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プロローグ

孤児院に拾われた一人の男の子が空を眺めている。

両親を失いその子は世界に絶望し全てが面倒になっていた。

このまま死んでもいいのかもしれない。誰も僕を必要としていない。そんな事をいつも考えている。

そんな時だっただろうか? 不意に声が聞こえた。

「どうしたんだい、そんな浮かない顔をして?」

この世界では珍しい黒髪の男性、男の子は自分と同じ髪の色をしている人を見るのをなんだか懐かしく思い、いつの間にか声が出ていた。

「……誰?」

「私か? 私はお節介が大好きなおじさんだよ」

にっこりと微笑むおじさんはまだ30歳くらいだろう。物腰は柔らかくとても優しそうな印象だ。

「……そうですけど、それで僕に何か用ですか?」

「重い話だけど、君は両親を失ったんだって?」

「そう……。死んじゃったんだ。だから此処に拾われた」

と言って男の子は石の床を指差した。その表情に悲しみという物は存在しておらず、ただ無表情だった。おじさんはそれを見ても悲しそうな顔はせず、ただ笑ってこう言った。

「そうかい、じゃあ私の家に来るかい?」

その言葉に男の子は一度、無表情から驚愕と言える表情に変わった。ほんの少しの動揺だった、男の子はすぐに警戒をしながら言葉につまりながら言った。

「……なんで、なんで僕なんかを引き取ろうとするの?」

おじさんは少しの間をおき、僕の目を見て言った。

「ははっ、君は鋭いなぁ。実はうちにも娘が居てね、君より少し上だと思う。その娘が「弟が欲しい」なんて言い出すんだよ。でも僕は忙しくてね……」

おじさんは恥ずかしそうに頭を掻いて下を向く。

「だから?」

「だから、君が私の娘の弟になってくれないかな?」

「…………」

「すぐに決めなくてもいいよ。まず僕の家に来てそれから決めよう。

じゃあ君の名前を教えてくれないか?」

「……高神たかがみ十夜とおや

「うん、いい名前だね。私の名前は____だ。仕事は賢者をやっているんだけど、知らないか……じゃあおいで十夜。私の家に――」


この時が十夜の新たな人生の始まりであり、そして怠慢な人生の始まりだったのかもしれない。


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