第十話 最強肩並
ここしばらくの投稿で、PV数が3000、ユニーク数が1000を越えました。これからもこの作品をよろしくお願いします。
それぞれ違う戦場で、皆が互いの長所を合わせあって敵と戦っている頃、恐らく組み合わせとしては九組中最強と言っても過言では無い、蓮宮天音と綾小路源の二人はどうしていたかと言うと、ゴールデンドラゴンを上手く誘導する事で、他の面々より少し離れた場所へとやって来ていた。
「さてと、少し離れた場所まで来たわけですけど、どうするんですか?」
源が隣にいる天音に訊くと、彼はこう答えた。
「もちろん、奴を倒すんだよ。」
「そうですよね。」
源は天音にこう言い返すと、聖装の中より三枚のカードを取り出した。カードには、先ほども姿を見たドラゴン型の聖獣「ドラグーン」の絵が描かれた物と、全身が赤い羽毛で覆われたタカの絵が描かれた物、わき腹と背中に黄色い稲妻のマークが付いた黒いカエルの絵が描かれた物がある。
「来い!ドラグーン、フェニックス、エレクトード!!」
源はこう叫ぶと、聖装に付いているスロットに次々にカードを差し込んだ。その結果、どこからか青色の霊力が収束すると同時に、霊力はドラグーンの姿を形作り、それと同時に今度は赤と黄色の霊力が集まり、赤い霊力は炎に変化して、赤い羽毛で覆われたタカの姿を作りだし、黄色の霊力は電流となって、背中とわき腹に稲妻のマークを持つ黒いカエルの姿になった。
「流切怒涛の剣勢、水龍騎ドラグーン、推して参る!!」
「烈火鷹フェニックス、燃えるぜ~!!」
「轟砕即降の雷!電撃蛙エレクトード、見参!!」
現れた三体の聖獣は、ドラグーン、フェニックス、エレクトードの順番で決め台詞を言って、源の前へとやって来た。
「い、一度に三体?」
その様子を見て、天音は思わず驚いた。この世界では違うのかも知れないが、彼の世界では基本的に聖獣は人間一人に付き一体だけで、一部の例外を除けば一人の人間が複数の聖獣と同時に契約する等あり得ない。だが源は、先ほどヘルニアと名乗る蠍の特徴を持つ少女の姿の聖獣も召喚していたので、少なくとも四体以上の聖獣と契約している事になる。
だが、今はそれを気にしてゆっくり考えていられる状態では無いので、彼は自身の愛刀である蓮皇、氷蓮を取り出し、雛のような姿から様々な色に光輝く羽毛を持つ成鳥形態に変化した自身のパートナー「鳳凰」の「白蓮」を自分の近くに呼ぶと、
「契約執行!鳳凰、白蓮!!」
と叫んだ。その結果、白蓮は光の粒子となって分解されると、天音の持つ蓮皇と氷蓮の中に入って行った。そして、蓮皇は真紅と白銀と黄金で彩られた刀身を持つ大剣「鳳凰剣零式」となり、氷蓮は蒼色と白銀、黄金で彩られた刀身を持つ大剣「鳳凰剣百式」へと変化した。
しかし、天音自身の変化はそれだけで留まらず、腕には色鮮やかな手甲「鳳凰剛柔甲」が装備され、服装も天聖学園の夏用男子制服から、神子装束を元にしながらも踊り子のように派手な衣装「鳳凰之羽衣」に変化した。
一連の流れを見て、源はこう叫んだ。
「ええ?変身した?!」
そしてその後、少し考え込んでからこう言った、
「メタルドラグーンにも合体バンクを付けようかな?」
「源、その合体バンクを見せている間に攻撃されて終わるぞ。」
源の考えた試みに、ドラグーンがこう言い返すと、それまで律儀に待っていたゴールデンドラゴンは、彼らにこう言った。
「準備は出来た?なら始めるぞ!!」
大剣を構えて飛び出すゴールデンドラゴンを見て、天音も両手の双翼鳳凰剣を構えて向かっていき、源は複数の技カードを構えると、呼び出した三体の聖獣にこう指示を出した。
「よし、こっちは蓮宮さんの援護だ!!」
「了解!!」
三体の聖獣はそれぞれこう答えると、ドラグーンは天音の後ろについて走っていき、フェニックスは巨大な翼で飛び上がり、エレクトードはカエル特有の跳躍で上空から攻撃を仕掛けようとした。
「はぁぁぁ!!」
天音が双翼鳳凰剣でゴールデンドラゴンを切りつけると、
「おらぁ!!」
それに続いてドラグーンが、右腕の手甲に仕込まれた剣を五本解放して、それをゴールデンドラゴンめがけて突撃し、
「行くぞ!フェニックス!」
「応!!」
上空に居るエレクトードとフェニックスは、同時に技を繰り出した。
「帯電張手!!」
