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聖獣王伝説  作者: 超人カットマン
聖獣王伝説×アーティファクト・ギア クロスオーバー第一弾 未来襲来編
31/55

第五話 激闘、神司VS神子剣士、そして……

 清水の町より東にあるとある場所にて、源と天音は戦っていた。天音は自身のアーティファクト・ギアを用いて猛攻を繰り出すも、対する源は、武器は愚か防具さえも装備しない状態で立ち会っている。

「おっと、それ!」

「く、的が小さい!」

 軽やかなフットワークで、次々と繰り出される大剣による一撃を回避する源に、天音はこう言った。ついこの間まで中学生だった少年と、現役の小学生でまだ12歳にもなっていない少年とでは、体格差があるのは当然で、源はその体格差を用いて、天音の攻撃の隙間を流れるように移動し、反撃のチャンスを窺っていた。

 そもそも、何故彼らが戦っているかと言うと、僅か数分前に遡る。

「喧嘩を売るなら喜んで買いますよ。でも、勝敗がどうあれ試合気分で挑むなら、さっさと降参して貰えますか?」

「人を甘く見るのも大概にしろよ。」

 源、天音の順番にこう言うと、彼らは何を思ったのか、ほぼ同時と言っても過言では無いタイミングでその場を飛び出し、源が繰り出した蹴りを天音は剣で受け止め、今も行われている戦いになるのだ。

 様子を見るメンバーの内、源の仲間の方はと言うと、

「あ、アイツ凄いな。」

 直樹が源の身のこなしに驚くと、

「本当、信じられないな。あの走る以外の運動嫌いが…」

 薫がそれに同意した。

 戦う様子を見ている、面子の中で最も戦う術に優れている江美は、様子を見ながら。

「あの動き、型に嵌った道場武術と言うより、実際に場数を踏んで無理矢理作り上げた型。言うなれば、喧嘩(ストリートファイト)のやり方ね。」

「それじゃあ、アイツはいつもあれだけの戦い方が身に付くような生活をしていると言う事か。」

 博明が驚くと、彩妃はこう言った。

「思えば、私たちは彼の事をロクに知らないのね。」

 対する、天音の仲間達も一様に驚いていた。

「あの少年、親方様と武器も使わずに渡り合っているで御座る。」

「忍者に勧誘したら、きっと里で一、二を争う忍者になるでしょうね。」

 刹那、麗奈がこう呟くと、恭弥は自分たちの隣で見て居る雫と迅に訊いた。

「どう思います?」

「それは、彼らの戦い方?それともこの状況に付いて?」

「両方です。」

 雫に訊き返され、恭弥がそれに答えると、まずは迅が源の立ち周りを説明した。

「確かに滑らかだが、動きに無駄が多い。恐らく、天音のように技を学んだのではなく、実戦の中で技を自ら編み出したんだろう。」

「道場格闘家と言うより、路上格闘家と言う事ですか。」

 迅の見た目に恭弥がこう言うと、雫がそれに続いてもう一つの疑問に対する見解を述べた。

「恐らく、互いに明確な敵意を持っているとは思えないわ。天音だって流石に、何か裏も無しに年下相手にアーティファクト・ギアを振り回す程大人げないとは思えないし、彼だってきっと同じ。何かを探っているみたい。」

「……何でそういう事が分かるんですか?」

 恭弥が訊くと、雫は説明を補足した。

「だって彼、自分から攻撃した筈なのに、天音に対する興味が殆ど皆無なのよ。ついさっきだって、天音が大振りした剣を見事に受け流したのに、反撃に出なかったでしょう。」

「つまり、悪く言うと天音は彼に遊ばれているって事ですか?」

 雫の補足に、千歳がこう言うと、雫は笑顔で、

「そうね。でも、天音さん自身も本気を出してないから、大事にはならないと思う。」

と、言った。

 一方、千歳の見立てで言う所の、源に遊ばれている天音はと言うと、剣を振りつつ心で考え込んでいた。

(どうしたって言うんだ?)

