小説家、青年を雇う〜番外編集め〜
番外編 ライバル
♦︎
猫月がいない間に琥珀に告白してきた若い女性。
見た目は派手だがデザインを得意とする逸材とされていた。
猫月がデザインの仕事を依頼した若い女性がいた。
名前は三ノ輪鮎子。まだ19歳だそうだ。
彼女がここに来てから一ヶ月が経った頃。
猫月の小さな家には庭がある。
琥珀が庭で水やりをしていると、一瞬暇になった鮎子が庭まで来ると「私、琥珀君いいなって思ってる。だから付き合おうよ」と言い始めた。
しかし、当然のことながら琥珀は断る。
「ねぇ、付き合えないってなんで?私、若いし可愛いし、琥珀君の相手に相応しいと思うけど?
もしかして好きな人いるの?」
「別に。関係ないだろ。」
ふいっと琥珀が顔を逸らす。
「ちょっと!」
鮎子が距離を詰めてきたその時、猫月が現れた。
「三ノ輪さん、案について少し話したいことが・・・悪い、邪魔したな。」
「あ、猫月さん、これは違っ・・・。」
慌てて琥珀が弁解しようとする姿を見て鮎子が気付く。
「え、ちょっと、まさか好きな人って猫月さん?」
「だったらなに。」
「だって、おばさんだよ?どう考えても私の方が釣り合いとれてるじゃない。琥珀君おかしいよ。こんなにカッコいいのにもったいないよ。」
琥珀はため息を吐く。そして冷たい目で鮎子を睨んだ。
「僕のことは何言ってもいいよ。
それに、仮に僕に好きな人がいなかったとしても、
君を信じて仕事を依頼してきた人を傷付けるようなことを言う人とは付き合えない。」
「もういいわよ!!」
鮎子はカッとなり、そのまま走り去った。
申し訳なさそうに猫月が言った。
「藤君、ごめん。私のせいで嫌な思いさせたね。」
「そんな!猫月さんは何も悪くないじゃないですか。」
「いや、私の人を見る目がなかったんだ。」
「なんで・・・もっと怒って下さいよ。
あんな風に言われたら誰だってムカつきますよ。」
「君が怒ってくれたから。」
「え?」
「さっきは庇ってくれてありがとう。」
「僕は当然のことをしただけです。」
「藤君が怒ってくれているのを見て嬉しくなったよ。
不思議だな。」
「猫月さん・・・。」
「紅茶を入れよう。」
そう言って猫月は部屋に戻ろうとする。
琥珀は右手をツンっと軽く掴んだ。驚いた猫月が振り返る。
「僕は、三ノ輪さんとは何も無いですよ。」
「ああ、分かってる。」
「僕は・・・いえ、なんでもありません。紅茶飲みましょうか。淹れますね。」
「ありがとう。」
まだ、言うのは早いよな。
琥珀は猫月の後ろ姿を見ると困ったように微笑んだ。
番外編 気の合う友人
♦︎
それは、中学の頃から付き合いのある友人に結婚の報告をした時のこと。
篠崎有紗「え、まだ付き合ってなかったよね?いきなり結婚!?でもまぁ、ずっと好きだったんだもんねぇ。なんだか感慨深い。」
「僕も、まさか結婚できるなんて思ってなかったよ。」
中学から高校までで彼女が何人か変わったのは知ってたけど、やっぱり最終的には好きな人かぁ・・・。
「高一の時から付き合って卒業と同時に別れちゃったのよね、私たち。」
「ほんとごめん。」
「なんとなーく、分かってたよ。
いつか別れる日が来るんだろうなって。」
「でも、あれから数年間、色々なバイトフラフラしてたから篠崎が今の恋人と付き合えて良かったよ。」
「ほんとよ!」
「帰り気を付けて。」
「めずらしっ、前はそんなこと言わなかったくせに〜。ま、私も言ったことなかったけどー。」
「そうだっけ?」
「その人の影響なんじゃないの〜?」
「うん。いつも言ってくれるよ。」
「知ってた?気を付けて帰ってねって言うと事故に遭う確率下がるんだって。」
「え、そうなの?知らなかった・・・。」
「大事にされてる証拠じゃん。ニヤニヤ。」
「大事にされてるよ。されてるから早く帰りなさい。彼氏さん、心配してるよ。」
「べーだっ、私の彼氏は二個上の大人だから包容力あるんです〜。」
「はいはい。」
歩き出した篠崎が一旦振り返る。
「琥珀、こんっな可愛い私を振ったんだから幸せになんなきゃ許さないからね!じゃーね!」
パタパタと足音が遠くなっていく。
「なるよ、というかもうなっちゃった。幸せに。」
番外編 怪我の功名?
