第3話 あなたは……?
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ザックリと今の状況を説明すると、自殺しようとして、でも生きてて、竜人美女に会って、異世界転移をしてしまったことに気がつき驚愕してる←今ここ
(マジか、夢にまで見ていたが、まさか現実に起こってしまうとは、これは神様という存在を認めざるを得ないかもしれないな。だが、敢えて言おう、ありがとー!神様!ビバ神様!マジ神!)
心の底からの感謝を心の中で行っていると、その様子を見た竜人美女が心配そうな顔をして、が自分の顔を君博の顔に近づけ、
「ま~たボーッとしてるぜ、やっぱお前変だぞ?やっぱ、熱でもあるんじゃ……」
「っつ、すみません!何でもないです!少し考え事をしていただけですので!」
「そ、そうか?まあ、ならいいんだが。」
美人の顔が目の前にあったので、慌てて現実に引き戻される。異世界転移が自分の身に起こったのは間違いないようだ。とすれば、この先、この世界で生きていくのだから、やはり、楽しみたい。仮に元の世界に戻る方法があるとしても、元の世界に戻る気はさらさらない。アニメやゲームなどにお別れをするのは、心残りではあるが、神様だかなんだかが、自分にくれたもう一つの人生、これは楽しまなくては損というものだろう。
さて、異世界で生きていくことを決心したところで目の前の竜人さんにはいろいろと聞かなければならないことがある。
「すみません、聞き忘れていたんですが、あなたは誰ですか?」
「?あぁ、すまんな、自己紹介をお互いしていなかったな。」
「いえ、構いません。あっ、僕からしますね。僕の名前は、矢島君博といいます。よろしくお願いします。」
相手より先に自己紹介するというのは、元日本人としての礼儀だ。
「ヤシマキミヒロ?なげー名前だな。」
「あっ、違います。ヤシマが苗字で、名前は君博です。」
「何だ、苗字があるなんて、貴族の坊ちゃんか?しかも、苗字と名前の順序が逆なんて、聞いたことがねえ。」
そうなのか。これは痛い手を打ってしまったかもしれない。この世界では、苗字と名前は日本とは逆、つまり、英語表記のようにするのが一般的らしい。しかも、苗字をつけるのは、貴族とかだけらしい。
「違います。僕の故郷では、貴族とか関係なく、苗字をつけるのが慣わしで、名前と苗字を逆につけるのが基本なんです。だから、呼びにくいなら、キミヒロでいいですよ。」
とっさに、そういうことにすることにする。
「ヘ~、変わった所だな。どこにあるんだ?」
「ずっと遠い所です、それに、もう帰れませんよ……。」
「そう、か。すまんな、余計なことを聞いたな……。」
どうやら、何か訳ありなのだろうと思われてしまって落ち込んでしまったが、まぁ、都合がいいといえば、いい。怪しまれないようになるなら幸いだ。
「いえ、いいんです。ありがとうございます。所で、あなたのお名前を教えてくれませんか?」
「お、おう、そうだったな。すまない。俺は竜人族、その中でも水竜人と呼ばれる種族だ。名前はドーラ。ま、一応覚えておけ。キミヒロ。」
「よろしくお願いします。ではドーラさん、質問があるのですが、なぜ僕は谷底にいるのでしょう?」
と、質問を投げかける。
そう、気になっていたのは彼女の名前もそうだが、今のこの状況だ。なぜ、僕はこのような谷底にいるのか、なぜ、目の前にドーラがいるのか。
「何だ、覚えてないのか?まあ、覚えてないのも無理もないかもな。」
やれやれ、と言って話し始めるドーラ。
「俺が狩りから帰ってきて、寝床に帰ろうと思ったら、急にお前が落ちてきているのを見てな、慌てて地面に頭打つ前に助けた。意識もないから、取り敢えず、意識が戻るまでそこに寝かせといたわけ。」
と、ドーラは顎をさっき君博が寝てたあたりに向ける。
「そういうことだったのですか。ありがとうございます。危ないところを助けてくださり。」
「なぁに、いいってことよ。」
と、白い歯を見せてニカッと笑うドーラ。それを見て、不意にドキッとしてしまった。
大体の状況はわかった。どうやら、廃ビルから落下しているときに、転移が起き、谷からそのまま、落下していった所にドーラが助けにきて今と、言うわけだ。と、すると、一歩間違えれば、そのまま、落下して頭打って死亡、というのもあり得たかもしれない。それを防いでくれた、ドーラには、感謝しなければならない。
と、状況を理解した所で次に気になるのは、この世界、ラスタリアのことである。まずは、世界の基本的な事を聞いておかなければ。しかし、普通に「この世界の事を教えてください。」では、相手に不信感を持たせてしまうかもしれない。そこで、
「すみません、何度も。実は僕の故郷はずっと外界との交流を絶っていまして、この土地の文化や政治、そういった基本的なことが全くと言っていいほどわからないのです。そこで、お願いなのですが、あなたが知ってる範囲で、この世界の基本的な事を教えてほしいのですが。」
と、自分はそういった事情でこの世界の事が分からないということを説明した。
「そうか…よしっ!そういうことなら、俺が知っていることをできる限り教えよう!」
「ありがとうございます!やっぱりドーラさんは優しくて素敵な人ですね。」
と、正直な感想を口にしたら、
「そ、そうか?あ、ありがとう。」
と、若干照れた様子で返してきた。
さて、異世界講座の始まりだ。
次回はこの世界の設定についてです。