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第12話 人見知り、感謝される

ここへきて長々と説明回が続きますが、まだチュートリアルという事でご了承ください・・・。

 食事をとってだいぶ気持ちが落ち着いた僕は、とりあえず宿へ帰ることにした。

このあと町の代表が来るのでと引き留められたが、僕は逃げるように外へ出た。


とてもじゃないがそんなに次々と感謝されるのは耐えられない。

既にさっきのドルトンさんからの感謝攻撃で辟易している。


リリィさんに手伝ってもらいながら靴を履いて外に出る。


門のすぐ近くにある石造りの建物。リリィさんによると門番たちの詰め所になってるという事だった、そこから出ると焼野原が広がっていた。



昨晩火の手があがっていた、門付近にあった家々は全焼していた。

その燃え残った家材の撤去もすでに始まっており、辺りは作業をする住民たちの姿であふれていた。



人目が多いので首に巻いたストールをググっと持ち上げて顔を隠す。顔を下に向けすれ違う人と目を合わせないようにして宿を目指す。



道はすぐに分かった。というか見えていた。

間を遮る家々が燃えて、宿の建物が見えていたのだ。



すれ違う人々は口々に

「盗賊と戦ってくれたあの人じゃない?」

「怪我大丈夫かしら?」

「あの人のおかげで家族が無事だった。」

「あの人がいてくれなかったらどうなっていた事か。」

僕の事だろう事を話している。

悪い事は聞こえてこないが、どうしてもこういうのが苦手だ。



自分の事を話されている。何を言われてるのかわからない。陰でコソコソ言われている。どうしても悪い方向へ考えてしまう。


歩く速度を上げて逃げるように宿へ向かう。




ガッ!急に手をつかまれて立ち止まった。



振り向くと一人の老婆が立っていた。僕の手を取り涙を流す。

「あなた様のおかげで、息子は命を救われました。」話を聞くと、どうやらおばあさんの息子は門番をやっているらしい。


昨夜門を破り入ってきた盗賊達によって門番たちは手酷くやられていた。

僕の決断がもう少し遅かったら殺されていたかもしれない。おばあさんはその事をとても感謝してくれているようだ。


すると周りで見ていた町の人たちも集まりだし。

「あんたのおかげでうちの家族は救われた。ありがとう!!」

「もう少しで死ぬところだった。命を助けてくれてありがとう!」

「町の救世主だ!」

「ありがとう!!」

住民に囲まれみなそれぞれ感謝の気持ちを叫ぶ。



うわぁ・・・。顔上げられない・・・。


感謝される事自体は嬉しいが、これだけの人に囲まれているこの状況は僕にとってとても辛い・・・。



「俺が勝手にやったことだ。感謝するのは構わないが、それぞれが勝手に感謝してくれ。」皆を手で遮ってそう言った。下を向きながら。



「もうこれぐらいにしてくれ。こんな格好で人前に出ている事すら恥ずかしいのだ。」そう言うと僕は宿へと逃げていく。着の身着のまま出てきたみすぼらしい部屋着で今外にいる事が突然恥ずかしくなってきた。




やっちまった・・・。あんなに感謝してくれていたのに失礼な対応をとってしまった。

これじゃ正義の味方失格じゃないか・・・。



こういうのはほんと慣れていない。

いつも日常的に介入していた問題はこんなに感謝してもらえるような事じゃなかった。

せいぜいお礼を言われて名前を聞かれてさよならだ。その後はもう一生会わない。


しかし人とまともに会話できないので勘弁してほしい。いやそんな事あの人たちには関係ないもんな。ほんとこんな僕で申し訳ない。


顔を真っ赤にして宿に逃げ込むと、そのままの勢いで部屋に直行した。

首のストールを外し、ベッドに倒れこむ。


はぁ自己嫌悪・・・。




ゴロゴロ

仰向けに転がると、手を前に出し自分の掌を見る。


名前:火神疾風

年齢:15歳

LV:12

HP:640

MP:3570

腕力:35

知力:75

体力:26

素早さ:1300

器用さ:170

スキル:鑑定1・気配察知2・反撃術・火属性魔法・風属性魔法・魔物解体・多言語理解・挑発

加護:火の精霊神サラマンダーの加護


おぉ、レベルあがってるなぁ。盗賊相手でも上がるんだな。まぁ魔法練習してるだけでMPは上がってたしな。


っていうか気配察知が2ってなってる。これってスキルレベルって事なのかな?

