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2・社会学研究会の先輩と個別面談状態です‥‥

(8/13)先に上げていた途中までの内容の、言葉の言い回しをチョットだけ変更、更に内容を追加して最後まで書きました。罫線(──)以降が書き足した部分です。サブタイも変更しました。

(8/9)一箇所間違いを修正(芳佳と善子の書き間違い)、指示代名詞が連続したりなどの文章のおかしな所を手直ししたのみで、内容の変更はありません。

(5/24)前半部分です。

学校から駅へ向かう途中の商業ビルにあるおしゃれなカフェの、籐製(ラタン)の椅子に座っている私と社会学研究会の先輩の図、である。

JK御用達と云うには少々お洒落過ぎなそのカフェのメニューは、背伸びして中流を気取ってる私にはイササカキツめの値段が表記されてて、思わず最安値のブレンドコーヒーを注文した。

駅にもう少しお手頃な店もあるにはあるのだが‥‥

一方向かいの女子小学生みたいな先輩は、横文字でウンタラカンタラと小さな声で呪文を詠唱するかの様な何かよく解らないモノを注文した。

で、私達は何故ココに居るのかと言うと、先程学校のエントランスで私が先輩に声をかけられ、先輩が少しお時間良いかしら?と、小さな声でお上品な言い回しでチョッとツラ貸せと云うので、恐る恐る付いて参った次第。


注文の後飲み物が出てくる間を利用して、先輩が自己紹介を始めた。

クラスは3年1組、名前は丸善(まるぜん)芳佳(よしか)。社会学研究会の唯一の部員であり部長であると。

そして気になってる様だから最初にバラしておくが、身長は142センチだと言う。

小学校5〜6年生程度で、何か貴重な情報な訳でもないのだが、本人もご覧の通り背が小さいのは事実だからしょうがないと気にせず受け入れてる様子だ。


丸善先輩は今度は私に自己紹介を迫った。

私も最低限の礼儀として、名前は境野(さかいの)善子(よしこ)と名乗り、スカイブルーのスカーフである事から学年は1年、、、6組。

ソコまでで私は意図的に一旦途切らせたのだが、丸善先輩は身長を訊ねてきたので158センチと開示し、体重は勘弁してくれと先にお断りした。

何だかやはり自分の小ささを意識してる?様な気も‥‥

するとその代わりと言わんばかりに、胸のサイズを訊かれてしまう。

私はギクッとして思わず丸善先輩の〝お胸〟に視線を下げてしまい、ソレに気がついたのか丸善先輩は今のは冗談だと質問を取り下げた。


面前にホットコーヒーと、クリーム状の何か美味しそうなトッピングが施されたカフェラテっぽい飲み物が置かれる。

テッキリ冷たい飲み物だと思ったらマグカップに入った温かい飲み物だった。

私はホットコーヒーに砂糖を2サジ入れてかき回してると、丸善先輩はその豪勢な飲み物を両手で持って直接口に運び、チョコッと飲んで鼻の下にクリームのヒゲを作った。

その様子はまさしく小学生の女の子みたいで可愛らしかった。

丸善先輩はその一口でカップを一旦テーブルに置き戻し、傍らの紙ナプキンで泡のヒゲをフキフキして次の質問を始めた。


私は恐らくそう訊かれるだろうと思っていた。

丸善先輩は社会学研究会に入部希望なのかと問うてくる。

私は今は曖昧に逃げておこうと思い、まだ何の部活に入るかは決めておらず色々と様子見なのだと返答した。

すると芳佳先輩は、あ、そう、的な予想以上に淡白な反応を示し、ポカル部の竜宮部長とは真逆だった。

ところが、ナゼか丸善先輩は社会学研究会の活動内容について語り始めたのだ。

その辺はポカル部長竜宮先輩と同じ流れだった‥‥


社会学研究会は、実は創立以来続いてきた部活動だったが、当時はメンバーが5人規定を満たしており(れっき)とした部活だった。

現在はさっきの話の通り部員は1人なので、現在は3年の彼女のみ。

因みに丸善先輩が1年だった時には当時の3年生が1人所属していたそうだ。

活動内容は、基本的には社会の色んな物事に対して、色んな角度から、色んな視点を用いて、色々と研究する、的な?何か掴みどころのない内容である、と説明する。

そして具体的には、政治経済をはじめ社会情勢を伝えるニュースや記事、評論家やご意見番風情の論説者などの関係団体・個人を問わず、ツイッターやインスタグラム、フェイスブックなどのSNSやニュース・コラムに上げられた主張や情報発信などについて、高校の社会学研究会名義で異議反論を述べるなど批評したりアレコレ提言・発言を投げ返す活動を積極的に行っている。

