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第25話 領都ミルドレイク

当初思っていたよりもだいぶ速いペースで書き上げてきましたが、そろそろペースが落ちてきました。

出来るだけ毎日投稿続けていこうとは思っていますが、突然途切れることもあるかもしれません。

その時はどうかご容赦くださいませ。

 「おーい、そろそろ交替の時間だ。」見張りの交代を告げに一番若い警護兵の隊員が僕を起こしに来た。

まぁ既に気配を察知して起きていたんだけどね。


「了解だ、すぐいく。」横を見ると既に起きて僕の着替えを用意しているマリアが居た。


見張りを僕の代わりにやると言ってくれたんだが、僕としては朝食の準備を兼ねているから別にいいよって断ったんだけど。

どうしてもっていうからそれも含めて一緒にやることになった。


着替えを済ませると2人で天幕を出て、見張り台に移動する。

朝食の準備と言っても今朝はそれほどやることは多くない。今朝の1品はおにぎりだから!


昨日ユガーラの町で仕入れておいた鮭っぽい魚を昨日のうちに捌いて、焼いて身をほぐして軽く乾燥させておいたんだ。

あ、そうそう夕食の時に出たお刺身なんだけど。あれは全て川魚なのだそうだ。

まぁそりゃそうだよね、海は領都から更に1日馬車に揺られた場所にある川を、船で1日半下ったところにあるそうだから。

それで白身魚ばっかりだったわけだ。


この鮭みたいなお魚も川魚。日本の鮭も海に出て小エビなどの赤い色素の入った餌を食べて、身が赤く染まってあんな色になってるだけで、本当は白身魚だからね。


その鮭みたいな魚のほぐし身にラム酒と醤油を煮詰めて作ったソースとマヨネーズを混ぜて、鮭マヨネーズモドキを作る。



あとは大鍋でご飯を炊いて、具を入れたら鮭マヨおにぎりの出来上がり!


スープの方は昨夜食べたロングファングボアの骨を長時間煮て出汁をとったスープだ。

スープ担当の御者さんにそう言って昨夜から仕込んでもらってた。味付けはお任せしてある。

さっき大量の野菜をぶち込んで煮てたから美味しい野菜のうま味も出ているだろう。楽しみだ。


そんなこんなで朝食の準備も出来たので皆を起こして回る。

朝食の準備も手際が良くなったのか、皆が起きる前に出来るようになった。主婦レベルが上がったって事だね。


ハッとして掌を見る。


名前:火神疾風

年齢:15歳

LV:21

HP:880

MP:6640

腕力:45

知力:105

体力:40

素早さ:1980

器用さ:215

スキル:鑑定1・気配察知4・反撃術・火属性魔法・風属性魔法・魔物解体・多言語理解・挑発・神聖魔法

加護:@@@@の加護 火の精霊神サラマンダーの加護


よかった・・・。主婦スキルは無かった。いや、あってもよかったけどね。


相変わらず鑑定は上がらないなぁ。っていうかMP上がり過ぎじゃね?

あぁあれか魔力切れで2回も失神してるからかな。



という事で隊員の皆さんを起こして朝食を食べた一行は一路領都を目指すのであった。



道中昨日と同じ様に僕とマリアは5号車でお茶をしながら周りを警戒していた。どうみてもサボってるようにしか見えないが、ちゃんと働いているのである。

気配察知で危険な魔物の動きは常に把握していたしね。


そう言うわけでちゃんと仕事もしてたが、特になんの問題も無く無事に領都に着くことが出来そうだ。

っていうのも前方には既に領都を囲む高い高い壁が見えているからだ。

多分高さにして30mぐらいあるんじゃなかろうか。門の前に居る人との対比でそう思った。この町は何から襲われることを想定してあの壁を作ったんだろう?巨人でもいるのかな?



