1月25日 嫉妬からの.......
タイトルを少し変えました!!内容は変わりないのでご安心を!!
それと各話の後書きにこの物語の裏設定を追加しています。優蘭の姉が優蘭を好きになった理由や優蘭が精神崩壊を起こすトリガーを引く事となった出来事など本編では語られていない話を書いているので
是非見て行ってください!!
「ねぇ優蘭君ってかっこよくない〜」
「え?」
いつものガールズトークに私は混じっている。メンバーは私と他クラスメイトの3人、朝学校に着いたら必ずこのメンバーで他愛もない会話をする。
何故このメンバーで話す事になったのかは正直もう覚えていないけれど、これは毎朝の習慣のようなもので毎朝欠かさず世間話に花を咲かせている。
しかし今日は違った。
「…優蘭…君?」
「え?鈴音知らないの?席隣じゃん!?」
「どれだけ男に興味無いのさー」
「あははは」
「…」
今日はただの世間話で終わりそうにない、そう確信した。
私の恋人であり恩人であり将来の夫になるであろう人物が会話のネタとして出てきたからだ。
そしてただ会話に出てきただけなら全然構わないが…この口ぶり…まさか優蘭を狙っているのでは無いだろうか?いや…そんなことない…多分。
私はそんなことを考えつつ彼女の話に耳を傾けた。
「いやかっこいいと言うよりかは可愛い」
「あっ、それだー!優蘭君ってめちゃくちゃ可愛いよね顔が整ってるというか」
話の内容は…私の彼氏を褒めたたえているというものだ、普通の人なら自分の彼氏が良く言われてるのを聞いて悪い思いはしないだろう…だけど私はちがかった。
『私の彼氏を…誰の許可無く見てるんだろう』
そんな一見誰も考えつかないような思考が頭の中を電流のように駆け回った。
「なんか可愛いからさ…してみたくなっちゃうんだ」
「?なにを?」
「女の子の服着させたり!その姿のまま調教したり!!」
「…ドSの考えは分からないな」
「…ッ!?」
は?何を言ってるのだこの人は?
私の彼を私の許可無く見ているのにさえ飽き足らず…調教したいだって!?
ふざけるのも大概にして欲しい、殺意に似た感情がグツグツと私の中で煮えたぎっているのを感じた。
「…どうした?鈴音?そんな怖い顔して…」
「あっ…ごめん」
あ…顔に出てた。顔に感情が出やすいのが私の悪い癖だ。なんとか誤魔化さないとね…
「目にゴミが入ってて目を細めてたから目つき悪く見えちゃったかも、ごめんね」
「あーそういう事ね〜」
適当な言い訳だけど納得してくれたようだ。
キンコンカンコーン
チャイムが鳴った、このおしゃべりタイムももう終わりか…
朝のホームルームが始まるのでみんな自席に戻っていく、今日は思わぬ爆弾が飛んできた…
まさか優蘭君がこんなふうにほかの女子から思われてたなんて…
優蘭君は異性恐怖症を患っている、そしてその効力は私だけには適用されない。
つまり優蘭君は私しか見れない、他の女子に好意を抱くなんて100%有り得ない…
分かってるんだ、そんなこと。
だけど激しい嫉妬心に苛まれてる私が居た。
「勝手に見ないで欲しいなぁ…優蘭君は」
「私のモノなのに」
ガラガラ
「ちっーす!」
気味の悪い声の持ち主とともに優蘭君が教室に入って来た。もう1時間目は始まっているので優蘭君は遅刻してきたことになる、優蘭君はとても真面目で転学してきたときから1度も遅刻をしてくることなんてなかった、だからそんな優蘭君が遅刻をしてくるなんて結構驚いた。
なんで遅刻したのかな?寝坊?遅延?…
「あ…」
私とのメールが深夜まで続いたから寝坊してしまったのかもしれない。
私は優蘭君とメールをする事を生きがいのひとつとしている、だから抑制が効かなくなるのだ。
そのため朝日が昇ってくるまでメールを送り続けることが多々ある、だけど優蘭君は必ずメールを返してくれる。そんな所も愛おしい。
でも次の日学校があるのにそんな時間までメールをしていては確実に遅刻する、因みに昨日は朝の4時までメールをしていた。
私は家から学校までの距離が近いから遅刻することは無いけど優蘭君の家は結構学校から距離がある。
私と同じ時間に起きていては遅刻は免れないだろう。
私のせいで…優蘭君が遅刻しちゃった…
その事実が私の良心をズキズキと刺してくる。
ごめんね優蘭君…
隣の席に着いた優蘭は私に目線でおはようと合図してきてくれたけど私は申し訳なくて少し目を伏せながら相槌を打った。
お詫び…なにしようかな。
延々と繰り返される無間地獄のような時間が続く授業の中で私はずっとそんなことを考えていた。
優蘭君は確実に私のせいで遅刻をしてしまった。しかも優蘭君の無遅刻無欠席という誉ある記録に泥を塗るという結果を招いてしまった。
そんな私が優蘭君になにかお詫びをすると言うのは当たり前の話だと思う。
ただ問題は何をするかだ…何をすれば……
ん?
ふと気づいた。
私達の斜め後ろの席の女子から視線を感じる。授業中だ、後ろを振り向いたりは出来ないけど生まれてこの方いろんな視線を感じながら生きてきた私だ、視線を感じることに関しては人より秀てるつもりだ。
だけど問題は、視線の向き先は私ではなく優蘭君に向いているという事だ。
なんで優蘭君を見てるの?
優蘭君は私のものなのに。
声を大にして言いたい。成績とか立場とかイメージとかもうどうでもいいから叫んでやりたい。
「私の優蘭を見るなと」
だけどそんなこと言った暁には優蘭君にも何かしらの風評被害が出る、私はなんとか握った拳を収めた。
…はぁ…優蘭君は学校では他人でいようねと私に釘を刺しているけど、本音を言うならばずっと君と目を合わせて話していたい。
どこかずっと話していられる場所はないものか…
学校で誰から見つからない場所…あるとするならば
それは
屋上だ。
この学校は無駄に階段が長い、屋上にわざわざ好んで立ち寄る物好きはいないだろう。屋上なら優蘭君と…
でもどうやって屋上に誘い出せばいいんだろう。
私は天才かもしれない。自分の中でどうやって屋上に誘い出せばいいのかという疑問を提示してから3秒で回答がでた。
『お詫びがあるから、屋上まで来て欲しい』
私は優蘭君の遅刻する原因を作ったことに負い目を感じている、そのため今すぐ君と話したいだけど屋上しか話す場所がない…
もっともらしい理由だ、私の後悔をこういうふうに扱うのは少々気が引けるけど背に腹はかえられない。この作戦で行こう。
そう決めると私はスラスラとノートに優蘭へのメッセージを書き綴る。
『謝りたいから屋上に来て』と
優蘭君は驚いていたけど、そんな優蘭くんも愛おしいと感じながら私は笑みを抑える何必死だった。
いい口実を作って優蘭君を屋上に誘い出すということが上手く行ったからだ。
『離さないよ…優蘭君』
さっきも言った通り私は顔に感情が出やすい
だから今どんな顔をしているかが分かる。
今私は不気味な笑みを浮かべたとてもとても悪い顔をしてるだろう、そんな顔をしてるに違いない。
そんな顔を誰かに見られる訳には行かない。
私は必死に顔を隠しながら、早く授業が終わることを心から願った。