この町への道中ずっと警戒してたから上がったのかな?


スキルの横に数字があるやつはレベルが上がるのか。

っていう事は、今まで役に立たないからあまり使っていない鑑定もレベルが上がれば使えるスキルになるって事か?


そう、今まで【泉】【ルエダの実】とか、使っても意味のないような情報しかくれない鑑定を、僕はほとんど使っていない。

この横にあるのがスキルレベルだとしたら鑑定のレベルを上げればもっと役に立つ情報が得られるかもしれないな。

これからはもっと使うようにしよう。


あれ?っていうか挑発ってのが増えてる。そんなスキル使ったっけ?




あー、門番たちに群がる盗賊を引き剥がす時に、【こっち向け!俺を攻撃しろ!】って願いながら見得を切ってたっけ。あれが挑発って事かな。

僕へヘイトを向けるって意味でいいんだよな?これは数字が付いてないからこれ以上上がるって事は無いんだろう。

っていう事は100%ヘイトを向けられるって事だと理解しよう。

とっさに誰かを守りたい場合に便利かもしれないな。


ってか【挑発】とか言わないでも発動するもんなんだな。いや、そういえばさっきも【鑑定】とか言わないで掌見ただけでステータス出てきてたわ。


そうしたいと思うだけでスキル発動しちゃうんだな。魔法も【ファイアボール】とか言わないでも出せてるしな実際。



そういや昨夜は魔法凄い威力だったなぁ。

いつもの癖で、人に見られてテンパっちゃって、厨二臭漂う呪文的なやつ唱えてたからそれで増幅したとか?

そういやリーダー倒した後に意識失っちゃったけど、あの1発で殆ど魔力使い果たしちゃってたって事だよな。


あんな感じで呪文的なやつ唱えると魔力ガン積みして強力な魔法放つって事なら、少し控えないとだめかもしれないな・・・。

1発で倒れるようじゃ危なくて使えないしね。


っていうか最後手刀で盗賊のリーダーの手首吹っ飛ばしたな。あれも意味わからん。肉体強化使ってたけど、あんな風になるぐらいの魔力も力も入れてなかったはず。


そういやあの時【ズババババババッ!!】ってSE聞こえてたよな。戦闘時に度々聞こえてたけど。


最初のゴブリン戦。あの時もあの音聞こえて掌底で頭吹き飛ばしてたっけ。

2回目はフォレストウルフの首を風の刃で切った時。

それで3回目が昨夜のリーダーの手首切断事件だ。

たしかその3回だけ。

あ、いやその直前に盗賊3人門柱まで吹き飛ばした時も鳴ってたから4回か。それもすごい威力だった・・・。


そういえば、森の出口で出会ったフォレストウルフ2頭の首を同時に切った時には音しなかったな。



あの時からだったかな、相手が僕に向かって来る時に時間の流れが物凄く遅く感じられて。周りの動きがスローモーションに見えるんだ。


いや、ゴブリンの時も多少そんな感じはしてたかも、戦闘中にやけに心が落ち着いてた。

2回目も思い返せばゆっくりだった気がする。


はっきり認識したのが3回目の戦闘、2頭のフォレストウルフ戦だ。あの時ははっきりとスローモーションになってた。


これってもしかしたら、いまだ謎のスキル反撃術ってやつのせいか?



確かに相手が僕に対して敵意むき出しで向かって来る時にスローモーションになってるな。

その反撃をしやすくするためにスローモーションに見えてるって事なら、これらはスキルのおかげって事か。



反撃術すげーな!!


でもあのSEはなんなんだろ。2頭のフォレストウルフを倒した時は聞こえなかったんだよな。

あの昔やってたゲームの会心の一撃の時に出ていたようなSE。



あぁ~クリティカル出てダメージが上がったから頭や手首が吹っ飛んだって事かな?きっとそうだ。

SEの正体ってのはクリティカルが出たって事で間違いないだろう。






ん?ステータスをじっと見てて一つだけ見逃してたところがある。


名前:火神疾風

年齢:15歳

LV:12

HP:640

MP:3570

腕力:35

知力:75

体力:26

素早さ:1300

器用さ:170

スキル:鑑定1・気配察知2・反撃術・火属性魔法・風属性魔法・魔物解体・多言語理解・挑発

加護:火の精霊神サラマンダーの加護



年齢増えてね?

もしかしたら今日誕生日じゃね?


僕は異世界で誕生日を迎えた。

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