勿論クソリプと評されて逆叩きに遭う場合も当然にあるため、ソレに負けずにガッツリ論破する事もモットーとしているのだそうだ。


そこまで聞いて私は内心ワリと引いた。

ソレって〝アレ〟じゃん、的なメンドクサさを感じ取ってしまったのだ。

だが丸善先輩はそんな事をさも当然のごとく、むしろその辺に何らかの情熱を持っていそうな気迫を何となく感じてしまったのも事実で、つまり丸善先輩はイロイロと面倒くさそうな人物‥‥


また、昨年2人体制だった時は各々ジャンルを分担したり、更に以前はユー・チューブに動画を載せたりしてた事もあったらしい。

勿論顔は晒さずアバターを使用していたと言うので、何故か理由もなく安心した。

サスガにユー・チューブチャンネルは先代より前で途絶えてしまったらしいけど、要するにメンドクサイ部活‥‥同好会であると云う認識が私の中で成立した。


ただ私はその活動自体が何か高校生活の役に立つだろうか?とポロッと言ってしまった。

丸善先輩はソレについては、事実に基づいた正しいソースを用い、物事を理論的に・合理的に分析・判断し、それによって思考を巡らせ論説を立て、世の中をより良くするために今あるモノを改善し次の未来に新しいモノを生み出していく、そんな活動の基礎訓練みたいなものだと述べた。

そこまで説明すると、丸善先輩は2口目をまた両手で抱えて口元に運んで、ヒゲを作って紙ナプキンで拭き取った。

日々の生活の中で常に考える事を訓練し習慣とし、その積み重ねを経て賢くなる事・得られる利益は全てモノにする人生を送るためだと、丸善先輩は意義を語った。


私がポカンとした顔をしてたのか、丸善先輩は解りやすく言えば、と前置きし、今世の中は多くの人が感情に支配され、自分の勝手な事情や都合で物を言い行動し、公共の利益より自分の利益ばかりを追求し、唯我独尊の混沌とした倒錯社会になっている、そんな自分勝手が少しでも少なくなればもっとより良い社会に変わっていく筈だと持論を述べた。

ソコまでの事を、小さな声で囁く様に穏やかな口調で私に訊かせるのだ。

そんな丸善先輩の喋り口調や声質にも寄るのだろう、私は何だか母親の読み聞かせを聞いてる様な、でも内容はサッパリなのだが、そんなフンワリとした雰囲気に包まれるような感覚になっていた。


  ◆


そんなフンワリとした感覚に浸っていると、私の視界の隅っこで何かが動いているのに気付く。

私はハッと我に返ってそちらに顔を向けると、そこにはうちの学校の制服を着た女史がピョンピョン飛び跳ねていた。

周囲に居た人も何者かと皆がビックリして注目している。

さもありなん、その女子ときたら途轍もないデカさだったからである。

私も何者ン?アイツ?と呆気にとられてると、丸善先輩もそちらに目を移して手を顔の辺りで小さく振っている。

やがてその得体の知れない大女(おおおんな)は、私達が居る喫茶店の入口の上縁部分に頭をぶつけながら入ってきた。

イヤあの入り口ドアの上っ縁に頭をぶつけるなんて、どんだけデカいんだよ?

