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聖獣王伝説  作者: 超人カットマン
聖獣王伝説×アーティファクト・ギア クロスオーバー第一弾 未来襲来編
27/55

第一話 出現、異界の竜

聖獣王伝説×アーティファクト・ギア、クロスオーバー小説第一弾です。

 一話目はアーティファクト・ギアの世界を中心にした話ですが、世界観に少しだけ独自の解釈が有ります。

 時間軸は、刹那と麗奈に出会った直後です。

 とある夏の日の事である。イギリスで大きな事件が発生した。国に長く仕えていた大臣の一人がクーデターを巻き起こしたのだ。クーデターを巻き起こした犯人である「ディルスト・ヘレンズ」は、あらゆるドラゴンを操る力を秘めた「竜操の魔道書」を用いて数えきれない数の竜をイギリスに呼び出し、破壊の限りを尽くした。彼自身はこのクーデターでイギリスの支配権を獲得した後に、他の国も同様に侵略、且つ征服して世界の支配者になろうとした。しかしこの目論見は、この国を守ろうとした戦士たちと、その聖獣たちの手によって阻まれ、ディルストは消えるように命を落とした。

 これ以上をここで書くとネタバレになってしまうので、この事件についての詳しい所は、天道先生の所で連載されている小説「アーティファクト・ギア」を参照していただきたい。

 その後、とある奇跡によって町を復興させ、突然の大事件で混乱しているマスコミや国民を鎮めた後、事件に深く関わったメンバーが揃い、パーティを開いていた。クーデターが起こった当日は、この国の王女である「アルティナ・D・セイバー」の誕生日であり、その日の誕生日会はクーデターによって中止になったので、集まれるメンバーだけで祝勝会もかねて改めて開こうと言う、ある人物の進言により集まった。

「それじゃあ、改めて王女様の誕生日祝いと、クーデターが無事鎮圧出来た事を祝して、乾杯!!」

 このパーティをやる事を提案した張本人であり、幹事でもある少女「天堂千歳」が、飲み物の入ったグラス(ノンアルコール、お酒何て無いよ)を掲げてこう言うと、参加者は全員グラスを掲げて、

「乾杯!!」

 と言う事で、パーティは始まった。テーブルの上には様々な料理が皿の上に山盛りになって盛られており、間に合わせであるが優雅な音楽も掛かっているので、雰囲気もばっちりである。

 皆が料理に舌鼓をうったり、グラスを片手に世間話や思い出話に興じる中、参加者の一人である「浅木恭弥」は、料理を口に運ぶもどこかボーっとしていた。

「? 恭弥、どうしたの?調子でも悪いの?」

 彼の隣に座っている、彼の祖母であると同時に「世界樹」を司る木の精霊である「浅木若菜」は、彼に訊いた。

 恭弥は祖母の問いに、そういう訳では無い、と答えると、

「クーデターが起こるって事で、事前にこの場所に居た天音や千歳達は勿論、日本に居た雫先輩とそのお母さんに迅先輩に雷花、エジプトに居た俺と俺の祖父さんもこうして揃った訳だけど。どうせなら“アイツら”も呼んだ方が良かったんじゃないか、って今になって思ってな。」

 と、言った。

「アイツら?」

 恭弥の言葉に、今回の事件解決の立役者の一人である少年「ヴァークベル・ペンドラゴン」が訊くと、違う席に座っている長い髪と女性風の顔立ちが特徴の少年「蓮宮天音」は、こう言った。

「綾小路源達の事?」

「そうそう。」

 天音の言葉を、恭弥が肯定すると、

「それって?誰の事だ?」

 と、誕生会としても、祝勝会としても、今回のパーティの主賓と言っても過言では無い人物「セシリア・ペンドラゴン」が訊いた。彼女は女性ながら荒い口調が特徴だが、気にしないで欲しい。

「こことは違う世界に居る、聖獣と共に生きる子供たちの事。皆小学生だけど、とても強いのよ。」

 セシリアの問いに、幹事である千歳がこう説明すると、

「しょ、小学生!?」

 今回のパーティに参加しているメンバーの中で、まだ15歳になって無いヴァークベルと、彼と同じ出身の騎士である少年「レイズ・ペンドラゴン」と、彼らと同じ出身である騎士の少女「キュアリー・ペンドラゴン」は、一様に驚いた。

 彼らの世界では、聖獣と直接的に関わる事が許される事は、満15歳にならないと許されないと、世界全ての法律で決まっている為、小学生で聖獣と直接かかわりを持つ事はまずありえないからである。

「と言うか、何で天音達が異世界の事を知っているの?」

 すると、天音達が今回の事件に関わる切欠を作ったと言っても過言では無い人物。天音の従姉である女性「蓮宮花音」が、彼らに訊いた。

 彼女の問いに、天音はこう答えた。

「姉さん達が世界を旅していた時に、とある事件があって、その縁でね。」

「取りあえず、あっちの世界に迫った危機は防いだとはいえ、何とも言えない気になったで御座る。」

 天音の言葉に、彼に仕える忍者である「月影刹那」がこう言うと、セシリアは自分の座っている席から身を乗り出し、天音に言った。

「是非、その時の話を聞かせてくれ!」

「え?でも…。」

 しかし、天音はこう言って口ごもった。彼らが事件に関わった折、向かった世界の偉い存在に、こう言われたのである。

「言っておくが、こことお前達の世界は本来、絶対に越える事の出来ない境界で阻まれている筈なんだ。原因は分からないが、今その境界線が曖昧になりつつあるんだ。取り返しの無い事態を防ぐためにも、今回の事は他言無用でお願い。」