♦︎
夢を見た。
僕が通り魔に刺されて、大怪我をして、血が足りなくなって、
同じ血液型の猫月さんが看護師さんに叫んでいる。そんな夢を。
「お願いします!藤君を、藤君を助けて下さい!!彼が助かるなら私の血を全部抜いてもいいですから!」
「落ち着いて下さい、そこまでしなくても充分助かりますから。」
♦︎
二日間無断欠勤、そして音信不通になり、心配していると琥珀が誘拐されたと警察から連絡が入った。
無事に保護された後。
病院。
部屋に入ると、琥珀はベッドに横になり点滴を打っていた。
「藤君!」
「あ、猫月さん・・・。」
「頭、怪我したのか?」
頭の包帯に気付いた猫月が心配そうに顔を覗き込む。
「大丈夫ですよ。今は痛くないです。誘拐される直前に頭殴られたみたいで、でもたんこぶだけで済みました。さっきまで家族が来てたんですけどね。」
「他に痛いとこや苦しいとこは?」
「ご飯ほとんど食べてなかったのでお腹は空いてますが大丈夫ですよ。」
「そう、か・・・。」
「猫月さん、泣いてるんですか?」
猫月の目から涙が落ちた。
「藤君が無事で良かった・・・。」
「猫月さん、ずっと連絡できなくてすみません。
僕が他の仕事に行くんじゃないかって不安だったんじゃないですか?」
ふるふると猫月が力強く首を左右に振る。
その振動で涙が床にポタポタ落ちる。
「確かに、藤君が仕事を辞めてしまったら悲しいが
元々、新しい仕事なら応援したいとも思ってた。」
「そうなんですか・・・。」
琥珀が少し残念そうに言う。
「でも、藤君が傷付くことを考えたら私が傷付く方がいいと思ったんだ。」
「猫月さん・・・大丈夫ですよ、僕はここにいますから。」
「ああ・・・。」
「猫月さん。」
琥珀の手が猫月の右頬に触れる。
「え、なに・・・。」
「結婚しましょう。」
「なぜ、このタイミングでそうなる。」
「猫月さんが泣いてるの見たらしたくなりました。」
「なんだそれ・・・。」
「というのは半分嘘で、本当は昔からずっと結婚したかったんです。」
そうだったな。
藤君は中学生の頃からずっとファンであり続けてくれた。そして、好きでいてくれたんだったな。
「もし、断ったら・・・。」
「え、断る気なんですか?やだやだ!!」
「こら、病院で騒がない。」
「(フンッ)」
琥珀は横一文字に口を結び、涙目になっている。
「もし、断ったら藤君は仕事辞めるのか?」
猫月が俯き、スリッパを履いている右足首をクリクリと左右に動かす。
「辞めないです。猫月さんが断っても、もしも他の人と結婚してしまってもそれでも僕は・・・。」
琥珀の目がウルウルし始める。
「そうか、そんなに好きなのか。」
ここまで言われたら女として腹を括るしない。
「藤君。」
猫月が琥珀の額にそっと口付けをする。
両手でおでこを抑える琥珀。
「えっ。」
「これが私の返事だ。」
「それってOKってことですか?」
「ああ、結婚しよう藤君。」
「やっ・・・いたたっ!」
「大丈夫か!」
「はい、頭ズキズキして・・・。」
「ナースコールをしよう。」
「はい。」
しばらくして看護師の女性が来ると、痛み止めを打ってくれた。
「猫月さん、明日には退院できるので仕事復帰できると思います。」
「ゆっくりでいい。だが、藤君のアパートのこともあるし看病する人も必要だな。」
「そんな、大袈裟ですよ。たんこぶくらい。」