 天音の振り回す剣を回避する源は、あくまで無表情のまま動き回り、天音の剣を次々と回避している。しかし、雫が見立てた通り天音に興味が無いのか、絶好の反撃のチャンスと対面しても、彼は攻撃に移らない。回避が上手くても、勝負事には勝てない。その法則に則って考えれば、実戦の中で技を磨く源に、隙を見つけた所で反撃を行うだけのスキルが無いのは有り得ない。

 天音は何回目になるか分からない横一閃を繰り出し、源は天音の懐近くに入り込み、振られた剣を握っている腕を掴んで止めた。この時、天音は源にこう訊いた。

「お前、何を考えている?」

 この問いに、源は何も言わずに今まで彼の腕を掴んでいた手を離し、距離を取った。そして、人差し指と中指を立ててそれを数回折る所を見せる動作、所謂挑発を行った。

「……本気で行って良いんだな?」

 源の挑発が頭に来てしまった天音は、双翼鳳凰剣を構えると、交差させた状態で飛び出した。この時、今まで無表情だった源は思わずニヤリとすると、腰に手を添え、一本のボールペンを取り出した。

「? ボールペンでどうするつもりで御座る?」

 源の行動に、刹那は疑問を覚え、

「? 今さら?!」

 江美は疑問と同時に、驚きを覚えた。

 そして、飛び出した天音が構えた双翼鳳凰剣を振りぬき、それにより発生した熱風で源を吹っ飛ばそうとした時である。源は今まで居た場所から、飛び出した。

(な、何?)

 驚く天音を尻目に、源は目にも止まらない速度で天音の剣の至近距離へと入り込んだ。武器を持たない者が武器を持つ者と戦うには、あまりにも愚かとしか言いようがない行動である。

「迅!」

「分かっている。」

 その瞬間、雫は自分の隣に居る迅の名前を呼び、迅は一言返して構えを取った。簡単に言えば、雫は迅に対し、良いタイミングで止めに行けと命令し、迅はそれを呼びかけられただけで理解したのだ。

 しかし、次の瞬間皆の予想を超える事が起こった。天音が振った双翼鳳凰剣が、突然交差した状態で動かなくなったのだ。まるで、巨大で頑丈な鉄柱を斬りつけたかのように。

「動かない?」

 天音が疑問を覚えた時、彼は目にした。交差した鳳凰剣を止めるようにして、今まで存在していなかった銀色の大剣が地面に突き立てられているのだ。源は攻撃が始まる寸前に距離を詰めると、ボールペンと言う偽装形態状態の聖装を取り出し、鳳凰剣の交差した部分が自分に最も近寄る瞬間に、聖装を装具形態に変化させて攻撃を受け止めたのだ。

「貰った!!」

 源はこう叫ぶと、大剣を担ぎ上げるかのような態勢でつかみ、目にも止まらない速度で切り上げた。

「くっ!!」

 完全に躱しても背筋がゾクゾクする程の鋭い斬撃で有ったが、天音は実戦を重ねる事で培った感覚で攻撃の軌道を読み、攻撃を回避した。

「筋は良いが、背を向けたのは失策だったな!」

 攻撃を回避した後、源の背中に天音はこう言った。このまま彼の首筋に鳳凰剣のどちらかを宛がい、勝負を決めようと考えた。この時彩妃はこう言った。

「ちょっと、今すぐ離れて!危険よ!」

 天音は、源に対して行った言葉なのだと考えたが、実はこれは天音に対して告げた言葉だったのだ。

 源は振り上げた剣を思い切り地面に突き立てると、その勢いで今まで下がっていた上半身を勢いよく起こし、後頭部で天音の胸元に激しい打撃を見舞った。その時、彼の打撃が心臓を刺激したのか、

(な、何だ?息が止まるかと思った。)