 これを言いつけた人物が言うには、曖昧になっている境界が消えた時、自分たちの世界は勿論の事、天音達の世界もその世界に隣り合う「聖獣界」も含め、それぞれの世界が隣り合う世界がまるでドミノ倒しのような勢いで、次々と消滅するかもしれない、と言う。

 この事を気にしていると、今回集まる事となった「天聖学園、冒険部」の顧問である「アリスティーナ・D・クレイプスコロ」は、天音にこう言った。

「天音、あの時の言葉を気にしているようだけど、大丈夫よ。ここに集まった人間皆、その話を聞いたからと言って何かをするような人たちでは無いでしょう。ただ一人を除けば…」

 アリスティーナが最後の言葉を濁らすと、その場に居るメンバーの目線は、一人の人物に集まった。恭弥の祖父であり若菜の夫であり、世界でも最高レベルの冒険家と謳われる老人「浅木恭介」である。

「な、何で儂を見る。確かに異世界と言うのは是非行ってみたいが、行って問題のある場所なら儂も思いとどまるわ。」

 恭介がこう言って、異世界への冒険に行ってしまうかもしれない、と言う皆の予想を否定すると、花音と一緒に世界を周って悪人を懲らしめる仕事をしている、天音の頼れる従兄「蓮宮璃音」は、こう言った。

「まあ心配するな。もしもそれに関わる悪い事をする奴が居たなら、俺達で懲らしめるからよ。」

「まあ、それもそうだし…。」

 他のメンバーの言葉を聞き、少し考えた天音はグラスに入った飲み物を一息に飲み干すと、一回咳払いをした。

 話が始まろうとしていると判断すると、アリスティーナはこう言った。

「彼が覚えていなかったり、知らない部分は私が付け足し、訂正するわ。」

 そして、事件に関わった面子は、その時の回想を始めた。

「あれは、天聖学園の夏休みが始まる直前の事だった。」





 彼らにとっての事の始まりは、天聖学園の夏休みが始まる前日に遡る。その年は異例の召喚が行われたり、悪人が学校に攻めてきたり、忍者と出会ったりと何でもありの一学期が繰り広げられたが、それも今日の終業式の終了と共に、終わりを告げようとしていた。

「しかし、色々あった一学期だったけど、終わりはあっさりしていたよな。」

 先ほど行われた終業式を思い出しながら、浅木恭弥は一緒に居る蓮宮天音、天堂千歳に言った。この学校の終業式は、学園長の話や夏休み中の注意事項等、通常の学校で行われる物と殆ど変らず、終業式の進行には全ての学校組織の中で決められたテンプレートがあるのか、と思ってしまったほどである。

「まあ、便りが無いのが元気な証って言うくらいだよ。何も無いなら何も無いなりに良いじゃない。」

 千歳は恭弥にこう言うと、一緒に居る二人に訊いた。

「二人は夏休みの間はどうするの?」

 この問いに、まずは恭弥が答えた。

「そうだな…、特には決まってないけど、なんかじーちゃんがどこかに連れて行ってくれるって、言っていた気がする。」

「じーちゃんって言うと、冒険家の浅木恭介の事?」

「そうそう。」

 千歳が恭弥に訊き、その事を恭弥が肯定すると、

「まあ、じーちゃんはいつも世界中を飛び回っているから滅多に会えないし、それに時々連絡が取れたとしても、何度訊いても答えをはぐらかされるだけだし。」

 恭弥はこう言って自分の話を締め、天音に話を振った。

「それで、天音は夏休みの間はどうするんだ?」

 彼の問いに、天音は少し考え込むと、

「そうだな、“あの二人”の処遇の事もあるし、実家に帰るくらいかな。」

 と言った。因みにあの二人とは、少し前に起こった小さな事件をきっかけに出会った「神影流」の忍者(今となっては抜け忍)の「月影刹那」「神影麗奈」の事である。どうしてこの両者の話が出たかは、天道先生の「アーティファクト・ギア」を参照して頂きたい。(ネタバレとなる故に)

 天音は自分の話を一旦締めると、千歳に話をまわした。

「そういう千歳は、夏休みに何をするかは決まっているのか?」

 彼の問いに、千歳は少しも考える間も無く答えた。

「それは勿論!!私は天音と一緒にあんな事やこんな事を、そして……」

 ここまで言った彼女は、自身が天音と一緒に居る所を想像した。場所は輝くネオンが雰囲気を醸し出す景色が魅力的な、大都会の高層ビルの最上階のレストラン。彼女の目の前には、タキシード姿の天音が居る。

