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聖獣王伝説  作者: 超人カットマン
聖獣王伝説×アーティファクト・ギア クロスオーバー第一弾 未来襲来編
46/55

外伝 どうでも良い話

 やりたくてやっただけの息抜きです。キャラ付などが所々おかしいでしょうが、気にしない人だけ読んでください。

 神司部と冒険部が手を組み、突如として現れた最強の聖獣「オニキス」を倒した出来事のしばらく後の事である。彼に付き従っていた謎の小悪魔こと「リトル・グレモリー」は、ある場所へと足を運び、ある人物と謁見していた。

「それで、首尾はどうだ?」

 話を聞く人物がこう言うと、グレモリーはこう言った。

「はい、オニキスは過去の自身と、何故か“あちらの世界”に居た“こちらの世界”の者に倒され、混沌の始祖の与えた半獣の呪縛より解き放たれました。今はこちらの世界で正式に九尾の狐型の聖獣として転生して、元気にやっているようです。」

 その後、

「ただ、元気すぎて時々人間界に勝手に出て行って、好き勝手して遊び放題ですが……」

 と、付け加えた。

「まあ、それだけ元気があるなら良いんじゃないか? 悪い事をしている訳ではないようだし。」

 話を聞く人物がこう言うと、グレモリーはこう言った。

「しかし、何故このような事を考え付いたのですか? 彼の犯した罪は、冥界で裁いてもまだ生ぬるいと言うほど有りますが。」

 この問いに、話を聞く人物はこう言った。

「良いかねグレモリーよ、お前もいつかは魔界の貴族の一人として、魔界の未来を担う者として今言っておくが、この世に置いて絶対の正義と悪は存在しない。もしも、絶対的な悪が有るとすれば、それは自らの正義を他者に行わせる者、もしくは他者を悪と仕立てあげる行為だ。」

「誰かを悪とする行為?」

 グレモリーがこう言うと、

「そうだ、オニキスは罪こそ重いが、その罪は全て、混沌の始祖が世界に破壊と混乱をもたらすために運命づけた物なのだ。だからこそ、私は彼にチャンスを与えようと思った。」

 と、話をする者は言った。

「冥界に送るのを少し先送りにし、その間だけ自由にさせる。その間、彼が正しい事を実行した時、彼を断罪者の仲間に加えようと思っている。」

「正しい正義ですか?」

 グレモリーはこう言うと、一時的に未来に跳んで、彼や彼の仲間のドラゴン達と共に暮らした時の事を思い出していた。あの時は彼らの記憶を軽く操作する事で、出会いの経緯や自分の身分等を隠して彼らの中に潜入したが、その時彼らの生活環境を目の当たりにした時、彼女は驚いた。オニキスを中心に、家族のようにひっそりと生活をしていたのだ。

「おーい、チビ! 洗面所の石鹸が切れたんだけど!!」

「こあ、それ取ってくれ!!」

 自身は一番の新参と言う事で、所謂「パシリ」として働いていたが、それぞれ違う個性の者が共に暮らすと言うのは、とても新鮮で充実感があった。

 彼女のこの記憶を感じ取ったのか、話をする人物は彼女にこう言った。

「分かっていると思うが、彼の正しい行いは、誰に対しても慈愛を持って接する事。引き続き彼の悪魔として付き従い、時に導くことで彼を正しい道へと連れて行ってほしい。」

「畏まりました。」

 グレモリーはこう言うと、その場から居なくなった。





 グレモリーが居なくなったすぐ後である、

「くぅぅぅあぁぁぁぁ、やっぱり真面目な口調は疲れるなぁ、おい。」

 彼女と話をしていた、冥界の王ハデスは、伸びをしながらこう言った。

「しょうがないでしょう。貴方には冥界の王としての矜持もあるんです。サクラとその友人と親族ならまだしも、彼女のような新参の悪魔の前では威厳を持ってください。ただでさえ、地獄や冥界の風紀が悪くなっているのですから。」

