病室にて -メリーさん- -4-
「ホントに僕が喜ぶと思ったのか?」
「ああ。新鮮なボケだと、思いついた時は自分を褒め称えたわ」
「シュールが過ぎるよ」
そうかぁ、と言いながら本条が立ち上がる。
そして、僕のベッドの枕側にある物置スペースに人形を置こうとしたので、その手を掴んだ。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って」
「ん、どうした?」
「なんで、僕の病室に”それ”を置いて帰ろうとしてるの?」
「だめかな?」
「駄目でしょ。こんなのが居たら僕眠れないよ」
「女の子と2人きりだぞ。羨ましい限りや」
「殴るぞ」
僕が思い切り睨みつけると、本条は悲しそうな顔をして手を引いた。
「じゃあ、どうするんや。この娘。俺ん家は奏が気味悪がるから無理やし……」
「お前、ちゃんとそれが気味悪いの分かってたんだな」
「いや、俺は大丈夫なんやけど、奏がお化けとか駄目だから。あいつ、怖がりやし」
「俺も結構駄目なんだけど。心霊系。知らなかったっけ?」
いや、本条には教えてあるはずだ。
こいつは、まさか嫌がらせ目的でここに人形を連れて来たのか?
更に本条を睨みつける目つきを鋭くさせた。
「いや、そりゃ勿論知ってるけど、ちゃうねん」
「何が違うんだよ」
「この娘、ゴミ捨て場に捨てられてて、可哀想やなぁって思って」
「いや、それはそうかもしれないけど……捨て犬でも責任も負えないのに拾ってきたら駄目だろ?」
「お父さん!僕が絶対面倒を見るから!だから、お願い!」
「誰がお父さんやねん!」
”お父さんが許してくれまちぇんねぇ”と人形に話しかける本条を見て、早くこいつをどうにかしないと……と思った。