「綺麗な景色だね、天音。」

 千歳が想像の中でこう言うと、想像の中の天音は、色々と美化された表情でこう言った。

「ああ、だけど、君はもっと綺麗だよ。」

「天音………」

「君の美しさに乾杯!」

 ここで、千歳の妄想は終了した。

「なんちゃって、なんちゃって!!」

 千歳は真っ赤になっている顔を抑え、身もだえしながらこう言った。

「お前ら、本当に馬鹿っプルだな。普段からこんななのか?」

「勘違いされる前に言っておくが、断じて違う。」

 千歳の様子を見ながら、恭弥、天音の両者がこう言うと、

「天音さん、千歳さん、恭弥さん!!」

 遠くから声が響いて、三人より上の学年の生徒であり、天聖学園の生徒会長でもある女生徒「雨月雫」と、雫と同じ学年であり生徒会副会長兼雫専属執事の男子生徒「御剣迅」、天音達と同じ学年で、ある出来事の折に結成された「天音ファンクラブ」の会長を行う女生徒「鳴神雷花」が現れた。今現れた三人と、元々居た天音達三人の計6人で、この学校の「冒険部」が結成されているので、そのメンバーが一同に会した事になる。

「雫先輩に迅先輩、生徒会の仕事はもう良いんですか?」

 雫と迅に、恭弥はこう訊いた。今日は夏休み前と言う事で終業式が行われ、学校行事を取り仕切る生徒会は朝から大忙しだった事を記憶しているからである。

「心配しなくても、全て片づけてここに来た。他の生徒会員は優秀だからな、思ったより早く終わっただけだ。」

「それで、ついさっき雷花さんとも出会ったから、こうして三人でここに来たんです。」

 恭弥の問いに、迅、雫の順番で解説をすると、雫は三人に訊いた。

「私たちは一旦寮に荷物を置いてから部室に向かおうと思っているのですが、皆さんは?」

 ここで言う冒険部の部室と言うのは、図書館城と呼ばれる施設の奥の奥にある「アリスティーナ・D・クレイプスコロ」の部屋の事である。

「ああ、俺達もそうしようと考えていました。」

 雫の問いに、恭弥では無く天音が答えた瞬間である。突然、学校の裏の方から、激しい音が鳴り響いた。

「何か有ったのでしょうか?」

 雫がこう言うと、天音はすぐさまこう言った。

「行ってみましょう!もしかしたら、精霊狩りの残党か何かが来たのかも?!」

「そうですね。生徒会としても、校内での騒ぎはきちんと把握して置きませんとね。」

 天音の言葉に、雫がこう返すと、冒険部のメンバーは揃って現場へと向かって行った。





 ここで話は、まだ天音が千歳、恭弥と一緒に雑談していた時間に遡る。現場である学校の裏では、だらしなく制服を着こなし、一目見ただけで話しかけるのも憚られるような、いかにも「不良」「ヤンキー」と言った見た目の生徒が何人か集まって、話し込んでいた。彼らは学校内でも札付きの不良であり、校内に居る時はいつも、少しでも気に入らないと思った男子生徒に一方的に喧嘩を仕掛けて、一方的な暴力をふるったり、女生徒に乱暴をしたりと、問題行為を連発している。本来なら何か厳しい処分を下す所だが、彼らの親が日本の要人であるが故、手を拱いているのが現状で、生徒会も教員も等しく頭を痛めている。

 今日は、終業式をサボってずっとこの場所に居るのである。

「ったく、終業式とか時間の無駄だろ。注意を言ったって守る奴なんて居ないんだし。」

 不良の一人がこう言うと、他の不良が訊いた。

「でもよぉ、夏休みは何をするんだ?」

 誰もが楽しみにする一年の行事の一つ、それが夏休みである。それは彼らも一緒のようで、不良の一人が言った。

「やっぱりナンパだろ。」

「いや、喧嘩で隣町を襲撃するのはどうだ?」

 違う不良がこう言うと、他の不良が言った。

「その隣町の勢力、この間ヤクザに喧嘩売ってリンチにされたって。」

 この言葉に、彼らは黙り込むと、最初にナンパを話に出した不良がこう言った。

「じゃあ、今年はナンパに徹する事にして、何人口説いて何人とやれるか勝負しないか?」

 彼の言う「やる」が何を意味しているか、それは自主規制でお願いします。

「ああいいな、面白そうだ。」

 他の不良も、彼の提案に賛成した時である。誰も通らない筈の学校裏を誰かが通り、その誰かが持っている何かが、不良の一人の頭に激突した。

「痛ぇ!!」

 激突された不良が、思わず叫び声を上げると、他の不良は一様に通りがかった人物を見た。ブロンドの髪を短く揃え、背中に大きな物を背負った男で、黒いマントのような物を身に着けている。

「おい兄さん!一言言うべき事があるんじゃ無いか?」

 不良の一人が彼にこう言うと、

「悪かった。」

 彼はこう言った後、こう付け足した。

「でもな、喧嘩を売る相手は考えた方が良いぞ。」

 彼のこの一言で、不良たちは一様に頭に血が上り、バットやメイス、くぎ抜きと言った凶器を構えると、こう叫んだ。

「契約執行!!」

 その結果、彼らの傍に獣と人を組み合わせたような醜い見た目の生き物が現れ、バットやメイス、くぎ抜きの中に入って、それらの姿を凶器の名に相応しい凶悪な姿に変えた。

 現れたのは「オーク」と呼ばれる獣で、本能に従い何もかもを破壊し、人間の女性を襲っては犯す事を日常茶飯事にしている、文字通り「害獣」の呼び名が相応しい生き物である。