エレクトードは自分の中に流れる電流を、自分の右手に集中させてゴールデンドラゴンを殴ろうとし、
「鷹爪紅蓮脚!!」
フェニックスは自身の足に炎を纏わせると、ゴールデンドラゴンを蹴りつけようとした。
一方のゴールデンドラゴンは、目の前に迫る四つの攻撃を見ながら、大剣を構えてこう言った。
「線は見えた。」
そして、片手でつかんだ大剣を左から右へと振り上げた。この一撃で、天音、ドラグーン、フェニックス、エレクトードは同時に吹っ飛ばされた。
「四つの攻撃を一回でだと?!」
空中で回転して体制を整え、上手く着地したエレクトードがこう言うと、空中で体制を整え再び飛翔し始めたフェニックスはこう言った。
「こうなったら、弾けない技で行くしか。」
「弾けない技?」
フェニックスの言葉に、天音は疑問を覚えた。確かにさっきの攻撃は弾かれたので、攻め方を変えるのは一種の戦法であるが、フェニックスの言う「弾けない技」とはなんなのか、と。
「ああ、あれか。」
「確かに、あれなら何とかなるかも。」
天音はともかく、他の面々は彼の言葉を理解できるようで、こう言った。その後、その準備とするのか、源は再び三枚のカードを取り出すと、それを聖装のスロットに差し込んだ。
「来い、ジェットシャーク、ステゴサウルス・Jack、ヘルニア!!」
すると、周囲から発生した灰色の霊力が空中で収束しサメを模した戦闘機の姿となり、同じく発生した茶色と青色の霊力は地面を瓦解させ、その中から名前の通り「ステゴサウルス」と、肩の鋏やわき腹の脚、針の付いた尾等、蠍を思わせる姿の少女が現れた。
「ジェットシャーク、take off!!」
「一に粉砕、二に粉砕、三四も含めて五も粉砕、古代戦士ステゴサウルス・Jack、登場!!」
「スコルピ・メイデン、ヘルニア!倒れなさい、私の為に。」
現れた三体の聖獣は、ジェットシャーク、ステゴサウルス・Jack、ヘルニアの順番で決め台詞を決めると、三体はそれぞれ源の元に集まった。ドラグーンやフェニックス、エレクトードもやって来たので、彼らは作戦会議をするつもりなのだろう。念のため、ゴールデンドラゴンから目を離さないようにしながら、天音が彼らに近づくと、断片的に話が聞えてきた。
「まずドラグーンが……して、」
「そしたら俺が、……を……、」
「最後に俺たちで………」
ここまで話した所で、一人と六体はスクラムを解くと、天音にこう言った。
「そういうわけだから、手伝って!」
「どういう訳?!」
彼らの言葉に対し、天音はこう返した。先ほどの断片的な会話を聞けば、源たちが何等かの作戦を立てたのは分かる。だが肝心な、誰が一体何をするかを聞き取る事が出来なかったので、天音はどうすれば良いのかが分からない。
「詳しい話は、俺が説明するよ。」
すると、その事に気が付いたのか、それとも最初からそうするつもりだったのか、フェニックスは天音に近寄ると、耳打ちで説明しようとした。しかし、
「熱い熱い熱い熱い!!」
フェニックス、彼は火の鳥なので、少しだけ接近しただけだと言うのに、松明を近づけられたかのような熱量が天音に伝わってきた。そのために、周囲は真冬並みに寒いはずなのに、顔から汗が滲み出してきた。
その様子を見て、
「変われ。」
ジェットシャークがフェニックスを押しのけると、天音に近づいて説明した。その際、彼の体は金属であるが故に、外気によって凍りつくほどに冷たかったが、すでにフェニックスによって熱くなっていたので、あまり気にはならなかった。
「まず………して………するから、そしたら……をやって、最後に俺たちが……する。」
ジェットシャークの説明聞いたところで、天音も源達の考えた作戦を理解できたので、皆は準備に取り掛かった。
「行くぞ!!」
皆が準備を始めてから、源はこう言って複数の技カードを用意すると、そのうちの一枚を聖装のスロットに差し込んだ。
その結果、彼の傍に残っていたステゴサウルス・Jackは後ろ足で立ち上がると、前足で地面を激しく踏み鳴らし始めた。
「グランドラム!!」
グランドラムと言うのは、恐竜族の聖獣なら誰でも使える技の一つで、地面を激しく踏み鳴らして地震を起こし、相手のバランスを失わせて身動きを封じる技である。
これに対し、バランスを崩しながらもゴールデンドラゴンは、背中の翼を大きく開いた。このまま飛翔して脱出するつもりらしい。