門へたどり着くと物凄い行列ができていた。かなり厳しいチェックを受けてから入ることが許されるようで、いつもこんな風に行列が出来ているらしい。


ただ今回は特例で、列の横をミルドレイク家の箱馬車が先導して、隊商の馬車がそれについていく。


門番と一言二言のやりとりの後すぐに中に通される。



門をくぐるとそこは広大な広場になっていた。その広場の向こうにはズドンと1本大通りが通っていて、その奥には噴水が見える。

きっとここがメインストリートなのだろう。


馬車はそのまま大通りを進み、噴水の所からくねくねと曲がりながら進んで行く。


馬車がすんなり通れるほど大きな通りだが、曲がり角が何度もあって、見通しが悪くなっている。


恐らくこれは敵に攻め入られた時の為に、迷いやすく見通しが効かないように出来ているんだろうな。勝手にそう理解した。


町を訪れた人々が迷いなく宿や商店へ辿り着けるように、入り口付近は分り易く作られていて、町の中枢まで進むには土地勘が無いと難しくできている。

上手く作られているなぁ。勝手に関心していた。

これはきっと対魔物というよりも人間相手の戦争を想定しての町作りなんだろうなと予想する。



グネグネとした曲り角を数えきれないほど曲がった先で突然視界が開けた。



大きな門をくぐると両脇に高木の植えられた長いアプローチがあり、その先には広い車寄せが設けられたお屋敷があった。

お屋敷は3階建てで、3階部分は大きなテラスになっているようだった。

左右へおおよそ200mずつ広がっている相当デカいお屋敷だ。何人で住んだらこんな大きさになるんだろう。


車寄せに馬車をつけると、お屋敷から使用人達がわらわらと出てくる。何人いるんだあれ。


ランバさんが箱馬車のドアを開けると中からキャスが降りてきた。

キャスはそのまま隊商の先頭の荷馬車に向かい、亡くなった近衛兵の遺体に手を合わせる。

使用人たちの手で屋敷内に近衛兵の遺体が運び込まれる。


レイ隊長と僕はランバさんに案内されて屋敷内へと入る。他の隊員達は別の場所に案内されていた。


屋敷に入ると応接室と思われる30畳ぐらいの広さの部屋に通された。部屋には豪華な調度品が並んでいて、いかにも金持ち貴族!って感じに見える。

レイ隊長は堂々としており、流石に貴族だなーと感心している。

まぁ僕も落ち着いた感じを装ってるけどね。

 勿論マリアは僕の斜め後ろに控えている。




しばらくすると、ランバさんが隣の部屋へ通じるドアを開き、「こちらへどうぞ。」と招き入れてくれた。


そこは先程の豪華な作りの部屋とは違い、質実剛健な作りの部屋だった。およそ12畳程の広さで真ん中に大きなテーブルが置いてあり、それを囲むようにソファが設えてある。


その上座に立つ二人の人物。一人はキャス、もう一人はレイ隊長と同じぐらいのがっしりした体格の男性。立派な口ひげを生やした怖そうな顔のおじさんだった。


「よう、久しぶりだなレイ!」ひげおじさんはレイ隊長にそういうと右手でがっしりと男らしい握手をした。どうやら面識があるようだ。


「まぁ座ってくれ。」ひげおじさんはそう言うと僕らを対面のソファへ座るよう促した。



「今回はうちの人間が世話になったようだな。ありがとう。」頭を下げる。

ひげおじさんは僕たちに近衛兵の遺体を運んだ事、キャスを護衛して領都に連れてきた事への謝意を表した。


「なぁに気にするな、ついでだよ、ついで。」レイ隊長はそういうとがっはっはっは!と笑って、出されたお茶をガブガブと飲み干した。豪快だなぁ。


「お前が疾風か?」ひげおじさんから突然怖い顔で話しかけられてドキン!とした。けど、顔には出さず、「そうだ。」と強気に返事をした。


「うちのマリアの命を救ってくれてありがとう。」僕に向かって深くお辞儀をする。


「や、やめてくれ。そんな簡単に頭を下げるな。」偉い人にこんな風に頭を下げられるとなんか逆に僕が悪いみたいに感じてきちゃう。ある意味暴力だよこれ。と激しく動揺する。