 心臓の痛みを感じながら、天音はこう思った。





「うぉらぁぁぁ!!」

 すると突然、今まで後ろに下がっていたドラグーンが飛び出し、天音に対し背を向けている源を吹っ飛ばすと、天音を右手の剣で一閃し、彼を遠ざけた。

「あ痛!!」

 吹っ飛ばされた源は、そのままの勢いで激しく壁に激突し、眼を回しており。五本の剣で一閃されたのを何とか回避した天音はと言うと、

「な、何するんだ?!」

 と、ドラグーンに言った。それに対しドラグーンは、

「何をするか?ねぇ、その言葉、そっくりそのまま返してやる。」

 と言うと、天音にこう宣言した。

「これ以上我が主に危害を加えようと言うのなら、六枚に下ろされても文句は言えないと思え。」

 そして、片方の手甲の中の剣を全て解放し、もう片方の手甲の剣も全て解放し、合計十本の剣を構えた。

「こいつのこの気は?」

 天音は、自分に敵意を向けるドラグーンを見て、気を感じ取りながら思った。彼に迷いや恐怖は無い。あるかどうかは不明だが、もし主が死ねと言えば、死ぬようなタイプ。所謂騎士のような性質の持ち主で、自分の主である先ほどの少年に、掛け値の無い信頼を抱いていると。

 天音と同じ気を感じ取った者は他にも居たようで、

「天音、その辺にしておきなよ。」

 千歳が前に出て、天音にこう言った。

「天音の事だし、さっきの戦いであのドラゴンが彼を攻撃から守った瞬間を見て、きっと瑪瑙に殺された澪の事を思い出したんでしょう。だからこそ、彼に切りかかって行った。あのドラゴンもいずれ同じように扱われるのでは無いか、と。でも、分かったでしょう、そんな事は無いって。」

「ま、まあ……」

 千歳の言葉に、天音は言葉を詰まらせた。彼自身、精霊狩りがやって来た時の事が今でも記憶に深く残っているらしく、それが先ほどの光景で蘇り、つい斬りかかって行ってしまったと言う理由である。その後、すぐにしまったと考えるも、源が喧嘩腰となり向かってきたので、後に引けなくなってしまったと言う訳である。

「そういう訳だから、そちらも武器を引いて貰えない?私自身剣は良く分からないけど、天音と貴方の実力の違いは十分分かるつもり。このままじゃお互いが傷つく事になるし、ここは……」

「……分かったよ。」

 千歳が説得する事で、ドラグーンは解放していた剣を全て手甲の中に仕舞った。そして、

「おーい、源?どこ行った?」

 その場には居ない自分の主、源の姿を探した。しかし、彼の姿はどこにも見当たらない。

「ドラグーン!!」

 すると、背後に居る直葉がドラグーンの名前を呼んだ。

「?」

 ドラグーンが、何か有ったのか、と思って振り返ると、そこには先ほど吹っ飛ばされて壁に激突し、眼を回している源の姿があった。彼を囲むようにして皆が居り、その中を代表し、直樹が頭上で×印を作ってみせると、ドラグーンは、

「貴様!!よくも俺の主を!!」

 と、天音達に言って、再び剣を解放した。

 この時、源を除き聖獣達を含めた、その場に居るメンバーは揃ってこう言った。

「いや、お前だよ!!」





 その後、眼を回していた源が目覚めてから、その場に集結した十八人のメンバーは、それぞれ自己紹介した。

「私は神司部の部長、孫江美です。」

「私が神司部副部長の一条彩妃。」

「俺は神司部風紀係の吉岡直樹。」

「俺は神司部備品係の増田薫。」

 まずは、江美、彩妃、直樹、薫の順番で自己紹介をして行った。ここまでは良かったが、次の人物で天音達は大いに驚いた。

「それで、僕が神司部下っ端の綾小路源。」

(あれほど強くて下っ端?)

 源の自己紹介で、天音達は揃ってこう思った。下っ端であの強さなら、事実上それ以上の立場に居る前者四人は、どれほど強いのかと。

 しかし、天音達の疑問を無視しているのか、自己紹介は続いて行った。

「俺は悪縁故に彼女達に協力している、松井祐介って言うんだ。」

「私は祐介の誘いで付き合っている、三藤直葉です。」

「私は名倉小雪。」

「俺は高城博明。」

「そして、この中で唯一の清水暮らしでは無い、名取修だ。」

 源とその仲間、合計十人の自己紹介が終わったので、今度は天音達が自己紹介を行う事になった。

「俺は蓮宮天音。蓮宮神社って言う所の出身で、そこのしきたりでこう言う髪の毛をしている。」

 最初に自己紹介を行った天音は、自分の髪が長い理由も説明した。彼の場合、長い髪のせいでかなりの頻度で女性と間違われるので、今回もそうならないように事前に説明したのだ。

