表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/51

第1話 異世界というところ

 綺麗な泉を眺める事数分。頭の中でぐるぐると先程までの出来事が浮かんでくる。

海岸を歩いていた自分が突然光に飲み込まれたかと思うと、森の中にある綺麗な泉の前で「水が綺麗だな」とか「飲めそうだな」とか考えてた。

そして突然ポップアップしてきた【泉】という文字(ウインドウ?)。

それを見た時点で、これは異世界転移というやつだと察したわけだ。


泉から顔を上げて「ステータス!」手始めに定番のやつから確認しておこう。



しーん・・・。



あれ?こう言うと大抵自分のステータスが出てくるはずだけど・・・。

「ステータスオープン!」

「ステータス表示!」

「ステータス出ろ!」




うん、出ないね。


あ、そういえば泉を見てる時に「これだけ綺麗な水なら飲めるかな?」って考えたら【泉】って文字が浮かんだんだったな。

じぶんの掌を見つめながら「鑑定」

すると掌の上に文字が浮かんできた。こうやるのか。


名前:火神疾風

年齢:14歳

LV:1

HP:25

MP:113

腕力:15

知力:38

体力:12

素早さ:187

器用さ:60

スキル:鑑定1


なるほど・・・。MPが少し高くて・・・。あとは素早さがダントツ高いってのと、器用さが少し高めかな?

MPの数値を置いておけば盗賊?暗殺者?忍者?

うーん思ってたのと違う・・・。正義の味方を常日頃から願っていたんだけどなぁ。まぁでも素早さ高くてある程度器用ってのは自分の戦闘スタイルにはあってるのかな?

僕は元々ガンガン力で押すタイプではなく、相手の力を利用して受け身で立ち回るタイプだしな。

おばあちゃんから習った合気道という武道も自分から攻める技は教わらなかった。いや元々無いのかな?

しっかりとした道場で習ったわけでもないし、自分で勉強したりしたわけじゃないのでそのへんはよくわからない。

弱い者いじめに合気道を使わせたくないっておばあちゃんの願いで、教えてくれなかっただけかもしれない。「合気道は人を守るためのものだよ」っていつも言ってたしな。

でももしここが異世界だと仮定すると、当然モンスターとか悪い盗賊なんかに出くわすかもしれない。なんらかの攻撃手段を身につけておきたいところではあるな・・・。


というかここは森の中っぽいし、これからどうするべきか。まずはそれが先決だ。

サバイバル的に考えるなら、まず目の前にあるこの綺麗な泉。これで飲み水は確保できた。

次は食料か・・・。少しこの辺りを探索してみるとしよう。

探索に先駆けて必要になってくるものとして、まず必要なのが。食料を入れるためのバッグのようなもの。



目線を下に送る、右手に大事そうに握られている大きくパンダの絵が描かれた麻布地の大き目なエコバッグ。さらにそこに入っているおにぎり2個と大盛カップ麺、明日の朝用にと思い買ってある総菜パン3個。そして1リットルのペットボトルに入ったウーロン茶。

パンダの絵は僕の趣味だあまり気にしないでほしい・・・。


まぁとりあえず2食分はゲット。あ、いやカップ麺ってお湯無いとダメなのでは?

しまった、異世界って不便だぞ・・・。

でもおにぎり2個とパン3個あれば少しはもつか。この泉を拠点にするにしても、ここに食料を置きっぱなしで探索に出るのはまずいな、野生の動物やモンスター、虫なんかも食料を漁ろうとして寄って来るかもしれない。


ということでパンダちゃんの可愛い絵が描かれたエコバッグをぶら下げたまま、辺りを探索することにした。


「はぁ、パンダちゃん可愛い」エコバッグを眺めながらまずは泉の反対側、自分の後ろ側に見えた森の中へ進んでみた。

ある程度進んでは拾った石で木に傷をつけていく。これを繰り返して10分ほど歩く。

平地では10分歩くと大体800~1000m歩ける。森の中で、しかもちょいちょい木に印をつけながらだから多分500m程しか進めてないと思う。

とりあえずこの方向へ10分だと木の実やキノコ類も全然見つからなかった。もっと先まで行くことは可能だが、まずは初期探索だしな。これぐらいの範囲を見て回ろう。

一旦拠点へ引き返し今度は泉に向かって左側の森へ入っていく。

5分ほど歩くと少し開けたところに出た。

広い草原が広がっていて、遠くには街道?のようなものも見える。

その街道が続く先をそれぞれ見てみるが、いくら目を凝らしても町らしき影は見えなかった。

いずれ町を目指すならこちらを目指すべきだろうと心に決め、再び拠点に戻ることにする。

次は泉を渡った対岸の森へ向かってみる。

10分ほど進んだところで、こちらにはたくさんの実をつけた木々を見つけることができた。マンゴーのような形をした実だが、食べられるだろうか?

自分の背丈より少し高いぐらいの低木が10本程、ある程度間隔をあけて生えていて、それぞれの木に5個ずつぐらいの実が生っていた。

とりあえず手近な実をひとつもいでみた。「鑑定」【ルエダの実】名前だけはわかったが、これは食用可能なのだろうか?