「いや、お前が居なかったらマリアは助からなかったと聞いている。本当にありがとう。」ひげおじさんは再度頭を下げた。


「あ、そうだすまない自己紹介がまだだったな。俺はディアスブローク・ズム・ミルドレイク。ここの領主をしている。」ひげおじさんはどうやら領主様だったらしい、いやまぁだいたいわかってたけどね。流れから。ほんとここの親子は揃いも揃って簡単に頭下げるなぁ。


「俺は疾風、火神疾風だ。」一応貴族様相手だからちゃんと挨拶しておこうと努力した。


「マリア、諸々の件はキャスバレイクとランバから聞いている。気持ちは変わらないか?」ミルドレイク伯がマリアに声を掛ける。

 

「勝手なお願いだという事は充分承知しております。ですがどうかお許しくださいませ。」マリアは深くお辞儀をする。


「あぁ、お前が一度決めた事を簡単に曲げないこともよく知ってるよ。俺はお前を娘だと思って世話してきたんだ。お前が幸せになる為だってんなら許してやるよ。」ミルドレイク伯がマリアに優しくそう言った。


「ありがとうございます。私は今人生で一番幸せでございます。」マリアは笑顔でそう答えた。


「よし、疾風。うちのマリアをよろしく頼んだぞ!」ミルドレイク伯が僕に右手を差し出す。


「任せておけ。」僕はその右手を握り返す。いててててて。凄い力だ。


ミルドレイク伯の隣でキャスがニコニコしながらそれを眺めていた。



この日は泊まっていけとレイ隊長と僕、それと隊商の面々もそれぞれ別室へ通された。


僕に使ってくれと言って通された部屋にはなんと湯舟までついていた。なんと贅沢な!でもお風呂があるのはとてもうれしい。


この後は亡くなった近衛兵達の葬儀の準備ができたという事で、屋敷の人達は殆ど葬儀が行われる部屋へと向かっていった。

マリアも「しばらくの間だけ失礼します。」と言って会場に向かっていった。



部屋の窓を開けると、先程外から見えた表側のテラスだった。

テラスに置いてある椅子に腰掛け、町を眺める。


とりあえず旅の目標、領都へは無事着いた。

思えば長い旅だったなぁ。

旅の間に起きた色々な事が走馬灯のように・・・。って死ぬやつこれ!!死ぬ時のやつ!!


走馬灯のように思い出したらヤバいから、まぁ良い感じに思い浮かべながらこれまでの旅を振り返った。



異世界にきて、サラに出遭って、魔法とこの世界の事を教えてもらった。


なんか盗賊とは変に縁があっていっぱい接したなぁ。


 人助けだと思いしたことで、思ったより感謝されて面食らったっけ。


凄い額の報酬を貰って凄い額の買い物をしたなぁ。僕も富豪の仲間入りだ。


領都までの道のりは長かったなぁ。

でも色々な事があって退屈はしなかった。

 

結果的に最後は娘さんを僕に下さいの場面になっちゃったなぁ、あれ。


娘だと思って接してきたって言ってたし、あながち間違ってはいないかもしれないけどさ。


15歳にして嫁を貰う心境になるとは思わなかった。いや、嫁じゃないけどね!?


領都というだけあって、町は本当に大きかった。ここでなら僕が役に立てる事もみつかるかもしれない。


まずは冒険者ギルドに行って仕事を探してみようかな。元Bランク冒険者のマリアと一緒ならある程度の依頼を受けられるだろう。


しばらくは宿屋さんにでも泊まって、落ち着いたら部屋を借りても良いかもしれない。

大きなキッチンがあって、お風呂がある部屋がいいなぁ。


目の前に広がる異世界の街並みに、僕の未来を思い浮かべながら。

沈む夕日をのんびりと眺める。

しかし、何か忘れてるような気もしないでもない。


 まぁいいか。

ケセラセラ。なるようになるさ。

とりあえずここでひとくくりつきました。

ゲームで言えばチュートリアル終了ってところでしょうか。

物語はまだ続きますので、よろしかったら引き続きご拝読くださいませ。

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