「私は、天音の婚約者の天堂千歳。」

 次に紹介を行った千歳は、隣に居る千歳を見てこう言った。

「そこは言わなくても良いと思うが?」

 天音は呆れ混じりに千歳にこう言ったが、千歳は、

「事実だから。」

 と言って、余り気にしなかった。

 確かに、天音と千歳が婚約者同士であると言う事は事実だが、それがこの世界で露見した所で何か問題がある訳では無いので、その事に付いては余り言及せず、自己紹介を続ける事になった。

「そんで、俺はこいつらも所属している天聖学園「冒険部」の部長の浅木恭弥。こっちに居るのが…」

「蓮宮天音ファンクラブ会長、鳴神雷花。」

「御剣迅だ。」

 恭弥、雷花、迅と三人連続で自己紹介を行うも、三番目の迅の紹介に何か思う所が有ったのか、雫は迅に声を掛けた。

「ちょっと迅、仮にも自己紹介何だから、もう少し明るく…」

「元からこんなだ。」

 雫の言葉に迅はこう返したので、ダメだこれは、と思ったのか、

「私は雨月雫。こっちに居る迅は私の執事何だけど、少し不愛想なの。だからその点は理解してあげて。」

 自己紹介もかねて、皆にこう言った。そして、

「拙者は神影流忍者の月影刹那で御座る。」

「同じく、神影流忍者の神影麗奈です。」

 最後に残った刹那、麗奈の二人も自己紹介をした。

(え? あっさり忍者である事を明かして大丈夫なの?)

 この時天音は、心の中でこう思ったが、目の前に居る少年少女たちは、忍者がどうのこうのと言う状態で何か悪い事を考えるような性質では無い事を思い出した。

(大丈夫だよ…な?)

 天音がこう思うと、源は自己紹介をした両者をジーっと見ながら、こう言った。

「これで同い年?」

 平均的な男子大学生より高い身長の麗奈と、自分たちと殆ど変らない身長の刹那。源はこの二人が同い年で有ると言う事を、一発で当てて見せた。この両者が一緒に居る時は、大概姉と弟に勘違いされる事が多いのであるが。

「当たりで御座る。」

「凄いな、皆いつも間違えるのに。」

 刹那、天音がこう言うと、麗奈は突然、源の手を掴んでこう言った。

「あの身のこなし、そしてこの観察眼、やっぱり完璧!!」

 そして、

「ねえ、忍者に興味は無い?今から始めれば、成人する頃には上忍になれるわ!」

 と、言った。

 彼女の突然の勧誘に、源は大いに驚き、彼の所属する神司部部長の江美は、勿論、

「ちょっと、うちの庶務を誘惑しないで!!」

 と言って、源を麗奈から引き離した。

「と言うか、拙者たちついこの間、長の正式な許可を貰った上で抜け忍になったばかりで御座るよ。」

 逸材を見つけたと言わんばかり眼を輝かせている麗奈を見ながら、刹那は呆れ、

「と言うか、今気にするべき事はまだあるだろう。」

 その隣で迅は、同じように呆れた口調でこう言った。

「気にするべき事?」

 皆が迅の言った事を復唱すると、源はこう言った。

「蓮宮さん達と僕ら、ばったり出くわすタイミングが早すぎるって事。」

「?」

 皆が疑問符を浮かべると、源は説明を与えた。

「言い方は悪いけど、僕らは何処の馬の骨とも知れない人の情報に従ってここまで来たわけだよ。」

「そっちもか、俺達も偶然会った少年の情報を当てにここまで来たんだ。」

 恭弥がこう言うと、今まで疑問符を浮かべていたメンバーも、どういう事かを理解出来た。

「成程、つまり俺たちがここで出くわしたのは、誰かの差し金と言う事か?」

「祐介の言う通り、実際今まで黙っていたけど、僕の聖獣達があの女の人の事、どこかで見た事あるって言っているんだよ。」

 祐介の言葉に、源がこう言うと、刹那は源の顔を見ながらこう言った。

「何と言うか、あの時見た少年に良く似てるで御座るな。」

「そうなの?」

 刹那の言葉に、源がこう返すと、

「それじゃあつまり、源の身近な誰かが何かを企んで居ると言うの?」

 と、小雪が言った。彼女の言葉に対しては、皆を代表して雫がこう言った。

「まあ、結果がどうあれ、今は私たち全員で行動した方が良さそうね。またバラバラに行動したら、どんなトラブルに見舞われる事か。幸い、現地住人に出会えたのは僥倖だった。」