 すると、彼の妻である「ペルセポネ」は、夫の労を労いながら言った。

「細かい事は良いだろ。あらゆる世界の行く末は、俺達みたいな古参じゃ無くて、奴らのような新参なんだから。」

 ハデスがこう言うと、ペルセポネはため息を付いてこう言った。

「その新参の話ですが、しばらく前にサクラがオニキスと対峙して、そのままボコボコにされたそうです。」

「サクラが?」

 ハデスが驚くと、ペルセポネは事の説明をした。

「どうやら、サクラが断罪する悪人を追っている時に、オニキスがそれを邪魔したようです。その結果戦闘になり、サクラは足元にも及べずに敗北したと。」

 ペルセポネ自身は、息子と言っても過言では無いサクラがやられたと言う事もあり、口調は重苦しい物となっていた。どこかオニキスに対し、憤りを感じているのだろう。それはハデスも同じことのようだが、彼はこう言った。

「いや、オニキスはそれで良いんだ。」

「と、言いますと?」

 ハデスの言葉に、ペルセポネがこう言うと、

「その罪に応じて、地上と冥界、二つの場所で罪を償わせるサクラ。だが奴の場合は、悪人の罪を受け入れさせ、出来る限り地上で償わせる。これも、一つの断罪者のやり方じゃないのか?」

 と、ハデスは言った。その後、

「それに、オニキスと関わる事でサクラには成長して欲しいんだよ。アイツは真っ直ぐすぎて暴走するタイプだからな。」

 と、言った。





 その頃グレモリーは、しばらく会っても居なかったオニキスの元へと戻って来た。彼は相変わらず人間界と精霊界を行き来して生活しており、今日は京都の町にあるとある旅館の厨房で、料理のアルバイトをしていた。

「あ、コグレ閣下。お前もこっちに居たんだ。」

 包丁片手に魚を捌いていたオニキスは、厨房へこっそり入って来たグレモリーにこう言った。因みに、コグレ閣下と言うのは彼の考えた彼女のニックネームで、コグレは「小悪魔グレモリー」を略し、閣下は何だかんだで付いて来たのだ。

 以前と何も変わらない彼の態度に、何かを感じる所があったのか、

「あの、オニキス様、実はお話しないと行けない事が。」

 と、グレモリーは言った。

「俺に何も言わず合流しなかった事? それとも、前に俺達の記憶を改竄した事か?」

「え、知っているんですか?」

 グレモリーはオニキスの言った事、特に後者に驚いた。その様子を見て、オニキスはこう言った。

「正確には、改竄しようとした、だけどね。少なくとも、誰もお前に記憶を改竄されては居ない。」

「え?」

 彼の言葉に、グレモリーは思わず訊ねた。それなら、どこの馬の骨とも分からない自分を受け入れたのは何故か、そして、何故散々パシリとして扱ったのかと、

「来たからに決まっているだろう。俺達は、来る者を拒まない主義だからな。後者の答えは、お前がパシリに甘んじすぎるから、俺達が止めるに止められなかった事だ。」

「じゃあつまり、私がパシリに不服を覚えれば、すぐに違う扱いをしてくれたと言う事ですか?」

 オニキスの答えに、グレモリーがこう訊き返すと、

「知らん。」

 と、オニキスは答えた。

「もう!! これでもグレモリー何ですよ!! いつか地獄の呪いでコロッと断罪してやるんだから!!」

「出来るならね。」

 そして、グレモリーがプンプン怒りながら言葉を紡ぎ、オニキスが笑顔でそれを捌くと言う、実に微笑ましい時間が流れる事数分、変化は突如現れた。窓の外が突如として暗くなり、空気中に邪悪な妖気が漂い始めた。

「?! オニキス様!!」

「ああ!!」

 今までイチャついているとも、喧嘩しているとも思えるやり取りをしていた二人は、真剣な表情になってこう言うと、厨房の外に出て外に広がる光景を目にした。空は暗雲で覆われ、その雲の中から、普通とは正反対の形に城が建っていた。

「オニキス様、あれは?」

「妖魔城、精霊界に存在している妖怪にとっての安住の土地だ。でも何でこの世界に?」

 グレモリーの言葉に、オニキスは白を見ながらこう言うと、彼はどこかで感じた妖気と霊力を感じ取った。

「まさか?」

 オニキスはこう呟くと、頭の帽子と来ている割烹着を脱ぎ捨て、最早ユニフォームと化しているコートを着込むと、自身の特徴である銀の毛で覆われた九本の尾と狐耳、全身を覆う赤い隈取を出現させると、グレモリーに言った。

