収納支配人 ~クロースマスターの収納する日々~
王都チャハメのとある工房。
「これで最後です」
作業員は荷物を渡した。
「はい…確かに受け取りました」
男は作業員から荷物を受け取った。
「それではよろしくお願いします」
「承りました」
男は受け取った荷物を空間魔法の収納空間に仕舞い込んで、工房を後にした。
◇◇◇◇◇
「あっ! テソルカさんこんにちは!」
男は工房から荷物を受け取ったあと、王都の出入り口の門(通称エタコニコ)から王都の外に向かう途中で、知り合いの女性に話しかけられた。
「こんにちは。ロティさん」
彼女の名前はクルロット・モイル。冒険者をやっている女子高生だ。
種族はマイルゴートであり、獣寄りのヤギの獣人だ。
「どこに行かれるんですか?」
ロティが尋ねる。
「隣町のリグーリンまで仕事で向かいます」
「リグーリンまで!? 本当ですか!?」
「もちろん本当ですよ」
「それじゃあ……ついでにこれも、届けてもらえませんか?」
ロティが取り出したのは手紙だった。
テソルカはそれを受け取ると
「リグーリンのスティックルさん宛てですか。いいですよ、この手紙を届けましょう」
リグーリンまで届けることを引き受けた。
「ありがとうございます! 今度何か奢りますよ♪」
「それは楽しみですね」
「楽しみにしといてください!」
「はい。今から楽しみです」
◇◇◇◇◇
(おや、珍しいですね)
ロティと別れたあと、王都を出たテソルカは道をバイクで走っていると道から逸れた遠くの地面から顔を出している魔物を見つけた。
(折角ですから捕獲しますか)
テソルカが見つけた魔物は、ショイクヴルフと言われているモグラの魔物だった。
臆病なので普通に近づくと逃げられてしまう。そのためバイクから降りて魔物に向かって跳ぶ。逃げられないように跳躍した際の地面への衝撃は収納しておく。
魔物の真上まで跳んできたテソルカは収納した衝撃を少しだけ取り出してぶつけ、怯んだ隙に頭を掴み仮死魔法を掛けた。
(さて、行きますか)
魔物を収納したテソルカは再びリグーリンに向かってバイクを走らせた。
Q&A
Q.どうしてテソルカは仮死魔法を使ったの?
A.クロースには生物は入れられないので仮死魔法で仮死状態にしてからクロースに入れました。
後で蘇生(?)させています。