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前編 Side_Ami

今回もジャンルとしてはオカルトです。

直接的ホラー要素はありません。


二人の彼女 Side_Ami


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


登場人物

Ami

23才 専門学校卒

しがないDTMer

音楽のために普段は近くの某事務所で電話番をしている。


Mami

23才 専門学校卒

底辺絵描き

最近は絵の仕事が来るようになってきた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


私はAmi。

格好良く言えばフリーランスのコンポーザーをしている。

楽曲の公募に応募したり、ボーカロイドを使って動画サイトに投稿しているけれどもなかなかヒット作を作ることが出来ない。

音楽だけで食べていけるほどの稼ぎはないから、週3回ほど電話番のパートをしている。


今日も私は仕事に出かける。

私の部屋は小さなボロアパートの2階。家賃が安いだけのお家。

ここしか住めるところが見つからなかった。

それでも、交通の便はいいし近くに安売りのスーパーもある。

CDだって本だってちょっと歩けば手に入る。

私にとってはとても住み良い環境だ。

今日は隣の部屋が騒がしいな。なんて思いながら、玄関の扉に鍵をかけ、外にでる。


外にでると引越し業者が荷物を入れている。新しい人が入ったのかな?

その時は特に気にもとめずに私は出勤した。


……………


帰り道、ふとTwitterを確認する。

いろいろな情報があふれたTL。

その中に1つ、絵を投稿したという数日前のつぶやきを見つけた。


投稿主はMami。絵を描いている私と同い年の女の子だ。

彼女とは知り合って1年近くなる。といっても一度も合ったことはないし、Twitterのつぶやきも私が確認するときは全然されない。

ネット上の関係なんてそんなもんだろう。

そんな彼女の絵はとても私の心を動かす。

どこか見たことがあるような、それでいて私のツボを的確に捉えてくる。そんな絵だ。

だから私はかつて彼女にメッセージを送った。

それ以来、彼女とはメッセージを送り合う関係だ。

そんな関係を続けるうちに、私の音楽に合わせた絵を描いてもらい、動画にし、動画サイトへ投稿するようになった。

彼女との合作は私の楽しみの1つだ。


彼女のつぶやきからリンク先に行く。

今回もとてもいい絵だ。だけれどもどこかで見たことがある気がする。気がするだけだ。

とりあえず保存をして、すぐに感想を送る。

いつも感想を送ってもすぐには帰ってこない。

それでもしばらくするとちゃんと帰ってくる。

今回もゆっくりと待とう。そう思いながら歩いていると気がつけばボロアパートの2階、自室の前にたどり着いていた。


……………


寝る前、今日も私は作曲をする。

Mamiの作品を見たからだろうか、いつもより気合が入る。


……………


しばらくしてふと時計を見る。

もうこんな時間か。そう思いながら時計の下のカレンダーを見る。

今週の仕事は明日で終わりか。明日も早いしそろそろ寝ることにしよう。

私は寝る用意をしてベッドに入った。


まぶたを閉じる。

そういえば隣に新しい人が引っ越してきたんだっけ。どんな人なんだろう。

そう思いながらゆっくりと私は眠りについた。


……………


朝が来た。

いつもと変わらない朝、昨日と同じく仕事に向かう。

家を出て隣の部屋の扉を見る。

このアパートはテレビをつけていると小さく音が漏れてしまうほど壁が薄い。

朝だというのに、特に音は聞こえてこない。昨日の夜も音は聞こえてこなかったし、荷物だけ入れたのかな?

と思って、今日もそのまま出勤した。


……………


仕事が終わり、家に帰るととても静かだった。

やっぱり隣の人はまだいないらしい。

なんて思いながら、今日も作曲をする。


……………


集中力が途切れたところでふとカレンダーを見た。

次の仕事は4日後だ。それまでに今作ってる曲を完成させて、このあいだ買ったCDを聴こう。

そう考えていると、眠くなってきた。

今日はここまでにして明日やろう。


私は眠りについた。


……………


朝が来た。目を覚ます。

なんか疲れたな。寝過ぎたのかな。

ケータイを確認する。

今日は仕事の日だ。あれ、もうそんな日?昨日までの記憶が曖昧だ。

私は思った。

だけれども作ってた曲は完成した気がするし、新しく買ったCDの曲もジャケットを見るだけで思い出せる。

まぁ、いいか。

今日も仕事に向かう用意をして外に出た。


隣の部屋は今日も静かだ。

ポストから新聞が飛び出ている。

今日の朝刊だ。このアパートのポストはとても小さいから新聞だと1日分で外に飛び出てしまう。

2日分入れるのは難しいそんな小さなポストだ。

ということは人はいるんだ。それにしても静かだな。


私は変に思いながら出勤した。


……………


今日の仕事は忙しかったから疲れてしまった。

寝る前の作曲は今日はおいといて早く寝よう。

そういえば最近Twitter見てないな。

私はTwitterを開いた。

メッセージが届いている。Mamiからだ。

そこには絵の感想ありがとう。という内容と、この前の新曲の感想が書かれていた。

「あれ?私、彼女に聴かせたっけ?」

疑問が小さく声に出てしまった。


とりあえず返信をして、気がついたら自宅についていた。


……………


寝る前、今日は疲れた。早く寝よう。

そう思ってカレンダーを見る。

明日も仕事だ、がんばろう。と心のなかで思う。

その時、よく見慣れた、それでいて見慣れないものが視界に入ってきた。


自宅の鍵によく似た鍵だ。私は手を伸ばす。

触れた瞬間私は気を失った。


……………


目を覚ます。いつもと変わらない天井。

だけれども何か異変に気づく。

部屋の作りは私の部屋と同じだ。だけれども家具が違う。

私は1つ気がついた。壁にはMamiの描いた絵のポスター。

「ここはどこ?」

私はポツリ呟いた。


おわり。


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