「どうやら、痛い目を見たいようだな。」

 不良の一人がこう言うと、男は一回ため息を付いて言った。

「忠告はしてやったぞ。」

「馬鹿にしやがって!ぶち殺してやれ!!」

 男の言葉に不良たちは激昂すると、凶器を構えて飛びかかった。

「仕方ねえ。」

 男はこう言うと、身に着けているマントを脱ぎ捨て、自身の本来の姿を現した。

 その後、その場所からはまるで拷問か、それに類する何かが行われているような、悲痛な叫び声が響き渡った。





 その後、衝撃を感じた冒険部のメンバーがその場に現れると、そこには凄惨な光景が広がっていた。学校でも札付きの不良たちが、重傷を負った状態で横たわっており、契約媒体となった凶器は粉々に破壊され、契約していたオークは皆、契約者同様に重傷を負っていた。

「な、何これ?」

 様子を見た千歳が思わずこう言うと、騒ぎの中心に居るのだろう、ある人物はこう言った。

「袖振り合ったが他傷の縁、俺に喧嘩を売った自分の愚かさを呪いな。」

 そこに居たのは、左手に黒いマント、右手に大剣を持った、黄金の鱗で覆われたドラゴンである。凶悪な見た目であるがどこか知的な印象を持たせ、頭に生えた渦巻く角は羊を連想させた。

「か、勝手な…事を…」

 まだ辛うじて意識を保っていた不良は、残った体力でこう言ったが、体力を使い果たして倒れた。

 その様子を見て、ドラゴンはその場を立ち去ろうとしたので、雫は彼を呼び止めると、

「ちょっと、これは貴方がやったの?」

「だとしたら?」

 彼女の問いに、ドラゴンがこう答えると、雫は念のためにどこからか槍を取り出し、こう言った。

「詳しい話を聞きたいから、一緒に来てもらえますか?後、貴方と契約している人を教えて下さい。」

 彼女自身、誰かと契約しているも、何等かの理由で別行動を取っている聖獣だと考えたのだが、彼はこう答えた。

「俺に契約者は居ない。」

「は?」

 この言葉に、六人は一様に疑問に思うと、ドラゴンは更に続けた。

「それに、俺には探し物があるんで、これで失礼しても?」

 彼はその場の6人にこう言うと、その場から飛んで行こうと、背中の翼を大きく広げた。

「そういう訳には行かないの!!」

 それに対し、雫はこう言って槍を構えると、やり投げの要領でドラゴンに投げつけた。

「おいおい。」

 ドラゴンがこう言って、飛んできた槍を見た瞬間である。どこからか、ドラゴンが持っているのと同じ、黒いマントを身に着けた誰かがやって来て、槍を弾き飛ばした。

「ゴールデンドラゴン、何をしている?!」

 黒いマントが外れると、そこから全身を深い青色の鱗で覆った、四足歩行のドラゴンが姿を現した。ドラゴンと言っても、背中には翼と一緒に鋏のような物が有り、尾に至っては蠍のような形状をしている。

「お前、ムシュフシュか?」

 ゴールデンドラゴンと呼ばれたドラゴンは、現れたドラゴンを見てこう言うと、ムシュフシュと呼ばれたドラゴンは言った。

「まったく、あの方と合流するまで、姿を人間に見せかける偽装の黒衣を脱ぐなと言われただろう。挙句の果てには騒ぎまで起こしやがって。」

 この言葉に、ゴールデンドラゴンは、

「仕方無いだろ。喧嘩買ったら人が来たんだから。と言うか、お前も黒衣ぬいでんじゃn。」

 と言ったが、

「何か言った?」

「あ、いえ、何も…」

 ムシュフシュの迫力に気おされて、黙ってしまった。その様子を見て、ムシュフシュは言った。

「とにかく、この場を離れるぞ。それを着るのも忘れるなよ。」

「わーってるよ。」

 先行するムシュフシュに、ゴールデンドラゴンが付いて行こうとすると、

「ちょっと待てよ!!」

 天音が彼らに声を掛けた。

「何だ?生憎、我らは貴方方に用は無いのですが?」

 ムシュフシュがこう答えると、彼に変わって迅がこう言った。

「ゴールデンドラゴンだったか?そいつはここで暴力事件を起こしている。この学校の中で起こった事である以上、生徒会として無視するわけには行かない。」

「つまり我らを捕縛すると?もし嫌だと言ったら?」

 迅の言葉に、ムシュフシュがこう返すと、今度は雫が言った。

「力づくで拘束します。挙句の果てには精霊界に強制送還しますけど、自己責任ですからね!!」

 そして、左手で槍を構えると、空いた右手でオカリナを吹いて見せた。その結果、辺りにオカリナの綺麗な音色が響き渡った。

「音楽?」

 ゴールデンドラゴンが、オカリナの音色を聞きながらこう言うと、ムシュフシュは、

「この音階の組み合わせ、つまりは?」

 と、言った。すると、上空に魔法陣が出現し、その中から頭に大きな角を持った白馬、所謂「ユニコーン」が現れた。雫の契約している聖獣、ユニコーンの「ソフィー」である。

「契約執行!!」

 ソフィーの出現と同時に、雫は槍を持ってこう叫んだ。その結果、槍はユニコーンを模した鋭い形状に変化した。この世界における聖獣と人間を結びつける道具「アーティファクト・ギア」であり、これの名称は「ユニコーン・ザ・グングニル」と言う。

