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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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言葉になる圧

数日後。


今度は、正式な使者だった。


王都の印を持つ文書。文面は柔らかい。

だが、内容は明確だ。


「当該領地の最近の発展について、状況確認を行いたい」


「視察……という名の、確認ね」


リーナは小さく呟いた。


拒否はできない。

拒否すれば、それ自体が“問題”になる。



使者は、穏やかだった。


「いやあ、素晴らしいですね」


「住民の様子も良い」


「街道の整備も進んでいる」


だが、話題は自然と核心へ向かう。


「最近、こちらの領地発の品がいくつか流通しておりますね」


「木製遊戯盤」


「調味用の白いソース」


「酢を使った保存食」


「はい」


リーナは、短く答える。


「これらは、領地独自の工夫でしょうか?」


――来た。


「そうです」


「生活改善の一環として、導入しております」


「開発者は?」


一瞬の間。


リーナは、迷わなかった。


「特定の“個人”ではありません」


「当領地の生活の中から、生まれたものです」


嘘ではない。

だが、全ても語ってはいない。


使者は、納得したようで、していない顔をした。


「……今後、他領地でも参考にする可能性があります」


「その際、ご協力をお願いするかもしれません」


「検討いたします」


それ以上は、踏み込ませない。



使者が去った後。


リーナは、一人で庭に立っていた。


遠くで、子供たちの声がする。

誰かが、リバーシブルの駒をひっくり返して笑っている。


(これを……どう守るか)


かおりは、答えを出さない。

だからこそ、自分が決める。


「善意は、広がる」


「広がりすぎれば、形を変える」


その事実を、リーナははっきりと理解していた。


そして――


次は、“選ぶ段階”だと。

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