第十四話 厄介者との遭遇
遅れて申し訳ございません!!
凄い遅くなってしまったぁ…
第十四話です。それではどうぞ…
ゴーンゴーン
街の時計台から聞こえる鐘のの鳴る音で、零司は目を覚ます。
「んー。はぁ、朝か。」
大きく伸びをしてベットから降りる。寝起きの寝惚けた顔に、水魔法で作った水を掛けさっぱりした零司は、脱いでいたコートを来て部屋を出る。鍵を閉め下に降りたところで声がかけられる。
「おはよう、朝ご飯出来てるよ!食べるかい?」
「おはようございます。朝ご飯いただきます。」
挨拶をしてきたクレアさんに挨拶を返し、食堂の席につく。しかし辺りには数人しか人がいない。疑問に思った零司はクレアに尋ねる。
「あの、いつもこんなに人が少ないんですか?」
「はは、今は8時だよ?冒険者連中は朝ご飯はもっと早い時間に食べてくよ。」
「あぁ、そういうことですか。」
(まじか、寝すぎたな。これからはもっと早く起きなきゃな。)
「それより、あんたは冒険者じゃないのかい?」
「昨日登録して、今日から活動します。」
「そうかい。冒険者は危険なことだらけだからを付けなよ!」
「はい。」
クレアとの会話を終え、席について食事が運ばれてくるのを待つ。数分後クレアが食事を運んで来た。
「はい、朝ご飯。ホーンラビットのシチューとパンにサラダね。」
運ばれてきたのは、零司が森で狩ったホーンラビットのシチュー。
「おお!」
昨日夕食を食べてない零司にとって、こちらの世界に来て初めてのまともな食事。トロトロで野菜と肉の入ったシチューやカリカリのパン、新鮮な野菜は資格を刺激し、シチューの中に入ってるホーンラビットの肉の香ばしい匂いは嗅覚を刺激し、食欲を増進させる。
(美味そうだ…)
「いただきます。」
零司はシチューをひと口食べる。
「うまい…」
(これは、本当に美味いぞ。)
それからは一心不乱に食べ進め、あっという間に朝ご飯を完食した。
「ごちそうさまでした。」
「それはなんなんだい?」
近くに来ていたクレアは手を合わせ何かを言っている零司に疑問を持ち、聞いてくる。
「あぁ、これは俺の故郷にある習慣みたいなものです。」
「へぇ、ここじゃ聞かないねぇ。それよりいい食べっぷりだったね。」
「そうですか。じゃあ俺は出掛けますね。」
微笑みながら零司は言う。
「行ってらっしゃい!気を付けてね!」
「はい。行ってきます!」
宿を出た零司は冒険者ギルドへと歩く。ギルドに着いて中に入り、依頼書が貼ってはるボードに向かう。
(Eランクはと。)
Eランクの依頼書が貼られているボードには数枚の紙が貼られている。
ゴブリンの討伐
常時依頼
内容
ゴブリンの討伐
報酬は5体討伐毎に1000テル
薬草採集
常時依頼
内容
薬草の採集
薬草10本事に500テル
ケルチョの討伐
常時依頼
内容
ケルチョの討伐
ケルチョ5体毎に1000テル
(ゴブリンに、薬草…ケルチョってなんだ?聞いて見るか。)
聞いたことが無い名前に首を傾げる。零司は受付に向かう。
「すいません。」
「あ、零司さんおはようございます!」
聞きに言ったのは面識のあるミラ。零司を見るなり満面の笑みを浮かべて、挨拶をしてくる。
「おはようございます。聞きたいことがあるんですが、ケルチョとはなんですか?」
「ケルチョですか?ケルチョとは、赤いトサカを持つ鳥の魔物です。弱い魔物なので脅威はありませんが、逃げ足が速く、捕まえるのが困難です。」
「そうかありがとう。」
「い、いえ!当然です!」
ミラは両手で、ガッツポーズを作り、意気込む。
「常時依頼はどうやって受ければ?」
「常時依頼は受付で受ける必要はありません。討伐でしたら魔物を狩って受付で報告するだけ、採集でしたら、採集した物を受付に持ってきて頂ければ大丈夫です。」
「そうか、ありがとうございます。じゃあこれで。」「はい、行ってらっしゃいませ!あ、常時依頼でしたら、街の東にある森がオススメです!」
「はい。」
冒険者ギルドを出た零司は東門に向かう。
東門を抜け暫く歩くと、前方に森が見える。
「ここか。さて、行きますかり」
「意気込んだはいいが何も居ないんだが…」
森に入って早くも1時間が過ぎた。森の中を歩く零司は魔物と1度も遭遇していない。
「おかしくないか?ここがオススメだと聞いたんだけどなぁ。」
魔物の気配すらも感じない事に疑問を抱き始める。すると、遠くに何かの気配を感知する。
「なんの気配だ?ゴブリンじゃないな…」
疑問に思った零司は走って気配がある方向に向かう。
(近いな。)
その気配に近づいた零司は走るのをやめ、慎重に音を立てず歩く。
グチャグチャ
何かを咀嚼する音が聞こえる。近づくにつきその音は大きくなる。
(なんだ…)
零司は異様な雰囲気を感じ身構える。
グチャグチャ
咄嗟に木に隠れる。
(なんだ…あれ…)
木の影に隠れて見てみると、そこにはゴブリンを捕食している茶色い大きな生物がいる。
(あれはヤバそうだ。とりあえず…)
零司は謎の生物に絶対看破を掛ける。
デモンズベア
危険度:A
補足
悪魔に取り憑かれた熊。
(悪魔…完全にヤバい奴だなあれは。)
零司はひとまずここから退散しようと、気配を潜めて静かに歩き出す。が、一歩足を踏み出したところには木の枝が、
パキッ
(あ、お約束をやってしまった。)
グルルルルルル!
