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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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まさかの三本目

「……二本目の井戸は」


かおりは、掘削予定地を見回した。


「これは、手の空いてる人に任せようかな」


突き井戸の仕組みは、もう共有できている。

道具も揃っている。


「いざって時に、自分たちで掘れるって大事よね」


そう言うと、弟子の一人が胸を叩いた。


「ここは俺たちに任せてくれ!」


「手順も分かってるしな」


「頼もしい」


かおりは笑って、そちらを任せることにした。



「……さて」


かおりは、三本目の候補地に立った。


「ここなんだけど……」


感覚が、少し違う。


水脈を探った時の、あの“澄んだ違和感”とは違う。

もっと、重たいというか、引っかかる感じ。


「……何か、ありそうなのよね」


一瞬、冗談めかして呟く。


「まさか、原油とか?掘り当てたら……この世界のアラブの王だわ」


自分で言って、少し笑う。


「いやいや。でも、油って色々使えるし……まあ、出たら出たで考えるか」


「よし」


三本目は、自分で掘る。


二回目ともなれば、手際はいい。


かん。

かん。


突き井戸用の打ち込み管が、地面に吸い込まれていく。


「……早いわね」


体も、すっかり慣れている。


「んー……」


途中で、手応えが変わった。


「水源……とは、違う?」


反発が、鈍い。

でも、空洞でもない。


「原油だったら、井戸と同じやり方で平気なのかな……」


そんなことを考えつつも、手は止めない。


「まあ、出たら出たで……」


かん。

かん。



「……そろそろ、かな」


打ち込み管の奥から。


ぼこっ。

ぼこぼこっ。


「……?」


空気が、上がってくる。


「ん?」


次の瞬間。


「……なに、この匂い」


油とも、泥とも違う。

鼻を突く、独特の硫黄臭。


「……あ!これ!温泉水!?」


思わず声が出る。


「しかも……」


手を近づけて、すぐ引っ込めた。


「熱っ!!ちょ、待って!高温水だ!!」



「まずいまずいまずい!」


かおりは、周囲を見回す。


「コック!バルブ!!早く付けないと、吹き上がる!」


慌てて工具を取り出し、即席で栓を取り付ける。


「……止まれ、止まれ……!」


一瞬、緊張が走り。


――ぴたり。


噴き出しは、収まった。


「……ふぅ」


その場に、へたり込む。


「……原油じゃなかったけど」


「これは、これで……」


かおりは、ゆっくり立ち上がった。


「大当たり、かも」


温泉。

高温水。


使い道は、いくらでもある。


「……でも」


爺さんの顔が、頭をよぎる。


「これは……また、厄介そうね」


かおりは、深く息を吐いた。


三本目の井戸は、

水でも油でもなく――


新たな“管理案件”を静かに噴き出させていた。

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