「万が一と言う事もある、一緒に来てくれ。」

「はい!」

 彼の言葉に、グレモリーは一言こう答えると、彼と共に目的地に向かった。





 そしてしばらく後、妖魔城の天守閣にオニキスはやって来た。ただし、扉を蹴り壊して、敷居を踏みしだいて入り込むと言う、失礼極まりないやり方で、

「全く、やっぱりお前かよ。」

 オニキスは部屋に入るや否や、こう言った。そこにはオニキスと似た印象を持つが、姿はどこか大人びた女性の姿の九尾の狐と、小柄な銀色の毛並を持つ狐が居た。女性の背後には巨大な骸骨があり、邪悪な妖力を吸ってどんどん力を付けているのが、離れた場所からも確認できた。

 聡明な人は分かるだろう、目の前に居るのは邪悪な九尾の狐「金羅」に憑りつかれた天堂千歳と、力を失った銀羅である。

「何だ騒々しい、もう少し行儀よく出来ないのか?」

 天堂千歳姿の金羅は、入って来たオニキスとグレモリーを見ながらこう言い、

「お、オニキス?! お前はあの時、旦那や姉上、綾小路源とその聖獣達の頑張りで肉体を失い、消えた筈じゃ?」

 銀羅は、オニキスの姿を見て驚いた。

「よ、久しぶり。」

 オニキスは銀羅に、軽い口調でこう言った後、金羅に真剣な表情を向けるとこう言った。

「生憎だけど、王者の風格と行儀の悪さはおんなじなんだよ。捕食者は常にお行儀は最悪。」

「何なんですか、その哲学?」

 オニキスの言葉に、グレモリーが若干呆れながらこう言うと、

「ところで何しに来たんだオニキス? 妖魔城の城主の座を捨てたばかりか、我の求婚も断っておいて、もうここに来る理由も無い筈だが?」

 と、金羅は言った。オニキスが聖獣として転生した時、彼は妖魔城へと現れた。当初は戦い方も、力の使い方も忘れていた為余り目立たなかったが、徐々に以前の力と戦い方を思い出し、妖魔城の強力無比な悪霊や童子、姫を次々と倒し、僅か数日で妖魔城最強になってしまった。その際、以前まで城主だった金羅はオニキスに城主の座を渡そうとして、彼に求婚したのだが、オニキスは何が気に入らなかったのか、罵詈雑言の嵐で断ったのだ。

「変態や露出魔、ビッチまではまだ良い。心当たりは有ったからな。だが、その後は歩く猥褻物や公衆便所、挙句の果てには、見るな子供が出来る、とさえ言われる始末。流石の私も頭に来たぞ。」

(あ、姉上にそこまで言うのか、オニキス、流石と言うか……)

 金羅の言葉に、銀羅がこう思っていると、オニキスはグレモリーに言った。

「あの猥褻物と目を合わせるな、口もきくな。吐息と目線だけで妊娠させられますよ。」

「そうなんですか、気を付けます。」

「おい! 適当な事を教えるな!!」

 そっぽを向いて、いかにも内緒話をしていますと言う雰囲気のオニキスとグレモリーに、金羅は今まで座っていた玉座より立ち上がり、こう言った。

 銀羅は、自身の姉の普段は見せないコミカルな所を見ながら、こう思った。

(褒めるにせよ罵倒するにせよ、いつの間にか場の空気を掴み、皆を楽しませる。それに、罵倒しながらもどこか慈愛が感じられる。歪んでいるなりの彼の姉上への愛情と言う事か?)

 一方のオニキスは、一回ため息を付くと、金羅にこう訊いた。

「それで、妖魔城をわざわざ人間界に出現させて、何をするつもりだ? 分かっていると思うが、ここは邪悪な妖怪の安住の地。戦いを望まないと言うのに人のエゴで封印、排除された妖怪だって沢山暮らしている。そいつらの都合もお構いなしにこれほどの大事をしたんだ。それ相応の理由があるんだろうな?」

「もし、それがそれだけの理由では無かったとき、何とする?」

 金羅がこう訊き返すと、オニキスは言うまでも無いと言わんばかりに、表情を険しくさせてこう言った。

「俺の手でこの城を元に戻す。邪魔するなら、追い出します。」

 その際、左手で右手の手首をつかむと、右手を何回か回した。回された手には周囲から冷気が収束し、どこから見ても彼が臨戦態勢を取っている事は明らかだ。

(以前の戦いでは見れなかった、オニキスの迷いの無い全力が見れるのか)

