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コトダマ  作者: 亜耶
9/21

追憶・其は誰が為の夢を見る

                                      

   ***




「私は……一体何を成せたのか」


 彼は、呟いた。

 誰が聞くでもない、独り言だった。


「私は、何を成せたのか」


 もう一度、繰り返す。

 答えなど分かり切っていた。けれど、彼は分からないふりをしていた。


「私は――」


 何度自問しても、答えは決まっているのに。それでも彼は自分自身に問い続けた。

 広く、威厳に満ちたその場所は、多くの者達で満ちている。しかし、それにもかかわらず、彼は独りだった。

 彼を敬う者、愛する者、利用しようとする者。数々の想いと思惑の入り乱れたその場所で、安息など得られるはずもなかったのだ。

 今にも逃げ出したい思いに駆られながも、彼はそこにいた。


「シウレスカ様」


 目の前で跪く男が、彼の名を呼んだ。彼はそれを受け立ち上がる。

 誰もが跪き整然とするその場所で、彼は誰よりも高い位置からその光景を見下ろし、声を張り上げた。


「臣民達よ」


 ――逃げるわけにはいかないのだ。

 たとえいくつもの躯の山を築いたとしても、白金の玉座が崩れ落ちても。




 私は――




   ***


                                                                                          

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