「神槍一閃、ユニコーン・シェイバー!!」

 雫は自身のAG(アーティファクト・ギア)を構えると、掴んでいる右手を振り下ろすと同時に投げつけた。ただの投擲作業であるが、槍はAGである事とソフィーの加護がある故に、ユニコーンの幻影を纏い、高速回転しながら二体のドラゴンに迫った。

「おいおい、どうする?」

 ゴールデンドラゴンは危機感を持っているようだが、落ち着き払ってムシュフシュに訊いた。対してムシュフシュは、

「どうするも、お前の翼で防げないか?」

 同じように落ち着き払って、ゴールデンドラゴンに訊き返した。

「どうだろうな?ずいぶん速いし鋭いし、防ぐ以前の問題かも。」

 そしてゴールデンドラゴンがこう返す、そのやり取りを見ながら、その場に居る人間たちは一様に思った。

「アイツら、学園最強と言われる神槍が迫っているのに、あんなに余裕こいてやがる。」

 恭弥がこう言うと、雷花はこう言った。

「あの余裕、ただ開き直っているだけなのか、それとも逆転の秘策があるのか?」

「え?」

 千歳がこう言った瞬間である。突然、二体のドラゴンに向けて高速飛翔していた筈の槍が、彼らの目の前から消え去った。

「消え…た…?」

 見ていた面子、中でも槍を投げた雫が、信じられないと言う表情を浮かべると、

「おいおい、これくらい防ぐ以前に、キャッチ出来るだろ。」

 先ほどまで飛翔していた槍を加えながら、違う聖獣が姿を現した。全身が銀色に輝き、飛龍(ワイバーン)の一種なのか、背中に巨大な翼が生えている。見た目事態はドラゴンであるが、顔立ちや前足の形状、頭に生えた鬣等、どこかライオンを彷彿させる姿をしている。

 彼は高速飛翔してこの場に現れると、飛んでくる槍を口で加えて勢いを止め、ゴールデンドラゴンとムシュフシュに命中するのを防いだのだ。

「いやいや、レオの飛翔速度故の芸当だろ。それは、」

 突如現れた別のドラゴンの言葉に、ゴールデンドラゴンがこう言うと、レオと呼ばれたドラゴンは、

「はい、返す。」

 まるで授業中に消しゴムを借りた後のようなノリで、口に咥えた槍を放り投げ、雫に返した。

 一方の雫が、投げられた槍を受け取ると、今度は三体の竜の背後から、違う竜が現れた。今度の竜は半身を機械化して強化しており、右手にはランチャーを装備しており、両肩には大きな水瓶が乗っている。

