言している。しっかりしたお嬢さんだなぁ。さりげなく僕らの事を紹介してくれた感じかな。できればこの怖い人たちの事も紹介して欲しいぐらいなんだけど。


「前回のスタンピードは4年前。その時はオークでした。オークジェネラルが大量のオークとゴブリンを従えて領都へと進軍してきました。その際の規模はオーク300体にゴブリン400体程の軍勢でした。」ゴブリンはオークに従ってたのか、長い物には巻かれろスタイルだな。しかし凄い数だ。


「前回はオークジェネラルが統率していたからあれぐらいの数で済んだのです。今回はゴブリンキングが率いているとなると、どれほどの規模になるのか予想も出来ません。」キングってそれほど凄いって事か。前回も凄い数に聞こえたけど、どうにかできる数だったって事だな。すごいな領都の冒険者。4年前って事はマリアもそこに居たって事か。すごいなマリア。


「サブマスター、今迄の歴史の中でキングが率いた軍勢の記録はあるのか?」ちょっと離れた席に座っていた、うっすら青白く光る全身鎧を身につけた大男がケイトさんに話しかけた。この人の顔も怖い。サブマスターって言った?今。


「60年程前に王都を襲った記録があります。その時に率いていた軍勢の数はおよそ3000。冒険者や王都の兵士合わせて2000名をもってこれを撃退したと記録があります。キングは前王マクシミリアン・ミ・リーザスタッド様によって討伐されたという事です。」3000の軍勢ってヤバいな。それを2000名の兵士と冒険者で迎え撃ったのか。それぐらいの規模の戦闘員が必要って事だよな。


「かの神速の剣王マクシミリアン王か!3000の軍勢に対して2000名で挑むとは流石剣王としか言えんな。」ミルドレイク辺境伯の近くに座っている若い剣士が言った。この人も怖い顔をしている。


「いいえ、2000名しか集められなかったのです。王都でさえもたったの2000名しか集められなかった。3000の軍勢を討伐したと言っても、2000名の兵士や冒険者の殆どは帰らぬ人となりました。まさにギリギリの戦いだったそうです。」ケイトさんは真剣な表情で淡々と語った。集まった人達はそれを聞いて言葉を失っている。


「今この領都に居る冒険者の数は約500名。領兵の数は約300名。近衛兵の数は30名。今急いで近隣のギルドと王都へ通達を出しているところです。王都からこの領都まではどんなに急いでも15日間はかかります。兵を出してくれるとしても近隣に駐屯している兵士をかき集めて最高でも1000名いくかどうか。十分な数の馬が揃えられるとはとても思えないので、到着までは10日以上かかるでしょう。それまでの間にスタンピードが起きてしまうともう手詰まりです。」ケイトさんは額に汗を浮かべてうなだれてしまった。


「サブマスターのお前がそんな顔してどうするんだ。俺たちは俺たちが出来る事を全力でする。それだけだろ。」ミルドレイク伯の隣に座っている顔が怖いおじさんがケイトさんに檄を飛ばす。怖い顔を幾分緩めていたが、まだまだ充分怖い。


「マスター、失礼いたしました。私はこれから関係各所へ向け更なる増援を求める親書を書きます。一人でも多くの人員を確保してみせます。」ケイトさんは顔を上げて力強く宣言した。ってかケイトさんサブマスターだったんですね、失礼しました。


「よし、門を中心に外壁の痛みを調べ、出来る範囲で補修工事を進めろ。集まった各クランのリーダーはメンバーの装備や携行品のチェックをしてくれ。足りないものはなるべくギルドから出すように手配する。」ミルドレイク伯の隣の物凄く顔が怖いおじさんが冒険者達に指示を出した。多分この人がギルドマスターなんだなきっと。顔が怖いし。


「住民の避難は領兵を中心に迅速に行う事。避難場所は緊急避難ガイドを参考にしてくれ。日頃の訓練の成果を見せてもらうぞ。」ミルドレイク伯が領兵の代表者達に向かって指示を出した。