 その後源達に、異論は無いわね? と訊くと、

「まあ、これからどうするかの当てはない訳だし、良いか。」

 江美のこの一言で、皆の方針は決定した。しばらくは天聖学園冒険部のメンバーと歩調を合わせ、行動する事にしようと。





 すると、江美の決定は早速功を奏する事になった。

「覚悟!!」

 突如、このような声が聞こえてくると、巨大な剣が振り下ろされた。

「危な!!」

 その場に居た十八人のメンバーが、その場から飛んで回避すると、舞い飛ぶ激しい砂煙の中から、黄金の鱗で覆われ、羊を思わせるねじれた角を持つドラゴン族聖獣「ゴールデンドラゴン」が現れた。

「な、こいつは?」

 ゴールデンドラゴンの姿を見るや否や、刹那と麗奈を除く冒険部のメンバーは驚いた。彼らは先ほど、自分たちの世界で彼と交戦しているのだから。

「やっぱりこの世界に来てやがったか!」

 皆が臨戦態勢を取る中、ゴールデンドラゴンは天音達を見て、

「誰?」

 と、訊いた。

 ゴールデンドラゴンの言葉に、皆が揃ってずっこけると、

「さっき戦ったばかりだろ!!」

 と、天音が言った。この一言で、彼の記憶も目覚めたようで、

「ああ、俺達と戦って負けた奴。」

 と、言った。

(そこかよ?)

 天音達が一様にこう思うと、ゴールデンドラゴンに訊いた。

「ところで、この場所には何をしに現れたんだ?」

 彼らの問いに、ゴールデンドラゴンはこう答えた。

「ああ、お前らには用は無いんだよ。」

「は?」

 ゴールデンドラゴンの言葉に、天音達は揃って疑問を覚えた。自分たちに用が無いなら、何故この場に来たのかと。だが、すぐに彼らの目的に大方の予想を付ける事が出来た。自分たちが居るのは、何も自分の仲間達だけでは無いと言う事に。

「つまり、狙いは俺達?」

 博明がこう言うと、ゴールデンドラゴンはこう言った。

「ああ、あの方が言うには、この世界で最も警戒すべきなのは、そこに居る十人の神司何だってさ。」

「だから、不意打ち当然に背後から大剣でねぇ。でも、今ここに居るのは十八人。ここまでの人数が相手じゃ、いくらお前でも流石に勝ち目は無いんじゃないか?」

 ゴールデンドラゴンの言葉に、若干の悔しさも覚えながら恭弥がこう言うと、

「喋りすぎだ、ゴールデンドラゴン。」

 どこからか声が響き、その場に居る冒険部、神司部のメンバーを囲い込むようにして、最初に、ドラゴンの姿であるが尾が蠍の形状となり、肩から鋏が生えたドラゴン「ムシュフシュ」それに続き、全身が銀色の鱗で覆われたライオンを思わせる姿の飛龍「ジェットワイバーン・レオ」全身を機械で強化し、両肩に水がめを装備したドラゴン「アーク・ヤンカシュ」白と黒がバランスよく配色された鱗で全身を覆った、四枚の翼を持つドラゴン「ジェミナ・ドライグ」背中に小さめ翼を持ち、頭には猛牛を思わせる大きな角が生えたドラゴン「ミノス・ドラゴニス」人に近い体型で天秤を持ち、胸元に天秤座のアストロロジカルシンボルを付けたドラゴン「マスター・カンヘル」蟹のような見た目の甲冑を全身に着込んだドラゴン「ヴォルキャドン」サメとドラゴンを合わせ、2で割ったような見た目のドラゴン「シャーク・ドラン」が、次々と現れた。