「お前さん達、一体ここで何をやっている?ゲートの場所がどこか分かったのか?」

 現れたドラゴンが、その場に居るドラゴン三体に訊くと、彼はライオンを思わせる姿のドラゴンを見て、こう訊いた。

「それにジェットワイバーン・レオ、お前さんは西の方に行ったんじゃ無いのか?」

 彼の問いに、ジェットワイバーン・レオと呼ばれたドラゴンは、こう答えた。

「早々に切り上げて来たんだよ。おかげでこいつらも助かったんだ。良かったじゃねえか。」

「そういう問題では無いです!!」

 すると、再び違うドラゴンが現れた。白と黒をバランス良く配合した鱗で覆われた全身と、背中に生えた四枚の翼が特徴のドラゴンである。

 彼は、その場に居る四体の竜に対し、こう言った。

「と言うか、何で四体も揃いに揃って、人間の6人から逃げられないんですか?」

「仕方無いだろ!こいつらしつこいんだから。」

 現れたドラゴンに対し、代表してゴールデンドラゴンがこう答えると、

「お話中失礼♡」

 誰かが五体に対し、こう言った。

「?」

 五体の竜は一様に顔を見合わせた。一体誰の声だ?、と。しかし、今響いた高い声を出せる者は、この中に居ない。

「と言うか、頭上のバチバチって何だ?」

 すると、ムシュフシュが頭上見ながらこう言い、やがて絶句した。彼らの頭上には、大量のダイナマイトが浮いており、今にも爆発しようとしている。

「まさか…?」

 皆が頭上を見て、一様にこう言うと、

「Blast!!」

 先ほどの声でこう響き、ダイナマイトは同時に大爆発した。





 一方、爆弾を五体の竜に投げつけた張本人である天堂千歳はと言うと、

「私たちを無視するな!!」

 と、爆発の中に言った。

「千歳、いくら何でもやりすぎ。」

 危険物を持ち出す千歳に対し、隣の天音がこう言うと、

「おい、俺の時は何も言わないのに?!」

 恭弥は、何かあるとすぐに爆破されている思い出を思い出したのか、天音にこう言った。彼のこの一言には、天音では無く千歳が答えた。

「だって恭弥、何だかんだで無事じゃない。」

「無事でも痛いものは痛いんだよ。」

 千歳の言葉に、恭弥が食ってかかると、

「三人とも、まだ相手の状態を確認してないんですよ。気を抜かないで下さい。」

 槍を構える雫は、三人にこう言った。

 そんな彼女に、千歳はこう言った。

「でも雫先輩、このダイナマイトには火薬を特盛入れておいたんです。いくら何でも、立っていられるはずが…」

「あれでもか?」

 千歳の言葉に、迅は爆風の中を指差しながら、こう言った。彼の指の先の爆風が晴れると、そこには、

「しかしまあ、アーク・ヤンカシュが居てくれて良かったな。」

 倒れるどころか、体に傷一つ無い状態のドラゴンが居た。彼らの中央に居る、半身機械のドラゴン「アーク・ヤンカシュ」が、右手のランチャーを上空に向けて放水し、水のカーテンを作って爆風から皆を守ったのだ。

「いきなり爆弾なんて無しだろ。危ない御嬢さんだな。」

 そのアーク・ヤンカシュがこう言うと、白と黒のドラゴンが、皆に言った。

「一難去ってまた一難、今度はここをどうやって抜こうか?」

 彼の言う「抜く」とは、どうやって天音達六人から逃げ出そうか、と言う事である。彼らが知らない間に、前方を雫と迅と雷花、後方を天音と千歳と恭弥が塞いでしまい、逃げ道は無くなってしまった。

「進退ここに極まるって事か?」

「呑気で良いですね。こちらは切羽詰まっていると言うのに。」

「そういうお前も十分余裕そうだけどな。」

 ジェットワイバーン・レオ、ムシュフシュ、ゴールデンドラゴンがそれぞれこう言うと、

「ならば、押し通るまでだ!」

 と、天音達の背後から声が響き、脚で地面を擦るような音が聞こえてきた。

「?! 危ない!!」

 天音は長年の訓練で培った直感、恭弥は冒険をする中で重要な危険予知能力で危険を察知すると、それぞれ右と左に飛んだ。その際、天音は千歳を抱えるのを忘れない。

 その瞬間、ドスドスと何かが彼らの横を通り過ぎ、五体のドラゴン達の傍を通り過ぎると、道を塞ぐ雫、迅、雷花の元へ向かって行った。

「危ない!!」

 天音が叫ぶと、雫と雷花の二人の前に迅が立ちふさがった。彼は盾を構えて、

「契約執行!!」

 と、叫んだ。その結果、先ほど雫がソフィーを呼ぶのに使用した魔法陣の中より、背中に巨大な翼を持つ白馬、迅の契約聖獣である「ペガサス」のクラウドが現れ、現れるや否や光となって盾の中に吸い込まれていった。これにより盾には天馬の紋章が描かれ、羽で作られた装飾を持つ盾となった。迅のアーティファクト・ギアである「イージス・オブ・ペガサス」である。

 迅が盾を構えて踏ん張ると、盾に頑丈な何かが激突する音が響き渡った。その際、物凄い勢いで激突したためか、盾を中心に激しい衝撃波が迸った。

「な、何て衝撃だ?!」

 迅以外が全員、衝撃に耐えながらこう言うと、五体のドラゴンは揃ってこう言った。

「信じられない、アイツが人間如きに止められた?」

 彼らの声が響くや否や、盾の前に赤い鱗で覆われた全身と、必要最低限の小さな翼を持つ四足歩行のドラゴンが現れた。頭には巨大な角が生えており、その姿はどこか猛牛を彷彿させた。彼が突進し、迅の盾に激突したのである。

