六
六
放課後――。
僕は文芸部の教室へ向かう。今日は掃除当番だったから、少し遅れてしまった。僕が教室へ行くと、既に霧島さんが待っていた。文庫本を読んでいるようだ。
僕は席に座るなり、早速労いの言葉をかける。
「霧島さん。よかったね。大分前進したんじゃないかな」
霧島さんはツンと澄まして、読んでいた本をパタンと閉じた。
「大袈裟ね、猫屋敷君は。このくらい、あたしにかかれば何でもないわ」
「そう。ならいいけど。これでお弁当を作っていけば、より一層、タクとの仲は進展するよ。僕の役目ももうすぐ終わりだね」
「役目?」
霧島さんはキョトンとしている。僕はすぐに答える。
「忘れたなんて酷いな。ほら、僕は君とタクが付き合えるように協力してるんじゃないか」
「そうだったわね。も、もし、役目が終わったら、猫屋敷君はどうするの?」
役目が終わったら……。
何も変わらないだろう。というよりも、そんなにまだ月日が経っているわけじゃないから、元通りとか、そういうレベルの話ではない。
「変わらないよ。多分」
「ぶ、文芸部を辞めるのはダメだからね。あんたは貴重な文芸部員なんだから、それを忘れないで頂戴」
「わかってるけど。なんか不思議な関係だよね」
「不思議って何がよ」
「だって、霧島さんがラブレターを僕の下駄箱に入れ間違えなければ、こんな関係になっていなかったよ。僕は文芸部には入らなかったはずさ」
霧島さんは、やや不満そうな顔をした。
「そ、そうね。だけど、あたしは、役目が終わったからって言っても、猫屋敷君を捨てたりはしないわ」
「捨てるだなんて大袈裟だよ」
「とにかく、あんたは文芸部の部員なんだから、それを忘れないで……」
こうして、僕の文芸部の活動は続いていく……。ように思えた。
しかし、大きな問題が起きた。
それは意外な方向からの攻撃だった――。