「ばか、怪我もだが、あんな事件に巻き込まれた後だ。
怖いだろう?」
「それ、は・・・。」
瞬時、琥珀の血の気が引いていく。
事件のことを鮮明に思い出したようだ。
「本来なら家族の元に行くのを推奨するが・・・
あまり仲が良くないと言ってたな。」
「はい・・・必要最低限の援助はしてくれますけど、
妹にベタベタなので居心地はあまり良くないかも。」
「それなら、アパートを解約してうちに来るか?」
「え!!」
「少なくとも衣食住は確保できるし、
元々の出勤日のうち、具合が良い日だけ仕事してくれればいい。」
「そんな、そこまで面倒かけるわけには・・・。」
「もちろん無理にじゃない。ただ、私が君にそばにいて欲しい。それだけだよ。」
「むぅ、僕もそばにいたい・・・分かりました。
でも、家賃や食費はちゃんと払いますから。」
「別に払わなくていいがな。」
「猫月さん、僕をあんまり甘やかさないで下さい。」
「可愛いからつい。」
「え、可愛い・・・?」
「はっ・・・。」
慌てて猫月が両手で口を押さえる。
「猫月さん、ひょっとして今まで僕を甘やかしてたのはそれが理由ですか?」
「ま、まぁ。」
「やっぱり猫か犬扱いだぁ・・・。」
「いやいや、そんなことはない。
犬や猫に掃除や水やりなんてできないだろう?これでも頼りにしているんだよ。」
「頼りに・・・へへ。」
はぁ・・・やっぱり可愛い!!ぐぐっ・・・。
可愛いからつい甘やかしてしまう。
それはこの先もきっと変わらないんだろうなぁ。
「んー・・・。」
藤君が目をコシコシする。
「眠いのか?」
「はい、痛みが引いてきたらなんだか眠くなって・・・
。」
「今日はもう休みなさい。明日のことは明日また考えればいい。」
「はい、猫月さん、おやすみなさい・・・。」
琥珀が寝息を立て始めた。
寝顔見ているとやはりまだあどけないな。
初めて見た寝顔を。
この子が旦那になるのか。
なんか、急に自分が悪いことしている気分になってきた・・・。
うーん・・・早まったかも。
「ねこづきひゃん・・・。」
「ギクッ!」
「むにゃむにゃ。ニヘニヘ。」
これから先、藤君の可愛さになれるのが先か、それとも私の心臓が爆発するのが先か。
可愛い過ぎて辛くさえなってきた。
猫月は、無邪気な寝顔を見守りながら胸元を掴むと小さく呟いた。
「はぁ・・・先が思いやられるな。」
番外編 メイド服で誘惑
やはり、早まったかもしれない。
メイド服のまま、ベッドに引き込まれた私は琥珀君を組み敷いてる状況にある。
今日は結婚して初めての夜。つまり、初夜だ。
メイド服を着ているのには訳がある。
それは、琥珀がメイドでしたら楽しくなりそうですね、と言ったのが始まりだった。
「桜さん・・・。」
「!!・・・えーと・・・やっぱりむりだ!!」
桜が頭を抱える。
「え?」
「罪悪感が・・・。」
「やっぱり、僕じゃその気にはなれませんか?」
「いや、違う。そうじゃない。
ただ、可愛い生き物を襲うという行為に計り知れない罪悪感がこう湧き上がってきて・・・。」
「いいじゃないですか。僕たち、結婚したんですよ?」
「それはそうだが・・・。」
「だから、僕のこと好きにしていいんですよ?」
悪戯な笑みを浮かべた琥珀がメイド服のスカートをピラっと上げる。
華奢で色白な太もももが露になる。
「・・・ありがとう太もも。」
真顔で桜が言う。
「ぷっは!なんですかありがとう太ももって!