「何だアレ?ドラゴンで有る事は理解出来るけど?」

 突如現れた見た事も無い異形の竜を見て、修がこう言った時である。突如、源の聖獣から声が響いた。

「人間、私を出せ!!」

「? ヘルニア?どうしたの?」

 ヘルニアの反応に疑問を覚えた源は、偽装形態と化していた聖装を再び大剣の形に戻し、大剣の鍔に付いているスロットにカードを差し込んだ。すると、突如地中に大量の霊力が収束し、その場所から剣のような形状の針が付いた尾が飛び出すと、その下から長い黒髪と青いワンピースが特徴の美少女が現れた。源の仲間の一人である、昆虫族聖獣のヘルニアである。

 彼女は、出現すると同時にその場に居る聖獣達をジーっと見つめ、ある聖獣に眼が止まるや否や、こう言った。

「貴方、もしかしてムシュフシュじゃないか?」

「そういうお前は、ヘルニアか?」

 ヘルニアに声を掛けられたムシュフシュも、同じくヘルニアの姿を見て、こう言った。

「知っている聖獣?」

 源がこう訊くと、ヘルニアはこう答えた。

「いいえ。」

「はい?」

 ヘルニアの言葉に、皆が疑問を覚えると、ヘルニアはこう言った。

「知るか、勝手に名前が浮かんで来たんだから。」

「まあ、僕の聖装で名前は全員分分かるけど。」

 それに対し、源は自身の聖装に付いている機能である「鑑定機能」を用いて、その場に居る聖獣の名称を全て調べた。その際、天音達の連れている聖獣達も調べてみたが、管轄外である故か反応しなかった。

 一方、源や天音達の様子を見て居た九体の異形の竜はと言うと、マスター・カンヘルが皆を代表して彼らに訊いた。

「そろそろ戦うか降参するかを決めてくれないか?」

「勿論、戦うに決まってるでしょう。」

 その言葉に、雫がこう返すと、

「それより前に、一つだけ言わせてもらいます!!」

 と、ドラゴン達に言った。

「な、何だ?」

 雫の勢いに、思わず気おされたマスター・カンヘルが言い返すと、

「ちょっと待ってなさい!今から組み合わせを決めます!」

 と、雫は言った。





 雫の宣言の後、十八人のメンバーは揃って相談を開始した。その内容は勿論、

「誰が誰にあたるか。」

 と言う事である。

「戦力を分散させる場合、戦力にムラが出来ないように気を付ける物だけど、有ったばかりのメンバーも含めてそれをするのは無理ですよ。」

 彩妃がこう言うと、千歳はこう言った。

「なら組みたい人と組んで、戦いたい相手と戦うのでは?」

 しかし、千歳がこれを出すや否や、源が真っ先にそれに反対した。

「余り物の気分も考えろ。」

 源の言いたい事は、組みたい相手と組めなかった者は、泣く泣く他人と組む事になる、そんな状態で連携が取るなんて出来るのか、と言う事である。

「そうだけど……」

 皆が言葉を失うと、今まで話し合いに参加せずに、何かを作っていた小雪が、皆に言った。

「だったら、後腐れなくなるように運任せにするのは?」

 そして、神司部、冒険部と書かれた二つの箱を見せると、こう言った。

「この中に入っている紙をみんなで一枚ずつ引いて、同じ結果が書かれた紙を引いた人同士で組むと言うのは?」

「そりゃあ、確かにあとくされは無いと思うけど…」

 小雪の提案に、千歳は何か思う所があるのか、こう言った。

「でも、今はそういうのを気にしている場合で無いのも確かで御座る。」

 しかし、刹那を始めとするメンバーは一様にこう思っている為、結局籤を用いて決める事になった。





 神司部のメンバーは神司部と書かれた箱から、冒険部のメンバーは冒険部と書かれた箱から、それぞれ一枚ずつ紙を取り出し、手元に置いた状態になった。まだ開けては居ないので、結果は分からない。