完全にデモンズベアに気づかれた零司。
(はぁ、やるしかないのか。)
木の影から出て、デモンズベアの前に立つ。
数秒、睨み合いお互いを牽制し合う。先に動いたのはデモンズベア。雄叫びをあげながら零司に向かって走ってくる。
グガァァァァアア!
「ちっ!夜!」
零司は咄嗟に夜を手元へ呼び出す。鞘から半分だけ刀身を出し、デモンズベアの噛み付きを防御する。
「くっ!」
しかし、デモンズベアの力強さに驚きを隠せない。
何とか跳ね返し、バックステップで距離を取る。
「今度はこっちから行くぞ!」
全速力で駆け出し、一気にデモンズベアとの距離を詰める。勢いそのまま、夜を横に一閃。しかしこれを躱そうとデモンズベアが仰け反ったため、傷は浅い。
だが、これで終わる零司では無い。さらに距離を詰め、上段回し蹴りを放つ。まともに食らったデモンズベアの体は近くにあった木に吹っ飛ばされる。
がァァァ!
零司は空かさず追いかけ、木ごとデモンズベアの首を切る。デモンズベアは間一髪でそれを避ける。しかし、少しだけ逃げ遅れた左腕が跳ね飛ぶ。
グガァァァァアアア!!
デモンズベアは残った右腕を零司に向かって思い切り振り払う。
ドンッ!
「カハッ!」
攻撃は夜で受け止めたが、あまりの勢いに後方へと体が飛ばされ、木へと叩き付けられた。
「はぁ、思ったより強いな…ふんっ!」
愚痴を吐きつつ、走って近づき右腕で押しつぶそうとしてきたのを跳ね返す。
「貰った!」
デモンズベアの体制が崩れたところを狙い、夜を振り切る。
しかし、その斬撃は届かない。
「なっ!?くそっ!何だこれ!」
突然体が動かなくなったことに驚愕する。自分の体を見ると紫色の靄のようなものがまとわりついている。
足掻こうとしても靄のようなものは取れない。デモンズベアは動けない零司に容赦なく攻撃する。
「ぐぁぁああ!」
離れたところに吹き飛ばされる。紫色の靄のようなものに はもう無いが、先程のお返しと言わんばかりに零司の左腕は千切れている。最初は血が滝のように溢れ出ていたが、次第に血は止まる。
「やられたな…ぐっ!はぁはぁ、超再生様様だな。もう血が止まってきた。」
血は止まったが痛みはある。腕に激痛が走るが、何とか耐える零司。立ち上がり、涎を垂らしてこちらを睨むデモンズベアに対し、片手で夜を構える。
「殺す!」
デモンズベアに全速力で駆け寄り、夜を振るう。
しかし、デモンズベアの動きは先程より格段に良くなり零司を難なく圧倒する。デモンズベアの鋭い爪が零司の腹を突き破る。
ゴボッ
零司は音を立て血を吐き出す。デモンズベアは腕を振り払い、零司を木に投げ飛ばす。
「ゴホッ!はぁはぁはぁ…」
目は半開きで瀕死の状態。前からはすごいスピードで近づく巨大な化け物。超再生で回復はしているが追いついていない。まさに瀕死の重体。あと一撃でも食らえば確実、永久にゲームオーバー。近づいてくるのは「死」へのカウントダウン。刻々と刻まれて行くそれは、零司の思考をクリアにしていく。
(ふざけん…な…こんな所で死ねるか…)
最後の力を振り絞り、膝立ちになる。
(何でもいい…来い。)
直後、零司の周りを"黒"が現れる。それは、零司の持つ黒刀・夜に吸収される。今持てる全力で、デモンズベアに夜を突き放った。突然の動きにスピードを落とせずこちらへ突っ込んでくるデモンズベアの、腹部に夜が突き刺さる。
瞬間
グシャッ
夜がデモンズベアの腹部に当たり、背中を貫通する。しかしどういう事か、背中から出てきたのは、二本の刃。
グシャッ
という音と共にもう一本刃が増える。
グシャッ
また一本
グシャッ
さらに一本
グシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッグシャッ
背中を突き破る音とともに次々と出てくる夜の刀身
は、辺りに血をまき散らす。
刃は、背中だけでは飽き足らず、横腹や肩の上からも伸びている。さながら針の山。ドス黒い針の山に滅多刺しにされたデモンズベアから、もはや生気を感じることはできない。
ズシャッ
数秒、数分かも知れないが、時間が過ぎ、針の山は音を立ててデモンズベアの体から抜かれていく。それは段々と短くなっていき、元の黒刀・夜の刀身へと戻っていく。零司もデモンズベアの体から夜を抜く。抜かれたデモンズベアは後ろへゆっくりと倒れていった。
零司の意識もそこで途切れ、前のめりに倒れていった。
戦闘描写ってムズかすぃ…
第十三話ですが、途中で途切れてしまっていたので内容を追加しました。すいません。
次回も楽しみにしていてください^^*