「そしてアルカディア、お前たちには西の森で警戒任務を任せたい。コロニーに動きがあったらそれを逐一報告してくれ。お前の索敵能力には期待しているぞ。」ミルドレイク伯が見覚えのある魔道具を僕に渡してきた。シルエラの町の魔道具屋さんでみかけた遠くにいる人と会話する事ができるという魔道具だ。


「任せておけ。」魔道具を受取ると僕とマリアは席を立った。


その後今更だがといいつつ、ミルドレイク伯が集まった面々について教えてくれた。

ミルドレイク伯の隣に座ってたのがギルドマスターで、揃いの鎧を着た人達は領兵の隊長達だという事だった。

強そうな鎧を着ている人達は領都を拠点に活動している大手クランの代表で、それぞれが多くの冒険者を抱えたクランを運営しているという事だった。

その他にも小規模のクランが多数あるという事だったが、その人達には後ほど会議の結果を文章で通達するとの事だった。


後でマリアから聞いた話だが、この領都ではミルドレイク伯の権限で、大手クランに対してクランハウスを提供するなどクラン運営の手助けを行っているという事だった。

そのかわりクラン代表には、集まったクランメンバーの教育を徹底して行う事と、有事の際には領都へ貢献する事を約束しているそうだ。




今回の警戒任務は結構長期にわたる可能性が高いな。

近隣の兵士が到着するまで10日とか言ってたっけ、それが間に合うのかどうかはわからないけど、スタンピードが実際に起こるまでを僕達が監視するってことだからね。

それぐらいは森に潜るって事を前提で準備しないといけないな。場合によってはその倍以上居る事になるかもしれないしね。



まずは、鍋だ鍋。1個だけじゃ足りないってのが痛いほどわかった。え?緊張感がない?

だって10日間飲まず食わずで警戒なんて出来ないでしょ。

動きがあったらすぐに町に戻って戦闘にも参加しなきゃいけないんだし、その間もしっかりと体力つけないとだからね。

野営の準備はしっかりと滞りなくしないといけない。


柔らかいパンは2日間ぐらいはもつだろうから2日分買って。その後は米と小麦粉で凌ごう。米はユガーラの町に行かないと買えないから、小麦粉を中心にする感じだね。期間が決まっていないからかなり多めに買っていくことにした。

肉はなるべく現地調達する事にして、野菜は日持ちしそうなじゃがいもと人参とたまねぎとかぼちゃかな。

乾物類は前回買ったやつがまだ残ってるし今回は買わない。


 今回はマリアも一緒に食材を買いに行った。

ちょっと大変な事態に陥っているけど、マリアと一緒にいるとすごく心が落ち着く。

2人で並んで市場を歩いてるとなんかデートみたいでドキドキした。いやデートなんてしたことないんだけどさ。多分デートってこんな感じなんだろうなって思っただけ。市場でデートなんてしないか?



翌朝僕達は準備を整え西の森に旅立つ。


朝食はギルドの酒場で魚セットを食べた。マリアは肉セットを食べていた。

朝食を食べていると防衛組の冒険者達から声を掛けられた。


「警戒任務頼むぞ!」「防衛の準備は俺たちに任せておけ!」「無理はするなよ!」荒くれものってイメージだった冒険者だったけど、領都のギルドにきてそのイメージは覆された。みんな顔は怖いんだけどね。



マリアと冒険者登録をしている時に周りにいた冒険者達を見ていて感じたのが、粗野だが紳士という印象。


ルーキーへの洗礼とか、酔っぱらって暴れるとか、手柄を盗んでやるとか、なんかそういう異世界物のテンプレみたいな人達は一人もいなかった。


酒場で隣り合った冒険者達の話を聞いていたが、彼らは冒険者という職業に誇りを持っており。

彼等は彼等の中の正義に従って行動している。そんな風に感じた。


それがこのミルドレイク領だからなのか、この世界全体にいえる事なのかはまだわからないけど。でもきっとミルドレイク伯がクラン育成に力を入れていることも関係してるんだろうな。