しかも女だ。


その女はオデコを手でスリスリしながら私達の所までやってくると、その場所から店員さんに向かってアイスのラテ・マッキアートを注文した。

そのデカさたるや並ではない、私の目の前にその女の股間があった。

彼女は学校の美術準備室に行ったら丸善先輩は既に帰宅した旨を聞き、駅に向かっていたら偶然この店の私達に気づいたのだと言う。

そしてイソイソとそのデカい体を丸善先輩の横に押し込もうとしていた。

丸善先輩もヤレヤレと自分がもっと奥に譲って彼女を席の中に入れてあげた。

ソレに加え、そんな巨体のクセに大きなリアクションしなくても、この位置から充分見えていると苦言を述べた。


またまた私がポカンとしてたらしい。

そのデカい女は自ら自己紹介を始めた。

名前は八嶋(やしま)未来(みらい)、丸善先輩とは幼馴染で1年後輩の2年生だがクラスは6組と言うので、私と同じだ。

私はその八嶋先輩のフルネームを聞いた時、ホワイトベースの操舵士ではないか?とポツンと思った。

私が興味本位に思わず大きいですねと言ってしまうと、コチラも本人は気にしてる様子はなく自らの身長を190センチ位?と明かした。

190センチって、キョービ男子でもそんな巨体見る機会は少ない、ましてや女子‥‥

サスガに2メートルはないよと一応念を押されたがドーでも良かった‥‥


私が言葉を失っていると、丸善先輩が解説する。

自分とこのデカ女は学校でも有名なコンビなのだと。

片や学校最小、片や学校最大(男子含め)。

学校の制服も双方特注らしい、そりゃそーだ‥‥

出されたテーブル上のアイスのラテ・マキアートもシャンパングラスみたいだし。

そこに八嶋先輩が笑い話を添えた。

丸善先輩は自分に『タカイタカイ』をしてもらうのがお好みなんだとか。

てかソレ『凄くタカイタカイ』な気がする‥‥

その話に丸善先輩は、時々そうやって自分よりもっと高い目線、別の視点からの世界を見ることによって、今見ているモノがまた違って見えるのだとか。

ソレが即ち客観視と言うやつだ、と論じた。


一頻り八嶋先輩の自己紹介タイムが終わると、八嶋先輩が丸善先輩にヒョッとして私は新入部員なのか?それとも勧誘か?と質問した。

丸善先輩は、当初自分や社会学研究会に興味でもあったのかと誤解してしまったがどうやら冷やかしだった、と意地悪な言い方をする。

私は慌てて違いますから、と取り繕うと、八嶋先輩は芳佳ちゃんは独りで寂しそうだからぜひ入部してあげて欲しいと、ソレは冗談なのかマジなのか判断に困る言い方をした。

なので私もエヘヘと苦笑いを返すしかなく、寧ろ八嶋先輩は社会学研究会には入ってあげないのか?と訊ねた。

すると、八嶋先輩は現在既にバレー部に所属していると言い、ソレに続いて丸善先輩が既に体育大学や実業団のバレー部などから目をつけられているのだと補足した。

まぁ確かに、このデカさは相当魅力なのだろうな‥‥

或いはファッションモデルとか?


ところで、あなたは高校生活で何かやりたい事とかないの?と八嶋先輩かた訊ねられた。

私はソレについては、変態的なエロについて研究したいですとは当然言えないため、ゴニョゴニョと特にコレと言って何もない的な返事をしてしまった。

すると丸善先輩は、3年間なんてアッという間だし、その先には大学生活、そして社会人となった時、どんな自分でありたいかのビジョンを今からでも大まかに描いておいた方が良いと、何だか人生の先輩みたいなアドバイスする。

