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霧の魔物にこんにちは

見切り発車です!

目の前に立ち込める霧。

足元に広がる血と肉片。

「こんなん見たら………挽き肉食えなくなる。」

俺の率直な意見は誰も聞いていないだろうと思われた。


え?何でこうなったんだっけ?………ひとまず俺の説明をしよう。

俺はなかなかに複雑な事情を抱えているのだが………説明しても良いか?

何となく誰でも良いから聞いて欲しい。

誰にも聞かれたくもない気もする。

複雑なんだ。



とりあえず俺の名前だが、エリシア!サラーシェ!リン!って呼ばれて今はロゼルだ。

ちなみに女だ。

口が悪いって?男のふりをしてるから仕方ねえだろ?

サラーシェの時は貴族のご令嬢だったんだぜ!信じらんねーだろ?俺もだ。安心しろ。




ちゃんと始めから話すと、産まれたとき俺はエリシアって名前で、家族は母親だけだった。

綺麗な人だった。

6歳まで母親と暮らした。

突然父親だと言う男がやって来て、母親を殺された。

「逆らえば母親と同じようになるぞ。」

と、父親だと言う男は言った。

そして、俺はサラーシェになった。

顔が妾の子の中で一番だったんだと。

母親殺す必要性があったのかは深く考えないようにした。

サラーシェの生活は誉められたもんじゃなかった。

マナーや勉強の毎日。

ドレスで隠れる部分はアザだらけだった。

毎日のように殴られた。

病弱だとアイツは説明していたが、あばらが折れたりして動けなかっただけだ。

笑わないと殺される。

必死で4年絶えた。

どこぞの貴族のパーティーで笑って立っていろと言われた。

必死で笑った。

「バルコニーで休んでいろ、邪魔だ。」

俺の仕事は終った。

そう思った。

バルコニーに出ると金髪青い瞳の美少年が居た。

少しだけ会話をした。

政略結婚についてだったか?

「女は、親には逆らえません。………私のような操り人形では男を駄目にするでしょうね。政略結婚するならその女の親を見る事をおすすめいたします。」

アイツが真っ青な顔をして戻ってきた。

美少年が王子様だとはじめて知った。

家に帰って死ぬほど殴られた。

その時の怪我が治るころ、父親の家が没落の道をたどることとなった。



家にある必要のないものを売ると言う話になった。

俺が一番最初に売られた。

どこに行っても殴られた。

俺を買ったのは"運び屋"って呼ばれる仕事の家だった。

運び屋とは、竜と言う3メール以上ある蜥蜴を使って人や荷物を運ぶ仕事を言う。

俺の仕事はおもに竜の世話。

ここでの俺の名前は、おい!お前!が主流。

たまに来る獣人の偉い人は俺の事をリンと呼んだ。

「お前の声は鈴が転がったみたいだな!」

その人達はお菓子をくれたり面白い話をしてくれたり頭を撫でてくれた。

虎の耳や尻尾の生えたその人はゼノス様と言った。

「ゼノス様、何でもしますからあの強欲なここの主人から自分を買ってくれないですかね?」

ゼノス様は困った顔をして頭を撫でてくれるだけだった。



運び屋をするようになって3年たった。

相変わらず殴られる毎日が続いたが、その日偉そうな貴族の男が傭兵を連れてやって来た。

「霧の魔物の居る森まで運べ。」

と、偉そうに言いはなった貴族に店の主人はヘコヘコしながら俺を差し出した。

俺は使い捨てだと思った。

それでも良いと思えた。


羽の生えた空色の竜に貴族の男と数人の傭兵をのせて霧の魔物が出ると言う森の奥の泉に向かった。

霧の魔物とは世界で一番強い魔物なんだと聞いたことがある。

霧のように白いもやのような魔物で一瞬で全てを破壊するんだとか?

魔王よりも強いらしい。

そんなものに殺されるのは苦しまそうで良いと思った。

泉につくと竜が怯えて挙動不審になった。

「呼んだら戻ってくるんだぞ。」

そう言って竜を空にはなしたら、傭兵に殴られた。

何が気に入らないのかはよくわからないが殴られた。

しばらく殴られ、自分の丈夫さに嫌気がした。

そして次の瞬間傭兵は霧につつまれ、崩れ落ちた。

自分の上に肉の破片がとんでくる。

それを見た他の傭兵が逃げ出そうとして霧につつまれ同じように何の肉かも解らないほどクチャクチャの挽き肉になった。貴族の男はすでに森の中に入っていった後だった。

遠くで悲鳴が聞こえたからアイツも挽き肉になったのだろう。

「こんなん見たら………挽き肉食えなくなる。」

思わず呟いた。

俺のまわりはすでに霧に囲まれていた。

これが霧の魔物。

まんま霧じゃん。

「霧につつまれ一瞬で死ぬ。なかなかだな。一瞬で死ねるなんて幸せじゃねえか?」

俺はそう言って笑った。

何にも良いことのなかった人生だった。

それでも最後はレアな生き物に特別に殺してもらえる。一瞬で挽き肉。良いじゃねえか。

「なぶり殺されるよりましだ。………お前、綺麗だな。森の木々や泉にぴったりか!こんな静かな所に居るのに邪魔して悪かったな。ほら、好きにやれ。」

俺は寝ころがって、空を見た。

俺の真上に霧が集まり、そして小さな子猫の姿になって俺の上に落っこちた。

真っ白で目の赤い子猫。

「どうした?」

「ウナ~」

子猫は俺になつくようにゴロゴロと喉をならした。

「殺さないのか?」

「ナ~。」

その時子猫の目は金色になり霧えと姿を変えまわりに居る生き物を全てを挽き肉に変えた。

「………え~と。返るか?」

「にゃう~。」

すぐに子猫に戻った霧の魔物は俺についてくる気らしい。

俺は仕方なく子猫に"アルビノ"と名前をつけて連れて帰えることになったのだ。

何でなんだろ?

って言うか子猫が無駄に可愛い………

連れて帰って………良いのか?

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