「ハイドロレーザー!!」
「ドラグーンハイドロレーザー!!」
だが、水属性を持つヘルニアが水属性の聖獣なら誰でも使える技「ハイドロレーザー」を繰り出し、その反対側から、ドラグーンがハイドロレーザーを強化し、自身にとってブレスに相当する技にしている必殺技「ドラグーンハイドロレーザー」を放った。相対する方向から同時に激しい水流を受け為、たった今逃げようとしたゴールデンドラゴンは、身動きを取れなくなった。
「エレキシュート!!」
それをチャンスと考え、違う場所で待機していたエレクトードは、口から電流の球を幾つも吐き出して、水流をまともに受けているゴールデンドラゴンに命中させた。
「良し、今だ!!」
その様子を見て、源は上を見てこう叫んだ。そこには空を飛ぶフェニックスと、ロボットの状態で浮いているジェットシャーク、鳳凰之羽衣から出ている翼で飛翔する天音が居る。
「ウィンフレア!!」
源の言葉を受け、フェニックスは大きく翼を何度もはためかせて、熱風に乗せて燃える羽毛を飛ばし、
「メガミサイル!!」
ジェットシャークは全身に仕込まれたミサイルボットから、大量のミサイルを放ち、
「焔翔鳳凰穿!!」
天音は両手で持った鳳凰剣零式を振り下ろし、鳳凰を思わせる形状の真紅の鳥を放った。
三つの熱を持つ一撃は、様々な方向からゴールデンドラゴンに迫り、ある距離まで近づいた所で大爆発を起こした。
「良し、水素爆発コンボ成功!!」
様子をステゴサウルス・Jackの後ろで見ている源は、爆風に耐えながらこう言った。彼の言う水素爆発コンボと言うのは、水と雷、炎の属性を変則的かつ様々な方向から浴びせる事で、一定の範囲内に激しい爆発を起こす、技カードの存在していない、ほかでもない源が自ら編み出した技である。本来この技はグランドラムでの足止め、ヘルニアの放水、ジェットシャークのミサイルは必要としないが、今回は規模が規模であったという事もあり、総動員で技を行ったのだ。
「さすがに無傷とは行かないだろ。一回しか決め手になったことは無いけど。」
空中で様子を見るフェニックスは、爆風の中を見ながらこう言った。過去にこの技を使用したのは、ゴーレム戦とヘルニア戦であり、一回目は見事に決め手になったが、ヘルニア戦では全く効果を成していなかった。
「まさか、私がこの技に協力する事になるとはな。」
地上で放水していたヘルニアも、かつては源達と敵対していたことを思い出し、皮肉そうにこう呟いた。
そんな中、天音と契約している白蓮は、アーティファクト・ギアの中からこう言った。
「ちちうえ、あのりゅうのけはい、まだきえてない。」
「何だと?」
「やっぱりか。」
白蓮の言葉に、空中に居るジェットシャークは驚き、白蓮と契約している天音がこう言った瞬間である。
「あー、びっくりさせやがって。」
ゴールデンドラゴンはこう言いながら、まるでマントを振りかざすような動作をして熱風を振り払った。その時、彼の翼は先ほどまで黄金色に輝く蝙蝠のような形状からうって変わり、羊毛で織られた布のような形状になっている。
「あれは……?」
様子を見るステゴサウルス・Jackがこう言うと、源は相手の翼が持つ特性を見ながらこう言った。
「金羊毛か?」
「金羊毛って言うと、あれか?眠らない竜が守っているっていう?」
源の推測に、以前軽くであるがアリスティーナの部屋にあった本の中で見た神話を思い出し、天音がこう言うと、ゴールデンドラゴンはこう言った。
「まあ、そんなもんだ。と言っても、俺に守護者の特性はあるが、俺のこの羊毛はただの模造品だ。変な期待はやめてくれよ。」
そして、片手で大剣を構えると、地面を力強く蹴って飛びかかってきた。
「うおぉぉ!?」
最初に狙われたエレクトードは、高くジャンプして距離を取り、
「くぅぅ!!」
ドラグーンは、両手の剣を交差させて攻撃を受け止めるも、相手の高い筋力により吹っ飛ばされ、距離を取ったはずのエレクトードに激突してしまった。
「まずいな!!」
ヘルニアはこう言うと、伸縮自在の尾をのばし、先端に付いた剣のような形状の針を突き刺そうと試みた。
「援護する!!」
その際、ステゴサウルス・Jackもゴールデンドラゴンに接近すると、尾の先に付いた四本のスパイクで攻撃を仕掛けた。