そりゃまァ2年だけ先輩ではあるんだが、でもその声のトーンは囁くような小声ではあったが穏やかで柔らかいものだ。

はぁ、と気の抜けた返事をする私だが、逆にチョッと興味が出て、丸善先輩は何か目標と言うか夢とかがあるのかと訊ねてみた。

すると意外な返事が返ってくる。

丸善先輩は、最終的には政治家にでもなろうかしら、と答えたのだ。。。


  ◆


その後私達3人は駅で別れた。

丸善先輩と八嶋先輩は駅の改札を通ると日吉方面行きのホームへ上がっていくのを見届け、私は反対側のホームへ上がった。

すると階段を登りきった所にスマホを弄る真夢を発見する。

同時に私のスマホがLINEの着信を知らせた。

その音が恐らく真夢にも聞こえたのだろう、コッチに振り向き私を発見した。

私は今帰りなのかと手を上げて挨拶しつつスマホを取り出すと、やはりLINEの送り主は真夢だった。


そして私の背後のチョッと離れた位置からも声がする。

そっちに振り返ると、反対側のホームで大柄でありながら更に手を振り上げている八嶋先輩の巨体があった。

こうしてみると丸善先輩の小ささが子供みたいで目立ち、八嶋先輩のデカさが際立っている。

私も一応手を振った後にお辞儀をして挨拶すると、丸善先輩と八嶋先輩のコンビは入線してきた電車に隠れてしまった。

サスガに電車越しには八嶋先輩の姿は見えなかった。


既に私達が乗る下り電車はホームに停車していて、乗り換え客の接続待ちをしている。

その電車内で真夢はさっきの巨女先輩と知り合いなのかと訊ねる。

私は実はさっき知り合ったばかりと明かすが、ソレにしてもあのデカさには驚いた様だ。

更には傍らにいたチッコイ先輩とも知り合った事も付け加える。

その理由を真夢が訊ねるので、私はチョッと文化部を巡回していたら捕まってしまったのだと核心部分はごまかしつつ適当に経緯を明かす。

ソレを聞いた真夢は、私に既に何らかの部活に入るつもりなのかを問うので、私はまだソレ以前の情報収集段階だと部活を始めるかどうかの前提を含めて否定しておいた。

それにしてもあの凸凹先輩は、クラスの中で既に校内の有名人として噂されてる話を聞いたと言い、小人先輩と巨人後輩のコンビを知らない生徒は居ないのだそうだ。

そんな有名人だったのかあの二人、さもありなん、ではあるが‥‥


──────────


その後私と真夢は乗り込んだ電車の終点の駅まで行くと、そこから更に乗り換えて一つ隣の駅まで向かい同じ駅で降りる。

実は私と真夢は同じマンションで駅から徒歩10分程にある。

そこまでの道中私は真夢の部活どれにするか問題に積極的に付き合っていた。

その理由は当然、部活に関してはコチラの事情に深く突っ込まれたくないのでソレをカモフラージュする意図が大部分を占めていたのが実際である。


マンションのエレベーターで、真夢は2階で降りて私と別れた。

私はそのまま5階の最上階まで登る。

このマンションは5階建ての中層マンションで、この辺は近年区画が整備され開発された近郊住宅地で、詳しくは知らないが高層マンションなどは制限上建てられないんだとか。

実は私と真夢は以前はお隣同士だったのだが、私が中学2年の時に親の意向で空室が出来た5階の間取りが広い居室に移ったのだ。

当然ながらお隣さん同士で言わば幼馴染の真夢とは5階に移った後でも親同士含めて交流は変わらず続いている。

まァバルコニーを介した裏交流が出来なくなったのは残念だが。


私は誰も居ない自宅の空間にただいまを言って部屋に入ったのと同時に、スマホがメールの着信を知らせるアラームを鳴らした。

私はその相手がテッキリ真夢だと思い込んでいて、着替えを済ませるまで放置していた。

そして部屋着に着替えてキッチンの冷蔵庫から適当に飲めそうなモノを物色すると、たまたま牛乳しかなかったのでソレをコップに注いで1杯飲み干す。

その後で再び自室に戻ってカバンからスマホを取り出すと、今度はリビングに来てソファにごろ寝してようやく着信メールを確認した。

するとその着信の送り主は真夢ではなくママからであった。


私はこんなタイミングで寄越すママのメールは大概予測がついている。

仕事が長引いて遅くなる旨か、今日の晩ごはんについてなのか、或いはせいぜいその程度の大した用事ではない。

ところが今回は全く違った、予想外の内容であった。

初めて見る、コレまでにない内容のママからのメール、それは、これから父親と合流して都内で食事をしようという誘いのメールだったのだ。


私は結構驚いた。

一体何事なのか、ママがこんな内容をメールで送ってきたのは初めてだ。

少なからず驚いたのと同時に何かあったのかという不安も入り混じり、とにかくその待ち合わせの指定場所を確認すると、ママが勤務している病院のロビーあたりとされていた。

私は折角着替えたスェットの部屋着から、今度は外出着に着替えざるを得なくなったことにほんの少し不満を述べつつ身支度を始めた。


  ◆