 現れたドラゴンはジャンプで距離を取り、他のドラゴンの傍に降り立った。すると、白黒のドラゴンは、彼にこう言った。

「ミノス・ドラゴニス、そろそろ引退時じゃないんですか?」

「うるさい、ジェミナ・ドライグ。」

 ミノス・ドラゴニスと呼ばれたドラゴンは、ジェミナ・ドライグと呼んだドラゴンにこう言うと、

「それで、どうするんだ?状況は変わらないぞ。」

 と、告げた。しかし、ジェミナ・ドライグは、

「いいえ、勝機は出来ました。一体に付き一人、奴らを踏みつぶして行けばここを脱出できる。」

 と、皆に言った。

「まあ、それが一番手っ取り早いわな。」

 ジェットワイバーン・レオがこう言うと、

「そりゃいい、さっきの奴らより骨は有りそうだ。」

 ゴールデンドラゴンはこう言って、嬉々としながら大剣を取り出した。

「と言うか、元々はお前のせいだろ。」

 そんな彼に対し、ムシュフシュはこう言ったが、彼もまた同じように考えているようで、臨戦態勢を取っている。

 一方、天音、千歳、恭弥、雷花の四人も、臨戦態勢となるため、特殊な術を用いて彼らの目に紛れ、けが人を逃がしていた自分たちの聖獣を呼びだした。

「行くぞ、白蓮!」

「はい、ちちうえ。」

 天音の傍には、雛の姿であるが無限の可能性を秘めた「鳳凰」の白蓮が、

「よろしくね、銀羅。」

「任せろ。」

 千歳の元には、九尾の狐の銀羅が、

「やるぞ、悟空。」

「よっしゃあ!」

 恭弥の元には、西遊記で一躍有名となった仙人としての一面もある妖猿「孫悟空」が、

「行くよ、トール。」

「ガハハハ、ドラゴンと戦えるとは、面白い事になっているのお!」

 雷花の元には、北欧神話で雷の神と謳われる戦士「トール」が現れた。

 皆の臨戦態勢が整ったと判断した雫は、改めてドラゴン達に言った。

「もう一度言わせて頂きます。直ちに降伏なさい。さもなくば、容赦なく攻撃しますよ!」

 総合戦力で見れば、6対12と言う、彼女たちが絶対的に有利な状態である。しかし、ドラゴン達はむしろ、その状態を喜んでいるようで、

「それくらいやって貰わないと、むしろ困るな!」

 こう宣言し、それぞれ狙いを定めたのか、対戦相手と決めた者と向き合った。ゴールデンドラゴンは天音に、ムシュフシュは恭弥に、ジェットワイバーン・レオは雫に、アーク・ヤンカシュは千歳に、ジェミナ・ドライグは雷花に、ミノス・ドラゴニスは迅に、それぞれ向かって行こうとしている。

「契約執行!!」

 ドラゴン達と向かう中、天音、千歳、恭弥、雷花は同時にこう叫ぶと、聖獣との契約を執行し、臨戦態勢を整えた。

 千歳の特殊なリボルバー銃「レイジング」と契約している銀羅は、銃の中に吸い込まれると同時に、九つの弾倉を持つ銃型アーティファクト・ギア「清嵐九尾」となり、恭弥の持つ金剛棒と契約する孫悟空は、金剛棒の中に吸い込まれて自身の武器である「如意棒」に似た形状の武器「如意金箍棒」に変化させ、雷花のピコピコハンマーと契約しているトールは、ハンマーの中に入り込み、雷を操る能力のある槌「ライトニング・トールハンマー」となった。

 最後に残った天音の契約聖獣、白蓮は特殊な能力を持っており、元々の契約媒体である刀「蓮煌」に入り込むや否や、天音自身の姿も変化させた。踊り子のような派手な衣装をまとい、白蓮との契約の影響で大剣と化した蓮煌こと「鳳凰剣零式」を扱うための「鳳凰剛柔甲」が手に装備された。これが、天音ファンクラブ結成の切欠ともなった、彼のアーティファクト・ギア一式である。更にはかつての戦いで、氷を司る剣「鳳凰剣百式」も加わり、よりオールレンジな戦闘が行えるようになっている。

 皆の準備が整ったと判断すると、天音は戦闘開始の掛け声を叫んだ。

「さあ、It's Show Timeだ!!」

 これを合図に、6人は同時にドラゴン達へ向かって行った。

 一方のドラゴン達も、

「おもしれえ、幕をあげるとするか!!」

 ゴールデンドラゴンの叫びに呼応して、それぞれの相手に向かって行った。


聖獣王伝説×アーティファクト・ギア、クロスオーバースペシャル。

クロスオーバーM1グランプリ


夢野亜衣

「はい、始まりました。クロスオーバーM1グランプリ、司会は私。アーティファクト・ギアより出番は一話だけの一発屋、夢野亜衣と。」


御門京香

「聖獣王伝説より、第三話以降一度も出番が無い、存在感がこれ以上薄くならないように必死な、御門京香です。」


亜衣

「では、何だこれはと思っている人に説明しますね。このコーナーは、聖獣王伝説とアーティファクト・ギアのキャラクターが組んで、漫才を披露しようと言うコーナーです。詳しいルールは有りません。守るルールはただ一つ、」


善人、悪人、人間、聖獣、老若男女、あらゆる要素を問わず、コンビを組むのは違う作品のキャラクター同士でなければ行けない。それを守れば、ネタの内容などには制限を設けない事とする。