 その様子を見て銀羅がこう思うと、金羅はこう言った。

「まったく、こちらは一応か弱い婦女だというのに、本当に容赦がないな。私がお前に勝てると思っているのか? 勝てる可能性があるとすれば一つだが、お前はそれすらも許さないだろうな。」

 言っていること自体は絶望的だが、その口調に悲嘆するようなところは無かった。彼女の言う勝機とは、オニキスの連れてきたグレモリーを人質にする事だろうが、彼女はオニキスの傍に居るため、近づいてはオニキスの餌食となってしまう。だが、彼女は今天堂千歳の肉体と共にあり、彼女の力も使う事が出来る。それが悲嘆的でない理由だろう、

 そして、オニキスの冷気と金羅の妖力による一撃が発動されそうになった、まさにその瞬間の事である。オニキスは誰かの声を聞いた。微かな物であり、何て言ったのか、そもそも誰の声なのかも分からなかったが、オニキスはその声に何かを魂で感じていた。いつの日だったか、その声を直に聞いたような、と。

「止めた。」

 オニキスはあっさりと自身の冷気を解いて四散させると、こう言った。

「は?」

 あまりにもあっさりとしている言葉に、金羅が驚いて思わずこう訊くと、オニキスはこう言った。

「文字通り止めた。俺達は帰りますね、見送りは結構。」

 その後、グレモリーに帰る事を告げて、その場を後にしようとした。その際、

「最後に行っておく、これから来る敵には気を付けなよ。救うための戦い、ましてや救う対象が対戦相手なら、力量の差なんて有って無いも当然になるから。」

 と、言い残し、立ち去って行った。

 彼の背を見送りながら、迸らせた妖力を一旦引っ込めた金羅は、こう言った。

「素直じゃ無い奴だな。」

「?」

 彼女の言葉に銀羅が疑問符を浮かべると、金羅はこう言った。

「はっきりと言わないから奴は誤解されるんだ。はっきりと言えばよいのに、ボコボコにされてしまえと。」





 一方、帰って行くオニキスに、グレモリーは後ろからこう訊いた。

「あのオニキス様、このままほったらかしで良いんですか?」

「何が?」

 オニキスが訊き返すと、グレモリーは言った。

「あの九尾の中の人です。貴方様の力なら、簡単に分離させる事も出来た筈です。」

「だね。でも“カチ”と言うのは正しさより優先される物さ、俺が救うより、相応しい奴に救われる方が良いんだよ。」

 オニキスのこの言葉に、グレモリーは何かを感じると、こう言った。

「はっきり言っても大丈夫ですよ、自分を倒した蓮宮天音達が金羅にボコボコにされるところを見たいって。」

 この言葉に、オニキスは怒る事も無くこう言った。

「半分正解で間違い。それもあるけど、逆もね。」

 彼自身は、蓮宮天音が倒されると言うオチも望んでいるが、金羅が倒されると言うオチも望んでいると言う。

「弱者にワザと希望を与えて、更に絶望させた時も面白いけど、強い奴が自分より弱い奴に倒されると言う絶望もまた面白い物だよ。」

 と、他者の絶望に付いて力説するオニキスを見ながら、グレモリーはこう思った。

(素直じゃ無い人ですね、素直にどちらも救われて欲しいと言えば良いのに)

 それと同時に、今まで殆ど窺えなかった、オニキスと言う存在を少しだけ理解出来た気がした。皆が救われ、幸せになる事を望んではいるのだが、それを決して表に出すことは無い。その為皆に誤解されるが、彼はそれも良しと受け入れる。

(要は爆発物、下手に扱えば危険ですけど、正しく使えばここまで有用な物は無い。所謂、途轍もなく扱いずらいツンデレ、ですね。)

 グレモリーがこう考えていると、オニキスは振り返ってこう言った。

「それに、サクラがあの宿題を解けたのかのいも気になるし。」

 彼が以前サクラと出会ったことがあり、その時こう訊いたのだ、

「野心の為に非情になれるか?」

 オニキスはこれを訊いた時、言葉本来の意味とは違う意味があると言う事と、答える事よりその意味を理解して欲しいとサクラに良い、次に会うときまでの宿題とした。

「さあ行くぜ、そろそろ奴らが攻めてくる。」

 オニキスはこう言うと、グレモリーを連れた状態で恐竜並みに巨大な九尾の狐となると、妖魔城を後にして行った。


 これでクロスオーバー第一弾は終了です。

 次回より本編「世界神司編」に入ります。

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