この攻撃を、ゴールデンドラゴンは羊毛で防ぐのではなく、大剣で弾くことで凌いだ。
「な、何だ?」
ステゴサウルス・Jack、ヘルニアが同時にこう言うと、
「どりゃぁ!!」
空中から接近したフェニックスが足の鉤爪でゴールデンドラゴンを捕まえ、そのまま猛禽が獲物を攫うが如く空中へと飛翔し、
「うおぉぉぉぉ!!」
飛行機の形態となったジェットシャークが飛来し、フェニックスが捕まえたゴールデンドラゴンへ体当たりを行った。それにより、ゴールデンドラゴンはフェニックスの元を離れると、遠くへと飛んで行った。
その後、それぞれ攻撃の役割を担当するために散り散りになっていた面々は、再び作戦会議をするために集まった。
最初に、ヘルニアがこう言った。
「作戦を考えるにしても、大人しく待ってくれるほど奴も律儀では無いだろう。まず、メタルドラグーンで時間を稼ぐべきだ。」
「メタルドラグーン?」
ヘルニアの発した単語に、天音は疑問を覚えた。源は出せる戦力は全て出したと言っていたが、まだ隠している戦力でも居るのか、と。
「そうだね。」
ヘルニアの言葉に、源はこう返すと、聖装を構えて複数枚のカードを取り出した。それは、すでに場に出ているドラグーン、フェニックス、エレクトード、ジェットシャーク、ステゴサウルス・Jackのカードである。源はそれらのカードを一つに束ねると、聖装のスロットに差し込んだ。
その結果、元から出ていたヘルニアを除く五体の聖獣は再び霊力の状態まで分解されると、一つに固まった。そして、姿はドラグーンを基調としながらも体躯は数倍に巨大化し、全身に鋼鉄の鎧を思わせる外殻を纏い、背中には巨大な鋼鉄の翼、尾鰭のような物が付いていた尾の先端にはスパイク、両腕には巨大なリボルバー式の銃を装備した聖獣が現れた。
「が、が、合体した?!!」
目の前で起こった事に、思わず天音は驚いた。自分たちの世界では、聖獣と無機物が合体する事は普通であるが、聖獣同士が合体する所は見た事が無い。そして、アニメが大好きな自身の婚約者、天堂千歳がこの場に居なかった事で心の中で安心していた。もしも彼女がこの場に居れば、興奮でもはや戦い所では無くなっていただろう。
「じゃあ、頼む。」
「了解。」
源の一言の指示を、一言で了承した聖獣「メタルドラグーン」は、両手の銃を構えると吹っ飛ばされたゴールデンドラゴンに向かっていった。
「な、何だお前は?!」
突然現れた未知の聖獣に、ゴールデンドラゴンが驚きながらも交戦している所を後ろに、作戦を考える源、天音、ヘルニアはと言うと、
「でもどうする?弾かれ防がれ、俺たちの攻撃は一回も決まっていないぞ。」
天音がこう言う中、ヘルニアはこう言った。
「だが、一連の攻防で奴の弱点を少し知る事は出来た。」
「弱点?」
源がヘルニアの言葉に疑問を覚えると、メタルドラグーンが大量に放つ弾丸やミサイル、爆弾により爆音が響く中、ヘルニアはこう言った。
「奴は衝撃や斬撃をあの羊毛で防いでいるが、鋭い武器による突きだけは、大剣で弾き返している。という事は……」
「つまり、無敵の防御を誇る羊毛も、鋭い一撃だけは防げないという事か。」
ヘルニアの言葉に、天音はこう言った。以前自分たちの世界でゴールデンドラゴンと出会った時、彼が言っていたことを思い出したのだ。
「ずいぶん速いし鋭いし、防ぐ以前の問題かも。」
天音たちの世界に居た時、雫の投げた槍が迫った時、彼は確かにこう言っていたのだ。
「でもさあ、問題はどうやって奴の大剣を掻い潜り、針で刺すような一撃を与えるかだよ。大きすぎると弾かれる、小さすぎたらそもそも通らない。」
すると、源が二人にこう言った。
「そ、それは……」
天音が言葉を失い、どうするべきかを考え込んだ瞬間である。
「僕に策があるよ。」
源はこう言って、天音にこう訊いた。
「超大技っていうのはありませんか?何というか、そのエネルギー量だけで本来の用途を無視して敵を倒せるような。」
「つまり源が言いたいのは、本来は切る技だけど、そのエネルギー量だけでも大ダメージを与えられる技って事か?あるにはあるぞ。」
源の問いに、天音はこう答えた。彼の言う技とは「鳳凰光翼剣」の事であり、双翼鳳凰剣を用いて巨大な光の翼を発生させ、それで敵を切り裂くと言う技である。但しこの技は、元の世界でゴールデンドラゴンと交戦した時に、破られている。
