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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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戻ってきた答え

領地を訪れた商人たちは、最初は半信半疑だった。


「便利そうではあるが……」


「実際に使ってみないとな」


そう言いながら、道具を手に取り、重さを確かめ、動かしてみる。畑仕事を思わせる動作を、何度か繰り返す。


そして、数本ずつ。


「試しにな」


「売れたら、また来る」


そう言って、彼らは来た道を引き返していった。



数日後。


領門の見張りから報告が入る。


「以前来た商人たちが、また戻ってきています」


その言葉に、かおりは一瞬だけ目を瞬かせた。


――早い。


門の前には、見覚えのある顔ぶれ。

今度は迷いが少ない。


「前に買った道具、評判が良くてな」


「使った連中が、もう一本欲しいってさ」


今度は、数本ではない。箱単位での購入だった。


「この形、特に良かった」


「重さが丁度いい」


そんな具体的な言葉が、次々と出てくる。



新たに作られた道具が並び、それが売れ、また外へ出ていく。


作る。売る。使われる。評価される。


その流れが、途切れずにつながっていた。


「……回り出したわね」


執務室で報告を聞きながら、かおりは小さく息を吐いた。


一過性ではない。

試し買いで終わらなかった。

“戻ってきた”という事実が、何よりの証だった。


「少しは……役に立てたかな」


独り言のように呟く。



その夜、古い道具や設計を眺めながら、かおりは考え始めていた。


もっと楽にできる部分はないか。

少し形を変えるだけで、負担が減る所はないか。


「大きく変えなくていいのよね」


魔法のような道具。一目で世界を変える発明。そういうものではなくていい。


今、ここにある物。

今、皆が使っている物。


その“少し不便”を、少しだけ良くする。


「……改良品、ね」


紙に線を引き、形を書き足す。

握りの位置、刃の角度、長さの違い。


誰も驚かないかもしれない。

でも、確実に“楽になる”。


「それでいい」


領地が、無理なく前に進むために。


かおりは、次の道具へと静かに思考を巡らせていた。

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