わっ!?ていうか鼻血出てます!ティッシュティッシュ!!」
琥珀がベッドサイドのサイドテーブルからティッシュを数枚取り出すと桜に渡す。
「ありがとう・・・。」
ティッシュで鼻を押さえる猫月。
「もー。大丈夫ですか?」
「ああ・・・。」
「あーあ、せっかくムード作ったのに〜。」
「すまん。」
「今日初夜ですよ?」
プンプンしている姿も可愛い。
そう、私は最初から琥珀君が可愛いくて仕方がなかったんだ。
「分かってる。よし、始めよう。」
「いやいや、鼻にティッシュ詰めてする人なんて聞いたことないですよ笑
大丈夫です。ちゃんと待ちますから、ゆっくりいきましょうよ。」
「だが、初夜は今日しか・・・。」
「初めてしたのが初夜ってことでいいんじゃないですか?」
「君はポジティブだな。」
「猫月さんが真面目過ぎるんですよ。まぁ、そういうところも好きですけどね。」
「琥珀君には敵わないな。」
血が止まったらしく、ティッシュを取る。
「藤君。」
「あ、鼻血止まりました?良かっ・・・。」
言いかけてキスで唇を塞がれる。
「・・・桜さん、これは誘ってるとみなしていいんですよね?」
「みなしていいんです。」
目を合わせると一瞬微笑み合い、キス再スタート。
二人の長い夜が始まった。
番外編 琥珀君の料理
キッチン。
「琥珀君!そんな包丁の持ち方したら危ない!」
「え?」
「指真っ直ぐだと切れるかもしれないだろう?
猫の手にするんだよ。」
「にゃん?」
琥珀が右手で猫のポーズをする。
くっ、あざと可愛い!!
いやいや、ここは冷静にならなければ。
そう、琥珀君が料理をしたいので教えて欲しいと言われたのが事の発端。
つまり、彼が安全に料理ができるようになるかは私にかかっている。
まな板の上で試行錯誤している様子だ。
「そうそう、そのままにんじんとじゃがいもを乱切りにして欲しい。」
「はい!」
バンッ!!
琥珀がナイフを持った右手で思い切り腕を下ろした。
左手は猫の手どころかまな板の上にすらなく足の横でプラプラしている。
「琥珀君、そんな勢いよく振り下ろしたら危ないよ。
そこまで力を入れなくてもちゃんと切れるから、野菜に刃が触れてから力を入れればいいんだよ。」
「あー!なるほど!」
まずは手本を見せた後、切ってもらった。
「よし、そしたら次は玉ねぎを薄切りにしよう。
まずは皮を剥いて。」
「はい!・・・あれ?桜さん、玉ねぎって中身ないんですね?」
琥珀は玉ねぎの中身を全て剥いてしまったらしい。
嘘だろう・・・。
「いや、琥珀君、玉ねぎはそれが中身なんだ。
皮はこの茶色い部分だけだ。」
「あ、そうなんですね!」
よく今まで一人暮らしできていたな・・・。
ジャーっとフライパンを洗うとそのまま油を入れ、桜が止める前に火がついたコンロの上に置いてしまった。火がついているので当然フライパンがパチパチと音を立て始めた。
「わっ!フライパンから煙がモクモク!!」
「琥珀君、フライパンに水滴が付いたまま油を入れてしまうと跳ねるから危ないよ。」
「分かりました!・・・玉ねぎ入れてっと・・・うわっ、今度は焦げた!!」
最大火力。
今までよく生きてこれたな・・・私以上かも。
「琥珀君、なんでも強火でやればいいってもんじゃないんだよ・・・。」
「そうなんですか?僕、料理って全部強火でやってるのかと思ってました。ほら、中華屋さん行くと火がぼわあってなるじゃないですか。」
「いや、まぁ、うん。それはそうなんだけどね・・・。」
「すみません、上手くできなくて・・・。」
「大丈夫、少しずつ慣れていけばいいさ。」
「はい・・・。」
「というか、一人暮らししていたんだろう?