その事を天音が源に伝えると、源はこう返した。
「十分、僕が……するから、合図とともに……して。」
天音に作戦の内容を説明すると、天音はすぐさま反論した。
「ダメだって、いくらなんでも危険すぎる!」
天音のこの言葉に、ゴールデンドラゴンめがけて銃弾を乱射しているメタルドラグーンを見ながら、源はこう言った。
「あいつじゃ大きすぎる。それに、いざと言うときのために、そっちのポジションに置いておきたいんだよ。」
すると、
「大きすぎて悪かったな!!」
ゴールデンドラゴンから距離を取り、源の元にメタルドラグーンが降り立った。どのような戦いが行われていたのかは分からないが、彼自身は傷も負っていないので、攻撃面防御面共に実力はかなり高いと思われる。
そして、源たちの会話を何等かの形で聞いていたのか、ゴールデンドラゴンに銃を向けながら、こう言った。
「そういう弱点が分かれば問題ない。一点集中、圧倒的質量の一撃を………」
しかし、発言から少しの時間がたっても、メタルドラグーンは一向に銃を撃とうとしない。源、天音、白蓮が疑問符を浮かべると、メタルドラグーンは銃を下しながら言った。
「ざけんじゃねえよ。こんな肝心な時に弾切れかよ。」
(やっぱりね……)
戦闘の様子は見ていないが、彼が銃を乱射して戦っていたことは、聞えてくる発砲音で十分理解できた。天音と白蓮は揃ってこう思ったが、
「え、機械聖獣にも弾切れあるの?」
あろうことか、源はこう発言した。
「と言うか、自分の聖獣の事くらい、ちゃんと把握していろよ。」
驚く源に、天音はこう言った。とある事情ゆえに謎が多く、パートナーの実態をあまり理解できていない自分に言えるのか、と思ってはいたが。
結果的に、源が天音に伝えた作戦で動くことになり、天音は双翼鳳凰剣を構え、その隣にメタルドラグーンがスタンバイした。
残るヘルニアは、源の聖装である大剣の中に戻り、彼の大剣の切っ先と彼の突き攻撃の技術を強化する加護を与えた。源は大剣を構えると、力強く地面を蹴って飛び出し、大剣を振り上げてゴールデンドラゴンに切りかかった。
「面白い!!」
対するゴールデンドラゴンは、源の振り下ろした大剣を自身の大剣で受け止めると、こう言って彼の体を吹っ飛ばした。源は空中で上手く体制を整えて着地すると、再び向かっていった。
その頃、天音はと言うと、
「アーティファクト・フォース。」
自身の力と、契約聖獣の白蓮の力をシンクロさせる事で、アーティファクト・ギアを用いて発動する必殺技の準備を行っている。源の考えた作戦と言うのは、源が気を引いている隙に天音が攻撃の準備を行い、合図と共に天音が攻撃を行うと言う物である。
アーティファクト・フォースの発動からしばらくして、鳳凰光翼剣に必要なエネルギーは40%まで溜まったが、一つ問題が発生した。気を引いている源の方が、徐々に押され始めて行っているのだ。
「どうした、手も足も出ないじゃないか?!」
「言わせておけば!!」
涼しい顔で剣を振り回すゴールデンドラゴンの攻撃を掻い潜りながら、源は自らの剣を振り下ろしている。しかし、彼の一撃は全て、大剣で弾かれるか羊毛で防がれるかして、一発としてゴールデンドラゴンを捉えていない。
そんな様子を見ながら、白蓮は天音に言った。
「ちちうえ、ゲンがピンチだよ。」
「分かっている。」
白蓮の言葉に、天音はこう返した。作戦の上では合図を待つことになっているが、源はまだそういう仕草をしていない。合図を無視して攻撃をするにしても、今の位置関係では源を巻き込んでしまい、肝心のゴールデンドラゴンには簡単に止められてしまうだろう。天音が歯噛みしている中、源の思わぬ反撃に気をよくしたゴールデンドラゴンは、
「そう来ないとな!!」
と、叫ぶと、源に向けて剣を突き出した。
「ちぃっ!!」
源も同様に剣を突き出すと、その切っ先で相手の大剣の切っ先を止めた。しかし、切っ先で切っ先を止めると言う、とてつもない集中力と筋力が必要とされることを行いながら、剣を使う機会が殆どない源の体力が、余り長い時間持つはずもない。
その様子を見た天音は、自身の鳳凰光翼剣を見た。エネルギーの集中が済んでおらず、初めて出した時は勿論、ゴールデンドラゴンにこの技を破られた時の威力も出ていない。だが、このまま手をこまねく訳には行かない。天音はこう考えると、