「それじゃあ、結果を確認して!」

 小雪がこう言うと、皆は揃って引いた紙を開いて、結果を確認した。その際、一部のメンバーは疑問を浮かべたが、小雪は気にする事無くこう言った。

「じゃあ、一番を引いた人。」

「俺だ。」

 一番を引いたのは天音だったらしく、手を挙げてこう言った。その時、千歳は自分の紙を見て、がっかりしていた。

「残りは…」

 小雪が周りを見回すと、

「僕だよ。」

 と、源が言った。彼の持つ紙には、確かに一番と書かれていた。

「え、一番だったの?それ変わって!!」

 すると、千歳が源にこう言った。どうやら彼女は、天音と組みたかったようである。

「面倒臭いな。」

 源が千歳にこう言うと、小雪はこう言った。

「と言うか、何番だったんですか?」

「二番。」

 千歳が答えると、

「ああ、二番は俺です。」

 と、博明が言った。

「じゃあ、決定だな。」

「そんなー!!」

 他でも無い天音が決定と言った為、千歳は泣く泣く了承し、博明と組む事にした。

 その後も、次々と籤の結果が明らかになって行き、恭弥は江美と、雷花は直樹と、雫は修と、迅は小雪と、刹那は直葉と、麗奈は薫と組む事が決定した。これで無事に決定と思われたが、

「ちょっと、私は?」

 と、まだ誰と組むか決まっていない彩妃が、小雪に抗議した。

「私の籤、何も書いてないんだけど!」

「ああ、それは俺も同じだ。」

 同じく、何も書いていない籤を引いた祐介が、籤を作った小雪にこう言うと、

「ああ、二人で組んで。それは外れ。」

 と、小雪は返した。

「外れ何て入れたの?」

 彩妃は不満そうだが、自分たちは全員で十八人、相手は全員で九人、となると、十八÷九により、二人ずつで組んだ方が丁度良いので、ここは大人しく引き下がる事にした。

 そして、律儀にも大人しく待っていたドラゴン達にこう言った。

「待たせたな!!」

「待たせすぎ。」

 天音や源達の一言に、ドラゴン達を代表してムシュフシュがこう答えると、天音はゴールデンドラゴン、千歳はアーク・ヤンカシュ、恭弥はムシュフシュ、雷花はジェミナ・ドライグ、雫はジェットワイバーン・レオ、迅はミノス・ドラゴニスを見ながら言った。

「アイツは俺(私)が相手をする。」

「まあ、良いですけど。」

 彼らとコンビを組んでいる、源、博明、江美、直樹、修、小雪が揃ってこう答えた事で、まずは六組の組み合わせが決まった。残った刹那&直葉はヴォルキャドン、麗奈&薫はマスター・カンヘルに挑む事になり、残っている彩妃&祐介の組は、消去法故に必然的にシャーク・ドランと当たる事になった。

 九組の少年少女が背中合わせになり、戦う相手と向かい合うと、

「さあ、It's Show Timeだ!!」

 天音の一言を始まりに、今回の事件における源達にとって初めての、天音達にとってはリベンジの戦いが始まった。


五組目

夢野亜衣

「はい、始まりました。クロスオーバーM1グランプリ、司会は私。アーティファクト・ギアより出番は一話だけの一発屋、夢野亜衣と。」


御門京香

「聖獣王伝説より、第三話以降一度も出番が無い、存在感がこれ以上薄くならないように必死な、御門京香です。」


夢野亜衣

「今回も後書きのスペースを用いて漫才?を披露してもらいます。」


京香

「では行きましょう。今回出演するのは、シノビドラゴンです。どうぞ!」





???&???

「はい、始めまして。シノビドラゴンで(御座る)ある。」


???

「竜皇バロン・サムディと、」


???

「月影刹那でお送りするで御座るが……」


バロン・サムディ

「おいおい、御座るが……って何だよ?」


刹那

「バロン殿、実は拙者には一つ気になっている事があるで御座る。」


バロン・サムディ

「バロンって?俺の事か?どうした?」


刹那

「拙者、里の書物庫の中で学んだで御座るが、竜種の忍獣、もとい聖獣には顎の所に、逆鱗になる物が付いていると記憶しているで御座るが、バロン殿の逆鱗は何処で御座る?」


バロン・サムディ

「聞いてどうするのかは分からないけど、まあ答えてやる。所謂カルチャーショックになると思うが、覚悟は良いな?」


刹那

「これでも忍者の端くれ、不測の事態には慣れているで御座る。」


バロン・サムディ

「それは良かった、じゃあ答えるぞ。俺達ドラゴン族にはある決まりごとがあり、新しいドラゴン族の聖獣が生まれると、生まれた時点で逆鱗は……」


刹那

「もしもし、麗奈?どうしたで御座る?今度買い物?分かってで御座る。」(携帯で話している)


