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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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巡る手応え、定着する型

前回と同じやり方で進める。

それが一番確実だと、かおりはもう知っていた。


「じゃあ、これを使ってみてください」


新しく作った運搬用の道具を、数名の作業者に手渡す。畑仕事に慣れた者、体力に自信のない者、年配の者。意図的に、使う人を分けた。


「重さはどうですか?」


「背中、痛くなりません?」


「持ち替え、面倒じゃないですか?」


使ってもらい、聞く。その日のうちに、必ず。


「……ここ、もう少し幅があると助かるな」


「紐が食い込む感じがする」


「悪くないけど、坂だと揺れる」


「なるほど……」


かおりは、即座に書き留める。

反論はしない。説明もしない。ただ、受け取る。



その夜には、もう作業台に向かっていた。


幅を少し変える。紐の位置を下げる。支点を一つ増やす。


「……よし」


翌日、また渡す。また使ってもらう。また聞く。


それを、数日。


「今度は、かなり楽だ」


「これなら長く使える」


「前のに戻りたくないな」


その言葉が出た時、かおりはようやく頷いた。


「これが……最終形」



完成した道具を持って、リーナの元を訪れる。


「新しい運搬具です」


リーナは黙って受け取り、手に取る。

持ち上げ、背負い、少し歩く。


「……ほう」


視線が鋭くなる。


「前回と同じ流れですか?」


「はい。領内から、領外へ」


「回収品は?」


「改良して、売ります」


リーナは小さく笑った。


「型が、できましたね」


「……はい」


それが、かおりにとって何よりの評価だった。



領内では、すでに噂が回っていた。


「また新しい道具が出るらしいぞ」


「今度は運ぶやつだって」


「前の鍬、楽だったよな」


興味は、期待へ変わっている。


使われなくなった古い運搬具は、自然と商人の元へ集まった。

それらは、職人の手で手直しされ、再び商品になる。


「無駄が、なくなっていく」


かおりは、その流れを静かに見つめていた。



新しいものを作る。広げる。回収する。直す。また売る。


「このパターンが回れば……」


農具だけじゃない。生活用品も、作業道具も。少しずつ、少しずつ。


「急がなくていい」


便利すぎなくていい。でも、確実に楽になる。


その積み重ねが、領地を強くする。


かおりは、次の紙を取り出した。


「さて……次は何を“楽”にしようか」


静かに、しかし確かに。

この場所には、手応えが巡り始めていた。

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