(うまく避けろよ)
心の中でこう考え、合図は無いが自分の必殺技を繰り出した。
「蓮宮流、鳳凰光翼剣!!」
天音は技名を叫ぶと、光の翼で覆われた巨大な剣を振り下ろした。
「な、危な!!」
源は天音の声で技の発動に気が付くと、ぎりぎりまで粘った挙句に、地面を力強く蹴り、その場から飛んで離れた。一方、源がぎりぎりまで粘った為に、回避のタイミングが遅れたゴールデンドラゴンは、自らの羊毛で攻撃を受け止めた。
「この技なら、もうすでに破って見せた筈だ!!」
ゴールデンドラゴンがこう言うと、飛んで攻撃を回避した源は、一枚の技カードを取り出し、それを大剣のスロットに差し込むとこう言った。
「それだけと思うなよ。レーザーソード!!」
レーザーソードは、機械族の聖獣が使う事の出来る斬撃技で、腕をフォークを思わせる形状に変化させ、そこから光の剣を出して相手を切り裂く技である。今この場に機械族の聖獣はいないが、メタルドラグーンは融合時に機械族聖獣も融合したので、その影響で機械族としての一面を手にしている。メタルドラグーンは腕の銃器を、フォークを思わせる形状に変化させると、そこから鳳凰光翼剣を負けない規模の光の剣を作りだし、ゴールデンドラゴンに向けて振り下ろした。その結果、二つの光の剣は融合して、一つの剣となった。
「な、何だと?」
ゴールデンドラゴンは驚いたが、羊毛は決して刃を通そうとしない。しかし、その事はすでに織り込み済みだったのか、源はこう言った。
「これは斬撃であって斬撃じゃない。圧倒的なエネルギー質量による圧縮攻撃!さすがの羊毛も、重さまで防げないだろ!」
事実、ゴールデンドラゴンの立っている地面は今に瓦解しそうな程にグラグラと揺れており、彼の体を支えている足も、今にも崩れそうになっている。
「成程、子供にしちゃ随分と悪知恵の効いた攻撃じゃないか。でも、こちらにだって守護者の意地と言う物がある。これくらい……」
ゴールデンドラゴンはこう言うと、鳳凰光翼剣とレーザーソード、二つの攻撃が混ざり合って出来た光の剣を弾き飛ばそうとした。しかし、それよりも前に、
「正面ががら空きだ!!」
ゴールデンドラゴンの前に、剣を構えた源が飛び出し、こう言ったのだ。ゴールデンドラゴンはしっかりと反応出来たが、防御の要である羊毛は真上で斬撃を止めており、両手もそちらに回しているので、正面からの攻撃を防ぐことは出来ない。
その事を悟ったが故の行動だったのか、源は勢いよく剣を突きだした。しかし、ゴールデンドラゴンにダメージは与えず、羊毛で攻撃を止めている両腕にダメージを与える事で、腕を下げるだけに留まった。
「今だ!!」
その場から大きく跳んでゴールデンドラゴンの傍を離れると、源はこう叫んだ。
「良し!!」
「了解!!」
天音、メタルドラグーンは同時にこう答えて、自分たちの発生させている光の剣の威力と、それを振り下ろす筋力を高めた。それにより、光の剣は阻む物を失った事で、がら空きとなったゴールデンドラゴンの全身を飲み込み、彼の全身にダメージを与え、彼を戦闘不能にした。
その際、彼には右肩から下がる形で胸に大きな傷が刻まれ、頭部右側の角が折れて、天音の元に飛んできた。天音はそれを、戦利品として取っておくことにした。
その後源と天音が、元々皆が居た場所へと戻ってくると、そこには既に敵を倒し帰還していた、直樹&雷花、小雪&迅、彩妃&祐介、博明&千歳、直葉&刹那の組が居た。
「あ、お帰り。」
直樹、小雪、彩妃、祐介、博明、直葉がこう言うと、
「ただいま。」
源と天音はこう返した。すると、
「天音ぇ~!!」
弾丸の如き勢いで、千歳が天音にと抱き着いた。その際、
「ギャン!!」
源はその場より大きく吹っ飛ばされてしまった。
「天音、無事だった?怪我してない?!」
千歳が天音にこう訊くと、彼はこう答えた。
「勿論無事だよ、アイツのおかげでな。」
彼の目線の先には、吹っ飛ばされた拍子に眼を回し、そのまま倒れて居る源の姿がある。すると、祐介はこう言った。
「まあ、水の担い手だからね。しかも、鳳凰使いと組んだくらいなんだから、絶対に勝ってもらわないと。むしろ俺としては、博明の組が勝てたのが凄いと思うけどね。」
「は?」