ママの勤務する都心部の総合病院は電車で渋谷まで出た後、そこからバスに乗って終点まで行き着いたところである。

交通の便も非常に良いのだが、電車は上り線で混雑はないものの下車駅の渋谷はこれから混雑するタイミングだ。

私は帰宅ラッシュと遊び目的でやって来た連中でごった返す渋谷駅地下から、人の間をすり抜けながら結構長い距離を歩いて病院行きのバス停に上がって着た。

そこには既に次発のバスが待機していて、一人、もう一人と乗客がボチボチ乗り込んでいる最中であった。

私もその列の最後尾に加わりパスモをかざしてバスに乗り込むと、バスは私を最後の乗客として扉を締め、すぐに発車した。

座席はサスガに空いてないので、私はバスの入口付近の適当な所に立って手すりを掴んでいる。

座れれば座るのだが、病院まではものの10分程度なので特に座る必要もない。

バスはその大きな箱型の車体を渋谷の奥詰まった狭い住宅街路地を縫う様に走り、やがて終点の病院前に到着した。


バスを降りると乗り場側には既に乗車待ちの長い列が出来ており、その列の間を通らせてもらって既にしまっている病院の正門横の閉院時の専用出入り口から病院の建物に入る。

実はこの病院には1階にコーヒーショップがあり、私はママと過去に同じ様に待ち合わせた時と同じ様にその店に入ると、早速ママの存在に気づく。

私はコーヒーを注文し代金もパスモで精算、そして受け取りカンターに出てくる前にママのいるテーブルの椅子に一旦荷物を置きに行く。

すぐにカウンターに戻り、同時に出されたコーヒーを受け取ると、再びテーブルに戻り着席。


一連の行動を眺めていたママはそこで初めて、パパはまだ来ていないと私に告げた。

私も椅子に座るなりコーヒーを飲む間も惜しむ勢いで、今日は何のイベントなのかと質問を投げる。

するとママは勿体ぶって、パパから直々に話をしてもらうのだと質問には答えてくれなかった。

私はメンドクサイなぁと思いつつ、そこで初めてコーヒーにスティックシュガーを2本分入れてかき混ぜると、ママは太るぞと今度は苦言をぶつけてきた。


パパが来るまでの雑談は、結局私の学校生活についての件が主だった内容となった。

と言うのも、先に述べたように偏差値が60後半でそれ程の難関と呼べる程ではないにしろ、私の脳細胞では当初限界値を超えてると思っていたのだ。

幼馴染の真夢を追う形で、とは言えダメ元で当初から入れると思ってなかった学校に、実は私は合格発表の日に番号確認にすら行かなかったくらいだ。

あの時は真夢から電話があり、電話の向こうで取り乱したように番号があった、あったと泣き叫ぶ彼女に相当びっくりしたものだ。

そんな、真夢の頭脳ならばあの程度の高校受かって当然だ、私はそんな彼女に少々呆れる気持ちを混ぜてそう返したら、違うそうじゃないと逆に怒鳴られた。

あったのは私の受験番号だと言い、自分のは勿論あったのだと後回しに知らせる。

つまり自分の番号の存在は他所に置いといて私の番号の存在を見て歓喜してたと言う訳だ‥‥

その後私は自宅からタクシーで都築高(つづこう)に乗り付け、既に片付けられそうになっている掲示板を確認しに行ったのだ。

かくして今私は真夢と同じその高校に通学しているわけだ。


ママの心配はそこに起因する。

ママからしたら残念な頭脳の娘が難関校に受かったことで、むしろそこから試練が始まったと感じているらしい。

早くも私が授業に付いて行けてないのでは?と心配している。

イヤまだ4月なのだが‥‥

そんな話をママがするもんだから、私はまさか学習塾・補習塾に入れようとしているのでは?と思い問い詰めた。

するとママは、そうだその手があったと手の平を拳でポンと叩いてスマホのメモ機能に今私の言った言葉をメモし始めた。

やぶ蛇だったかと思った私は感覚の鈍さからだろうか、逆に今更ジワジワと不安を感じ始めていた。 


そこへ、店の外の廊下の所でパパが手を降っているのが見えた。

私はママを促し、残ったコーヒーを一気飲みするとママと連れ立ってイソイソと店を出る。

するとそのコーヒーショップのすぐ隣にコンビニの存在を見つけた私は、ふと思い出して両親に立ち寄りの許可をもらい、コンビニに買い物のため入店した。

目的は単なるチューイングキャンデーだ、チョッと小腹がすいてしまったものでね。

これから食事だと言うので、まァソッチがメインなのは当然、入る余地を充分残すためとりあえず味で空腹感を紛らわすためだ。

そして個人的にチューイングキャンデーはお菓子の中で最も好きなもの。


私はそのお目当ての商品を探してコンビニ店内をうろついてると、突然私の視界に子供のような人影が映った。

だが私は思わずその人影に焦点を合わせた時、その予想外の人物の存在ににわかに驚いてナゼか思わず隠れてしまったのだ。

私は商品棚の影に身を隠し隙間から再度確認のため、そーっとその人物をのぞき見た。

何とその人物は、丸善芳佳先輩、その人だったのだ。

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