とりあえず僕はそんな彼等の為にも今回の警戒任務をしっかりと遂行するつもりだ。

スタンピードが発生するまでに領都の防衛体制を整えてくれる事を祈って、僕達は西の森に入っていった。



先日野営をしたポイントに着くと、僕達は再びその場所で野営をする準備を始めた。

気配察知が5になって、索敵できる範囲が広がったことにより、この場所から充分コロニーの動きを監視する事が出来るようになったからだ。


天幕を張りながらでも、食事を作りながらでもいつでもコロニーの動きを追っている。

コロニーの動きからダンジョンの位置も正確に把握できた。


常に5個のコロニーが地上に出て行動しており、その動き方のパターンも大体把握できた。

今のところ目立った変化は見られないので、引き続き監視をしていく事になるだろう。



マリアはこの監視の時間を利用して、自分自身の魔力をコントロールする練習をすると言って、一人で色々と試しているようだった。



僕自身も使える魔法を増やすために色々と練習というか実験をしている。

その最初の成果は神聖魔法の聖なる光。【ホーリーライト】だ。ゴーストに対してなんの攻撃も与えられず、無力を感じていた僕だったが。

神聖魔法を使えるという事を思い出し、魂を浄化させて昇天させるという方法に至ったのだ。


まぁ【ホーリーライト】なんて名前は見た目だけで名付けただけなんだけど・・・。

魂を浄化、昇天させるって思いだけを込めて魔力を放ったら天上から照らす光が出現したのでそう名付けただけ。


名前なんてなんでも良いみたいだから、他にかっこいいの思いついたらそっちで呼ぶかもしれないけどね。大事なのは魔法の効果に対するイメージだけだから。


他にも何個か実験した魔法があるんだけど、発動させると物凄い事になりそうだから、試すのは今じゃないなと思った。

ここでそんな魔法使ったら監視対象に警戒されてしまうし、それで刺激してスタンピードを誘発してしまうのも困るしね。



通信の魔道具は正常に動作しているようだった。毎晩定時報告を入れているが、キチンと動作している。


まぁ僕自身が使っているわけじゃなくてマリアに任せてるから(動作しているようだった)って言い方なんだけどね。


僕にはそんな魔道具使えるだけのコミュ力がないっつーの。音声だけで気軽にやり取りできるぐらいミルドレイク伯と親しいわけじゃないしね。

っていうか違う人が出た時には多分動揺して意識を失う自信もある。


異世界にきても結局そういうダメなところってダメなままなんだな。

直そうと努力はしてるけど、馬鹿は死ぬまで治らないって言葉があるように、死ぬまで治らないことってあるんだろうな。


とりあえず僕は今できる事を精一杯やっていこうと思った。


今できる事はここでコロニーを監視しながら美味しいごはんを作って食べる事。

今夜は現地調達したワイルドボアの肉をラム酒とマヨネーズで焼いたものをご飯の上に乗せた【マヨ焼き豚丼】

ラム酒の香りがマヨネーズのコクを引き立ててすごく美味しいかった。

ワイルドボアの肉を手に入れたら試してみて!まぁ豚肉でも別にいいけどね。豚肉に軽く塩を振って薄く味をつけておくのがポイントだよ。それとラム酒入れたらしばらくグツグツさせてアルコール飛ばしてね。中途半端だと酔っぱらっちゃうぞ。

って誰に説明してんだ僕。

この物語にはラム酒がいっぱい出てきます。

よくみる異世界物のお酒の定番と言えばエール酒ですよね。

でも私のイメージはラム酒なんですよ。

海賊=ラム酒ってイメージされるように、屈強な冒険者はアルコール度数の強いラム酒をガンガン飲むだろうって。


私自身ラム酒が好きでよく飲んでいますし、料理にも使ったりしています。

ちょっと癖がある味なんでどんな料理にでも合うというわけではありませんが、今回出したマヨ焼き豚丼はおすすめです。

良かったらお試しください。

マヨネーズは最後に和える程度でいいですよ。

ラム酒入れたら結構長い時間グツグツさせてアルコール十分に飛ばしてくださいね、お酒弱い人はぐでんぐでんになっちゃいますんで。

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