祐介の一言に、千歳が疑問符を浮かべると、小雪はこう言った。
「博明君、ついこの間神司になったばかりなの。」
「つまり、私の引いた籤はハズレだったの?」
千歳が気を落としながらこう言うと、博明はこう言った。
「良いじゃないですか、勝ったんだから。」
「勿論、私が優秀だからね。」
「じゃあ、そういう事にしておきます。」
博明の言葉に機嫌を良くした千歳がこう言い、それに博明が更に続けると、彩妃は遠くからある声を聞き取った。
「! 他の面々もそろそろ戻ってくるみたい。」
彩妃が皆にこう言った瞬間である。
「上着、そろそろいい感じに乾いたんじゃ無いか?」
「そうですね。どうもありがとうございます。」
金剛棒に引っ掛かっていた上着を差し出し、それを受け取りながら恭弥と江美が、
「もう少しです、歩けますか?」
「ありがとうございます。後は自分で……」
戦いの影響でフラフラになっている麗奈に肩を貸しながら薫が、
「いくら何でも置いてけぼりにするなんてあんまりですよ。」
「だから、それは本当に悪かったって、さっきから何度も……」
いじけている修を宥めながら雫が、それぞれの向かった方向から戻って来た。
彼らが戻って来るや否や、
「…恭弥、変な事をしてないでしょうね…?」
「な、何も無いって。」
恭弥は雷花に、何故か疑いの目で見られ、
「麗奈、どうしたで御座るか?」
「えっと、超エネルギー拷問の後に、汚い花火が上がって……」
麗奈を心配して駆け寄る刹那に、薫が良く分からない報告を行い。
「……何か有ったのか?」
「大したことじゃないのだけど……」
いじけている修を見ながら迅が雫に訊くと、雫は遠い目をしながら言った。
「でもまあ、皆勝利した上で無事に戻って来たのだから、良い結果だと思いますよ。」
(まだ居ないと言う事は、アリス先生まだ行方不明なのか?)
この場を上手く纏める江美の一言に、共感を覚えながらも恭弥は、心の中で自分たちの顧問の事を心配していた。
その時である。
「全く、一人ならまだしも、全員負けちゃったの?」
表情を見ずとも、呆れている事が分かる口調で、誰かが言った。
「千歳、何か言ったか?」
「言ってないよ。」
天音が隣の千歳を見てこう言うと、千歳は即答で否定した。なので、皆が声をした方向を見ると、そこには花を思わせる模様が彼方此方に付いた真紅のチャイナドレスに身を包んだ女性が居た。髪の毛は綺麗な長い銀髪で、燃え盛る炎のような「紅の瞳」が特徴のスタイル抜群な美女であり、皆思わず見とれてしまった。
だが、神司部のメンバーと彼らに付いて来た神司達は、彼女の姿を見た時同時にこう言った。
「さっきの?!」
そこに居たのは、天音達の事を「聖獣を道具のように扱う人間」と言った女性である。実際に会った結果、言っている事を間違いでは無かったが、悪人であると言う印象はわかなかった。
「全くどの子も使えないんだから、折角目的達成の足掛かりにしようと彼方此方回って色々仕組んだのに、すぐに仲良くなっちゃって。」
(この言葉、つまりあの少年も彼女が……)
彼女の言葉から、迅と雫は同時にこう考えた。そんな中、天音は彼女にこう言った。
「って言うか、お前は一体何者だよ?!」
「私、私はね……」
天音に訊かれた女性は、自分の名前を名乗ろうとした。しかし、
「お~に~き~す~さ~ま~!!」
と、遠くから聞こえてきた。その方向から、黒い服に身を包んだ長い赤髪が特徴の、綺麗と言うより可愛らしい顔立ちの女性がやって来た。さっきの声の正体は、彼女であろう。
「もう、オニキス様勝手にどんどん行っちゃうから、合流するのに凄い苦労しましたよ。今までどこに行ってたんですか?」
やって来た女性は、オニキス様と呼んだ女性に対しこう言った。すると女性は、口元には笑みを浮かべつつも、目は全く笑ってない状態で、彼女にこう言った。
「あのさあ閣下?いつの間にか居なくなった中、自分で合流してくれたのはありがたいんだけど、空気って言うのを読んでくれないかな? 私張り切って自己紹介しようとしてたのに、もう出来ないじゃない。皆もう知っちゃったよ、私の呼称がオニキスだって。」
「あ、ううう、ゴメンなさい。」
オニキスに対し、閣下と呼ばれた女性は、涙目になりながら謝った。今の一言で少し溜飲が下がったのか、オニキスが一息つくと、源は彼女にこう言った。