バロン・サムディ

「聞けやコラ!!」


刹那

「バロン殿、何を怒っているで御座る?」


バロン・サムディ

「何だその態度、自分から聞きたいと言って、いざ話し出したら即他に鞍替えか?!」


刹那

「何の話で御座る?」


バロン・サムディ

「俺の逆鱗の話だよ!」


刹那

「まさか、知らない内に逆鱗に触れてしまった。」


バロン・サムディ

「ねえよ!俺に逆鱗は。幼い頃に除去したんだから………」


刹那

「フムフム、帰りにお徳用の油を買って来てくれ…了解したで御座る。送信っと。」(携帯メールを送る)


バロン・サムディ

「だから訊けやこらぁ!!」


バシッ(殴った音)


刹那

「ぶ、ぶったね!」


バロン・サムディ

「あぁ?この時代にアム○のパクリか?」


刹那

「(全然伏せられてないで御座る)僕をぶったね、神影十蔵にしかぶたれた事無かったのに!!」


バロン・サムディ

「何じゃそりゃ!?そこは、○○にもぶたれた事無いのに!!だろ。」


刹那

「ああ、そうで御座った!!」


バロン・サムディ

「何だこいつ、すげぇムカつく。」


刹那

「すまなかったで御座る。今度こそちゃんと聞くで御座るよ。」


バロン・サムディ

「ああ、そうかよ。だったら、一度しか言わないぞ。あぁ、我々ドラゴン族の聖獣は、一定のレベルまで成長すると皆一様に逆鱗を失います。それは何故か。私より何世代か前の竜皇の取り決めにより、誕生したドラゴン族の聖獣はその時点で逆鱗を除去するように………」


刹那

「あ、アリスティーナどのからおやつの買い出し頼まれていたのでござった。まだ売ってるで御座るか、電話で確認を!!」


バロン・サムディ

「聞けやコラ!!」


刹那

「ヘブゥ!!」(殴られた)


バロン・サムディ

「言った傍から前言撤回か?!しまいにゃ怒るぞ!!」


刹那

「(もう怒ってるで御座る)ぶったね。」


バロン・サムディ

「またか。そのネタはもう受けないぞ。」


刹那

「二度もぶった!パブロ・ディエーゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピーン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダードにもぶたれた事無いのに!!」


バロン・サムディ

「良く言えるなその名前!!と言うか、その人お前を殴れないぞ!!」


刹那

「さて問題で御座る。この中で拙者の親の名前はどれでしょう?」


バロン・サムディ

「知るか!と言うか、お前の一族は何なんだよ!?」


刹那

「棟梁。」


バロン・サムディ

「棟梁?ああ、大工の事か。父親の名前は?」


刹那

「ベートー・ヴェン。」


バロン・サムディ

「第九か?!」


バシィ!!(ツッコみに力が入りすぎ、思わずぶってしまった音)


刹那

「ぶったね!」


バロン・サムディ

「まだやるのか?」


刹那

「三度もぶった!弘法大師にもぶたれた事無いのに!!」


バロン・サムディ

「本当にお前何なの!?」


刹那

「ガ○ダム。」


バロン・サムディ

「(00ネタか)じゃああれか、世界中の戦闘に武力解放するのか?」


刹那

「刹那、目標を駆逐する!!」


バロン・サムディ

「おぉ、ガン○ムごっこか?」


刹那

「この剣で、世界の歪みを断ち、未来を切り開くで御座る!!」


バロン・サムディ

「まずは火力で圧倒しよう。」(赤いMSのコスプレをする。その後、ブレスを吐き出す)


刹那

「ぎゃぁぁぁ!!!」


バロン・サムディ

「弱ぇぇぇぇぇ!!!ガンダ○めっちゃ弱ぇぇぇぇぇ!!!」


刹那

「ああ、拙者のNS(ニンジャスーツ)が台無し。」


バロン・サムディ

「MSならぬNSか?!磁石か?!」


刹那

「それで、何の話で御座ったか?」


バロン・サムディ

「俺の逆鱗の話だよ!いい加減にしろ!!」


刹那

「どうも、ありがとうございます。」


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