亜衣

「だけです!これより出るは、私たちと違い物語と言う名の天下、その趨勢を左右する猛者たち。物語だけでなく、笑いの天下を取って見せよ!」


京香

「では行きましょう、最初の組です。最初の組は、何と言っても彼らが来なければ始まらない、蓮宮天音&綾小路源で、良妻&賢母です。どうぞ!」




二人

「はい、どうも。」


蓮宮天音

「良妻&賢母です。」


綾小路源

「よろしくお願いします。」


天音

「はい、何で男二人が揃って良妻と賢母を名乗っているかと言いますとですね。他でも無い俺が、こう提案したんですね。家事上手と世話好きで、良妻&賢母で行こうと。」


「そうなんですよ。良妻サイドのアンタはともかく、何で僕が賢母なんですか?」


天音

「それは勿論、六体の聖獣と契約した上に、その聖獣全員に慕われ、そちらの世界で四大聖獣と呼ばれているウンディーネにも懐かれているじゃないですか。」


「絶世の男の娘で、男女の眼を容赦なく引き付ける貴方に言われると、何だか?」


天音

「それはどういう意味?」


「どうでも良い事はほっといて、漫才を始めましょう。」


天音

「人の話を聞いて。ね。」


「実は小耳に挟んだけど、貴方は婚約していると聞きました。」


天音

「源、何でそんな事を知っている?まあ、突っ込まないけど。アーティファクト・ギア本編を見てくれれば分かりますが、この度幼馴染の天堂千歳と、婚約させて頂きました。」


「でもまあ、凄くめでたい縁談ですよね。名門蓮宮家長男と、日本を代表する名家天堂家のご令嬢の婚約。きっと未来は明るいですね。」


天音

「まあ、ありがとう。」


「生まれる子供はきっとサラブレッド。」


天音

「うん、そうあってほしいな。」


「そして老後には熟年離婚?」


天音

「何でだよ!何で離婚しているんだよ。いい加減にしろ!」


「まあ、そういう華やかな展開と同時に、子供の誘拐なんて物騒な展開になる事もありそうですね。」


天音

「一か所華やかと言えそうにないが、まあ、そうだな。」


「と言う訳で、もしも子供を誘拐されたと仮定して練習をしましょう。僕が子供の親をしますから、誘拐をして下さい。」


天音

「何でお前の子供が誘拐されているんだよ、普通は俺の子供が誘拐されるだろう。」


「良し、じゃあ始めましょうか。」


天音

「人の話を聞けよ。まあ良いけど。」


プルルル、ガチャ


「はい、もしもし?」


天音

「お前が綾小路源か?お前の…」


「すいません、新聞は結構です。」


ガチャ


天音

「待て待て、何で切るんだよ。」


「新聞の勧誘だと思った。」


天音

「いやいや、最初にどこのだれかくらい訊いてやれよ。そんな事したら、子供に危害が及ぶぞ。とりあえず、もう一回やるぞ。」


プルルル、ガチャ


「もしもし?」


天音

「お前が綾小路源か?お前の…」


「いえ、私は姉小路です。」


ガチャ


天音

「待て待て、何で人違い装って電話を切るんだよ。」


「実際に別人何だもん。」


天音

「俺が間違えたのか?。」


「ほい、もう一回やるぞ。」


天音

「何だか納得いかないが、まあ良いか。」


プルルル、ガチャ


「もしもし?」


天音

「お前が綾小路源か?」


「あ、はい。私が綾小路源ですが?」


天音

「お前の息子を預からせてもらった、返して欲しければ……」


「すいません、もう一回言って貰えませんか?」


天音

「待て、何で復唱を求める?!」


「いや、気になる一言を言っていたから。」


天音

「いや、お前の息子を預かったって。」


「僕の所、息子居ないけど。」


天音

「息子居ないの?子供が居る体で話をしているのに!」


「僕には娘が居る。」


天音

「はい分かった。じゃあ娘に変えて、改めて預かったの下りから行くぞ。」


ガチャ


天音

「お前の娘を預かった。返してほしければ現金で五千万を用意しろ。」


「ご、五千万ですか?少し高いですね。少し安くなりませんか?」


天音

「自身の貯金なり、消費者金融なり、極道なりを頼れば良いだろ。」


「いや、貯金は余りなくて、消費者金融は愚か、極道にも見切りを付けられているものですから、臓器を売ってもお金にならないんです。」


天音

「お前、本当に小学生か?何で臓器を売ると金になるって知ってるんだ?」


「なんとなくです。後、そういう話を出さない。」


天音

「まあ良い。少しだけまけてやる。いくらまでなら出せる?」


「200円。」


天音

「貧乏すぎだ!何に使ったんだ。」


「宝くじを買った。」


天音

「宝くじ?宝くじを買って残金200円とか、どんだけ貧乏何だよ。」


「1000枚近く購入したんだけど。」


天音

「それだけ買えば、一枚くらいは余裕で当たるだろ!」


「全部外れた。」


天音

「どんだけ運が悪いんだよ!他に何か金になる物とかはないのか?」


「そうですね、以前海外投資した積み立てを戻せば…」


天音

「あるじゃないか、それは幾らある?」


「えっと、ルーブルで300万。」


天音

「もう使えないだろ。しかもどんだけ投資してるんだ?」


「あと、マルクで300万。」


天音

「マルクもか?ドルとかユーロで投資はしてないのか。」


「していない。」


天音

「まあいいや。とりあえず、持てるだけの金を持って今から指定する場所に来い。」


「ああ、それは無理です。」


天音

「は?娘がどうなっても良いのか?」


「自分今、警察に居るんです。」


天音

「警察?お前警官なのか?」


「捕まりました。」


天音

「捕まったの?」


「誘拐の現行犯で。」


天音

「何で被害者の筈なのに、いつの間にか加害者になってるんだよ!と言うか、誰を誘拐したんだ?!」


「アンタの息子をね。」


天音

「どおりでいつまでも帰ってこないと思ったら!いい加減にしろ。」


「どうも、ありがとうございました。」





亜衣

「と言う訳で、良妻&賢母のお二人でした。面白かったと思った審査員(読者)の方は、感想にその旨を記入してください。」


京香

「もしかしたら、またいつか新しいネタ共に、彼らが帰って来るかもしれませんよ。」


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