「すいませーん、聞き逃しちゃったんで、もう一回自己紹介して下さい!!」
源の一言で皆は空気を読み、一様に頷いた。オニキスはその事を理解しているのか、オニキスは改めて自己紹介をした。
「それでは言って聞かせましょう。聖獣の大賢者白面銀毛九尾の狐、その呼び名をオニキス、です☆」
両手に扇子を持ち、それを巧みに動かしながら踊り周り、自己紹介を終えるや否や、必要かどうかは分からないが一回ウインクをした。
(これで良し。)
源と天音達は一様にこう思うと、天音がオニキスに訊いた。
「てめぇ、俺達とこっちの世界を股に掛けて、一体何をするつもりだ!?」
すると、オニキスでは無く閣下と呼ばれた女性が、こう答えた。
「お黙りなさい!事あるごとにテヘぺろ☆とか言ってそうな声の男!オニキス様に対してなんて無礼な?」
「………かなり遠回しに女声って言われた………」
彼女の言葉に、天音が気を落とすと、オニキスはこう言った。
「なんて言うべきかしらね、元々そっちの世界には用が無い筈だった、いいえ、今も昔も用なんて無いわ。」
オニキスが言うには、自分の部下でもある九体の竜達は、何かの手違いで天音達の世界に来てしまったらしい。
「折角未来から遥々来たのに、計画大幅に変更しないと。」
彼女がこう言うと、
「その計画って何?」
源がこう訊いた。
「訊いて答えると思う? 特に貴方には。」
「?」
源の問いに出したオニキスの返事。源は疑問を覚えたが、江美がこう言ったので、臨戦態勢を整えた。
「言わないなら、力づくで聞き出すまで。」
「そう、そう来ないとね。」
江美の言葉に、オニキスはこう言うと、白面銀毛九尾の狐の名前に偽りの無い、銀色の毛並で覆われた狐耳と、九本の大きな尾を出現させた。
「始めましょう、全てが凍てつく終末の宴を……」
八組目
夢野亜衣
「はい、始まりました。クロスオーバーM1グランプリ、司会は私。アーティファクト・ギアより出番は一話だけの一発屋、夢野亜衣と。」
御門京香
「聖獣王伝説より、第三話以降一度も出番が無い、存在感がこれ以上薄くならないように必死な、御門京香です。」
夢野亜衣
「今回も後書きのスペースを用いて漫才?を披露してもらいます。」
京香
「では行きましょう。今回出演するのは、再び大蛇,sです。どうぞ!」
直葉&十蔵
「はい、大蛇,sです。」
十蔵
「全く、何で儂がまたこの場に出てこなければならない?」
直葉
「まあ、頑張りましょう。」
十蔵
「ところで、儂は今日何をすれば良いんだ?」
直葉
「話は変わりますけどね。」
十蔵
「変える前に訊けよ。」
直葉
「私、自分のキャッチコピーを考えたんです。」
十蔵
「キャッチコピー?」
直葉
「はい、魅惑の植物人間って言うんですけど。」
十蔵
「はっきり言って良いか?」
直葉
「何?」
十蔵
「三藤直葉さんはもしかしてバカで御座いますか?」
直葉
「クビよ、クビ、クビ!!」
十蔵
「さてと、冗談はさておき。」
直葉
「冗談なの?」
十蔵
「その植物人間と言うキャッチコピーは止めた方が良いぞ。植物なのか人間なのか分かりにくい。せめて、植物の精霊の方が良い気がするぞ。」
直葉
「えー、でも嘘はヤダ!」
十蔵
「変に意地張ってるな。」
直葉
「それなら、十蔵さんのキャッチコピーは何ですか?」
十蔵
「儂は闇に生きる者。故にキャッチコピー等無い。」
直葉
「じゃあ、私が考えてあげる。」
十蔵
「なに?」
直葉
「それじゃあ、シュシュッと参上、って言うのは?」
十蔵
「それはハリ○ンジャー。」
直葉
「さあ、お前の罪を数えろ。」
十蔵
「それは決め台詞じゃ。」
直葉
「じゃあ、どういうのが良いんですか?」
十蔵
「はぁ、良いか直葉よ。人に大事なのはキャッチコピーでは無い。自分に出来る事を精一杯やる。それが何よりも大事なんじゃ。それが自然に出来る人間は、キャッチコピーなど無くとも人々の記憶に残る。」
直葉
「………そうですね。私間違ってました。そして、初めて十蔵さんのまともな言葉を聞きました。」
十蔵
「つっこみどころは有るが、分かってくれたか?」
直葉
「これからは、キャッチコピーでは無く、決め台詞を考えます。」
十蔵
「いい加減にしろ!」
直葉
「どうも、ありがとうございました。」




