第八話 ゾンビは忘れた頃にやって来る
今回も短くてすみません!
第八話です。どうぞ!
戦いが終わり、休息を取るために、先ほど休憩していた木の切り株の元へと戻ってきた零司。
タッタッタッタッ
切り株が見え、近づこうとした零司の目の前を、"何か"が素早く通り過ぎた。
「ん?なんだ今の。いや、どこかで見たことあるような…」
タッタッタッタッタッ
すると、その"何か"がまた目の前を通り過ぎる。
ホーンラビットにしては大きいし、飛んだり跳ねたりしていない。二本足で地を駆けるように動くそれは、零司に酷い既視感を与えた。
(新しい魔物か?二本足の…二本足?待てよ…足って横に曲がるのか?)
タッタッタッタッ
黙考している零司の前を、またもや"何か"が通り過ぎる。
しかし、今度はハッキリと見た。
(あれ、腕じゃねぇか……え?)
と、ここで零司は忘れていた事を思い出す。
「や、やべぇ……この場所にゴブリンの死体置きっぱなしだったぁ。」
零司は、頭を抱え天を仰いだ。
零司の目の前を通り過ぎたのは、初めて倒したゴブリン。胴体を上下に真っ二つしたあのゴブリン。それが今まさに目の前で軽快に走り回っている。上半身だけで。零司は、無言でそいつのステータスを確認する。
ゾンビゴブリンの上半身
危険度:E
状態:ゾンビ化
補足
ゾンビ化した、ゴブリンの上半身。
下半身が無くなり、体がが軽くなったことで、敏捷力が上がった。走って相手に飛びつき噛み付いてくる。
光属性に弱い。
続いてゾンビ化も確認する。
状態:ゾンビ化
魔物や動物の死体が、一定時間放置されると、ゾンビ魔物として生まれ変わる。
ゾンビ魔物に殺された生物はゾンビ化する。
ゾンビ化した生物は、光属性が苦手。
死体放置、ダメ、ぜったい!!
「ゾンビ化してたかぁー。まさかゾンビ化するとは。」
上半身だけのそいつは、忙しなく零司の目の前を通り過ぎようとして。動きを止める。
首が零司の方に傾げられ、濁った瞳でこちらを見詰める。と、不意に止まってた足(手)が、動きだし零司に向かって迫ってくる。零司はその場から逃げ出す。
「うおっ!来んな!マジで恐怖だよ!」
後ろから、首をカクカクと動かしながら地を駆けて追ってくる、見た者に恐怖を与える。
(そうだ、光!確か光属性に弱いって書いてあったな。)
零司は咄嗟に魔法を展開する。
「ライトアロー!」
淡い光で形成された矢が、一直線にゴブリンの上半身へと、飛んでいく。矢は眉間に突き刺さり、ゴブリンの上半身は動きを止めた。
「はぁ、はぁ、どうにか倒せた…」
息を整えながら、零司は、死体の放置はもう絶対にしないと誓ったのだった。
切り株のある場所に戻ってきた零司だが、ここで一つの疑問が浮かぶ。
「そういや、下半身どこ行った…?」
辺りを見回そうとした時、後ろからは何かが歩く音。ギギギッと、油が切れた様な首の動きで後ろを見ると、
「か、下半身…お前もか…。」
そこには腰からしただけで動く異様な生物。
零司は試しに、そいつのステータスも確認する。
ゾンビゴブリンの下半身
危険度:F
状態:ゾンビ化
補足
夜の住宅街に良くいる様なあれ。
下半身だけになって足技が得意になった。
特技は徘徊。
「な、何だ…危険は無いみたいだな…」
安心したのも束の間、補足の欄の下の方にちょこっと豆知識。
偶に走る。
ザッザッザッザッ
「ま、マジで勘弁してくれぇ…」
げんなりとしつつも、下半身をしっかりと討伐した零司であった。
ちょっとした、ネタ回でした。
テケテケテケテケ。
誤字、脱字等の指摘よろしくお願いします。
感想も待ってます^^*