今まで何食べて生きていたんだ?」
「えーと、カップラーメンとコンビニ弁当?」
「う〜ん、若いな・・・。」
それから数日後。
ようやくカレーを作れるようになった琥珀。
桜は残ったカレーをいつも三日間は食べているが、琥珀には新しく作っていた。
「桜さん、僕の為に肉や魚焼いてくれますけど、
僕も三日くらいならカレー食べますよ?」
「しかし、飽きるだろう?」
「飽きないです。だから、これからは僕も同じく三日間カレーにします!」
「いいのか?週に3回もカレーで。」
「はい!カレー大好きなんで!」
それは確かに楽にはなるが・・・。
「ちなみに、コンビニ弁当は何を食べていたんだ?」
「カレー弁当です。」
「まさかとは思うが毎日それじゃないよな?」
「え、毎日それでしたよ。たまにカップラーメン挟んでましだけど。」
この子は一人にしといたら死んでしまう。
一日目はカレーとラッシー。
「牛乳とヨーグルトを一対一の割合でボウルに入れて泡立て器で混ぜる。砂糖はお好みで。
最初から砂糖が入っている甘いヨーグルトを使うときは砂糖はなしでOK。」
「へぇ!一対一かぁ・・・それなら分かりやすくていいですね!」
「だろう?ドロドロタイプが好きならヨーグルト多め、サラサラタイプが好きなら牛乳を多めに入れるといい。」
「ふむふむ。」
「そんなメモするほどのことでは・・・というか、私も料理は自己流でそんな上手くないし、料理の先生に教わった方がいいと思うのだが。ほら、気分転換にもなるぞ。」
「桜さんの料理美味しいですよ?
それに、他の人に教わるなら桜さんがいいです。
僕は気分転換したいほど溜まってないですし。」
「そ、そうか?君がそう言うのならそれでいいんだが・・・。」
二日目はカレーうどん。
「二日目は簡単ですね。お湯と麺つゆとうどんにカレー入れるだけ!」
「刻みネギも入れよう。」
うどんを加熱中の鍋に刻んだネギを入れる。
「わー、豪華!!んー!美味しい〜!」
「やはりネギがあると違うな。」
「いいアクセントになってますよね。」
「それで足りるか?」
「はい、充分ですよ。」
「ならいいが。」
三日目はカレードリアとアイスティー。
と、おやつのプリン。
「わぁ!!凄い凄い!!喫茶店みたい!
プリンいつの間に!?」
「琥珀君が出かけている間に仕込んでおいた。」
「やった〜!!カレーにチーズ合うー。
桜さんのおかげでカレーに紅茶が主流になってきましたよ。」
「そうか?食事には好きな飲み物を合わせていいんだよ。唐揚げにミルクティーとか。」
「えっ、それはちょっと合わないかも・・・。」
「後は、フィッシュ&チップスにホットチョコレートとか。」
「ええ!?桜さん、どういう組み合わせなんですかそれ!」
「ん?食べ歩きの時とか、イギリスに行った時はフィッシュ&チップスにホットチョコレートだったよ。」
「すんごい組み合わせ・・・てゆーか、イギリスかぁ・・・いいな、僕も行ってみたい。」
「今度行ってみるか?」
「え、ほんとに!?いいんですか!?」
「二週間休みを取ろうと思っていたんだ。
半分使って行こうか。」
「はい!うわー、楽しみですね!!」
「そしたらぜひフィッシュ&チップスにホットチョコレートを・・・。」
「それはちょっと。」
「素直だな。いいことだ。」
その後、二人は気まぐれで引いた福引でイギリス旅行を当てたのだった。
番外編 もしも
テレビ番組。
「もしも、無人島に流され、船が一人分しかなかった場合。あなたならどうしますか?」
「どう考えても琥珀君を助けるだろう。」
リビングのソファに座っていた桜がさも当然のことのように言う。
隣に座って一緒にテレビを見ていた琥珀が驚く。
「え?なんでですか!」
「君の方が若い、当然だろう。」
「それなら桜さんは守らなきゃならないか弱い女性なんですから助けるのは当然じゃないですか。」
「ふむ・・・そうだな。それなら二人で一緒に海に沈んでしまおうか。」
桜がニコッと不敵な笑みを浮かべた。
「キュン・・・はい!!」
「なんで今ので喜べる?」




