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姫と王子と聖女様

サラーシェの格好に慣れはじめたその日、俺は姫様にお茶に誘われた。

姫様の部屋につくとドアをノックする。

「姫様、サラーシェにございます。」

俺の言葉に姫様付きのメイド様がドアを開けて出迎えてくれた。

部屋に入るとそこには姫様と王子、それに聖女がお茶を飲んでいた。

今すぐ逃げ出したいと本気で思った。

「お姉様!よくいらっしゃいました!私の横にお越しください。」

姫様の笑顔が逃げることは許さないと言っているようで俺は仕方なしに笑顔を顔に張り付けて姫様の横に座った。

「聖女様とお兄様はダンスのレッスンをすると聞いて私の部屋に来てもらったんですの!私の部屋は広いしすぐにお茶休憩が出来るしレコードもありますから!」

姫様はたぶん王子と聖女を二人っきりにしたくないのだ。

「せっかくですからお姉様もダンスのレッスンに参加なさったら!お兄様はとてもダンスが得意なの!」

思わずフリーズしたくなったが、それをぐっと我慢して笑顔を作って俺は言った。

「私はダンスが苦手な訳ではなく、体が弱いせいでまともに踊れないだけですのよ姫様。」

俺の言葉に王子が席を立ち俺に手を差し出した。

「僕と踊ってくれないか?」

王子は王子らしい笑顔を作った。

顔面殴りて~!

俺は心の声がばれないように笑顔を王子にむけて王子の手を握った。

「喜んで。」

そう言うしかないだろ!

仮にも王子、時期国王、逆らえる訳がない。

姫様付きのメイド様がレコードに針を落とす。

軽やかなワルツに俺は王子のリードで踊り始めた。

苦しい。

コルセットが動くたびに食い込んで締め上げてくる。

苦しい。

もう少しで一曲終わるって時に俺は限界をむかえた。

足がもつれそのまま倒れそうになるのを王子に支えられる。

酸欠だ。

「だ、大丈夫ですか?」

王子が慌てて居るのがわかる。

細かく息をしながら涙目になる。

「だ、だから、駄目って……言ったの、に………」

なぜか王子は顔を赤くして視線を反らした。

なんなんだ?

「お姉様!」

慌てて駆け寄る姫様が可愛い。

「無理をさせてしまってごめんなさい。」

姫様付きのメイド様が俺を支え姫様の寝室に運ぶ。

「ロゼルってばコルセットゆるめるからちょっと我慢してね。」

メイド様の一人にそう言われかなり嬉しかった。



コルセットをはずしてもらい一息つくとドアをノックする音が響いた。

「サラーシェ嬢は大丈夫か?」

王子の焦った声にため息をつく。

「王子ウザイ。」

思わず小さく呟くとメイド様達が頷いた。

「お兄様!淑女の寝室に入ろうなどと思ってませんわよね!いくらお兄様でも怒りますわよ!」

姫様はドアに向かって言ってくれた。

「姫様ありがとう。」

これまた小さく呟くと、姫様は柔らかな笑顔をくれた。

ああ、このままロゼルの服を着て窓から逃げたら聖女にばれちゃうかな~………

「「「駄目よ。」」」

メイド様達に睨まれた。

心を読まれたようだ。

「はい、すみません。」

俺はメイド様達に頭を下げた。

俺は弱々しい声で言った。

「殿下、少し休めば大丈夫ですわ。心配をお掛けして申し訳ございません。」

俺はメイド様の一人が出してくれた冷たいお茶を飲んで息をついた。


暫くして、誰が呼んだのかギルネストが姫様をたずねてやって来た。

「姫、サラーシェがこちらに居ると聞いたのですが?」

「ギルネスト。」

姫様は俺を見ると言った。

「ギルネストは瞬間移動ができるから、入ってもらう?」

姫様は俺を安全に逃がす事にしたようだ。

姫様は一人で部屋を出ていきギルネストを連れて帰ってきた。

そんなギルネストは俺を見ると視線を反らした。

「サラーシェ………たのむから何か羽織ってくれ。」

今の俺はドレスとコルセットを脱いだ下着姿だった。

真っ裸じゃないから良いと思うんだが………

メイド様が持ってきてくれたバスローブを羽織ると俺は言った。

「ガキの時は躊躇わずにスカートめくってたくせに。」

ギルネストは、じと目で言った。

「やむを得ずだったろうが。人聞きの悪いことを言うな。」

「ってか別に俺はギルネストの前なら着替えすら何でも無いけど。」

ギルネストは脱力したように項垂れた。

「………たのむから、女性らしくなってくれ。」

「キャーキャー言えば満足か?」

「むしろキャーキャー言ってた方がましだ。」

何だか解せない。

「キャーキャー言う女嫌いじゃん。」

ギルネストは少しだけ俺の方を見ると深いため息をつく。

「俺だって男なんだぞ。」

「しってるけど?」

ギルネストはさらに深くため息をついた。

「………俺の執務室に飛ぶ。準備しろ。」

俺はロゼルの服を小脇に抱えた。

「その格好で飛ぶ気か?」

「うん。」

「………もういい。好きにしろ。」

そう言うとギルネストは俺の腰を抱いた。

至近距離で見るとギルネストはかなりの良い男だ。

暫く見つめていると怒られた。

ギルネストの恥ずかしそうな顔が何だか可愛い気がした出来事だった。

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