鑑定ではそこまではわからないみたいだ。ただ単に鑑定のレベルが足りてないからわからないだけか?ステータスには鑑定1って書いてあったしな、そのせいかもしれない。

触った感じは柔らかく、手で皮を剥くこともできそうだ。早速皮をむいて中身を確認してみる、こういう場合毒がないか調べないといけないんだったな。

以前テレビで見たサバイバル知識を一生懸命思い出す。肘の内側、皮膚の薄い部分に果汁を垂らして暫く様子を見ることにした。

ただこの場所でぼーっとしてるのも時間がもったいないので。食べられるかわからないが、3個ほど実をもいでパンダちゃんにしまい来た道を戻る。


泉まで戻ると次は泉の右側、左に行ったら街道にでた事を考えると、森の奥に向けて進む道を行く事にした。


5分程進むと妙な気配を感じた。気配?というかジリジリとした熱い視線のようなもの?

今迄感じたことのない感覚だ。立ち止まり目を閉じると感覚を研ぎ澄ます。

「そこか。」右に広がる森の奥、木々の間に茂った草むらの中。その草むらを睨みつける。

とにかく何か潜んでいるのは間違いない、明らかな敵意というか、なんかそういう感じの感情がビシビシ向けられている。どうする?こちらから出るか?いや、それは得策じゃない。こちらには敵意が無い事を示すか?いや、武器も持たないことからそれは明白だろう。いずれにしてもこちらから動くことは無い、相手の出方をまとう。



随分長い時間に感じたが、実際は数分の出来事だろう。ついに相手が痺れを切らして草むらから出てきた。

緑色の皮膚で1mちょいぐらいの人間の子供サイズ。耳が尖り歪な笑顔を浮かべている。汚い黒ずんだ腰布だけを纏っていて、右手には刃渡り50cm程の短剣を握り、左手に粗末ながら木の盾を持っている。これは所謂ゴブリンというやつだな。

話が通じる相手でもなさそうだし感じる殺気が尋常じゃない、これは戦闘になりそうだ。

「ギギ、グガギギ!」何か言葉のようなものを発した後ゴブリンは大上段から斬りかかってきた。素早く左に避けるとゴブリンの横に回る。

しっかりとゴブリンの攻撃は見えている。大丈夫だ、イケる。

大振りで振り下ろした短剣はそのまま地面に突き刺さる。短剣とはいえ身長の低いゴブリンには手に余る長さのようだ。

地面に刺さった短剣を抜き取ると慌ててキョロキョロ周りを確認する。どうやら僕の動きを追えていない様子。

「おい、こっちだ」顎を上げて見下す様にゴブリンを見ながら声を掛ける。

「ギギギ!ガーーーー!」怒りを露にゴブリンは短剣を横なぎに振り回してきた。それを軽く後ろに躱し、剣が通過したらすかさずゴブリンに向かって飛ぶ。

勢いあまって後ろ向きになっているゴブリンの背中めがけて当身を食らわす。

剣の重さに振られて不安定だったゴブリンはそのまま前のめりに地面に倒れてしまい、ゴロゴロと2回転程転がっていく。そのせいで盾と短剣を手放してしまった。

僕の近くに落ちた盾を拾い左手に持つ。「これ欲しかったんだ、ありがとよ。」

豪快に転んだゴブリンはその言葉に激しく反応して素早く立ち上がる。いや、多分言葉は通じてないけど言い方で馬鹿にされたってわかったんだろうね。っていうかこんな目にあわされたら誰だって怒るだろうけど・・・。

自分の傍に転がっていた短剣を拾うと「グゲーーーーー!!」という言葉とも雄叫びともとれるような声を上げながら突っ込んできた。

両手で握られた短剣を上段に構えながら走りこんでくるゴブリン、それを冷静に観察する僕。

真上から振り下ろされる短剣はそのまま真下に振り下ろされる。予め少しゴブリンに対して少し右目に身体を動かす、振り下ろされた短剣を左手に持った盾で左下に払い、その身体の回転を利用しそのまま右掌を前に突き出す。

掌底が見事にゴブリンの眉間にヒットした、その瞬間。『スババババババババババッ!!!』某ゲームの会心の一撃さながらの音と共に吹き飛ぶゴブリンの頭頂部。

「うへっ、グロい・・・。」自分が今までした喧嘩(戦闘)は血を見ることはあっても、生死にかかわるような怪我はさせていないし、してこなかった。それは日本の法律がたとえ正義であっても人を傷つけることを禁止しているからである。

地面に横たわるゴブリンの成れの果て、先程まで元気に動き回っていた姿が脳裏に浮かぶ。自分の右掌にはどす黒い返り血がベットリついている。他者の命を奪った感覚に吐き気を覚える。

これは問答無用で切りかかってきた相手が悪いと一生懸命自分に言い聞かせる。

今のがゴブリンだったから許される?もしこれが盗賊や自分に敵意を示す人間だったら?同じように命を奪うことができるだろうか?

この世界で生きていく、正義を行うということはそういうことだろう。十分に考える必要がありそうだ・・・。

もう少し長めのスパンで投稿していきたいと思っていたんですが、思っていたより生活に余裕がありそうなので早めの投稿です。

物語のストックはある程度あるんですがチェックしていくと書き直したいところが出てきてしまって、なかなか投稿ボタンが押せなくなってしまって・・・。

これから面白くなっていくと思いますので次回もお付き合いよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