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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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水脈ぶち抜く!

「……来てる」


かおりは、ハンマーを握る手に、力を込めた。


これまでと、感触が違う。

土でも、石でもない。


「……もう少し」


かん。


かん。


金属音が、鈍く変わる。


「――あ」


一瞬。


すとん、と。


手応えが抜けた。


「……え?」


次の瞬間。


ごぽっ。


管の中から、冷たい感触が伝わる。


「……来た!」


かおりは、目を見開いた。


「来た来た来た……!」



「――おおっ!!」


見ていた者たちから、声が上がる。


突き井戸の管の口から、じわりと水が滲み出していた。


「……ぶち当たった!やっぱり、水源だったんだ!」


かおりは、思わず拳を握る。


「やった……!」


感覚は、間違っていなかった。


土魔法で感じた、あの違和感。

確かに、そこに水はあった。



だが、喜んでばかりもいられない。


「……まずい」


水は、勢いよくは出ない。

むしろ、途中で止まりかけている。


「パイプ……」


かおりは、すぐに理解した。


「足りない」


水脈に届いたが、十分な深さまで、管が伸びていない。


「継ぎ足さないとこのままじゃ、安定しない」



「パイプ、もう一本!」


「予備は?」


「倉庫に、ある!」


声が飛び交う。


かおりは、一度深呼吸した。


「……落ち着いて水は、逃げない!今は、止める」


一時的に、管の口を塞ぐ。


「ふー……」


水の滲みが、落ち着いた。



「……よし」


かおりは、腰に手を当てて、空を仰ぐ。


「一番大事な所は、越えたわね」


後は、技術の問題だ。


「ポンプを取り付けて貯水塔を建てて配管を回せば……」


想像するだけで、胸が熱くなる。



ミリャが、近づいてきた。


「……やったな」


「うん」


かおりは、にっと笑った。


「これで、倉庫に頼らなくても水が使える!共同井戸、完成の目処が立ったわ」


「すげぇな……」


ミリャは、地面を見下ろし、感慨深そうに言った。


「水魔法じゃなくて、掘って水を出す。人が増えても、安定する」


「そう」


かおりは頷く。


「“生活”は、こういうのが大事なの」



少し離れた場所で、爺さんが静かに笑っていた。


「……ほう!やりおった!水脈を当てるか……」


魔法でも、占いでもない。


生活のための、感覚と工夫。


「また一つ、この場所は戻れん所まで来たのう」


だが、その表情に、不安はなかった。



かおりは、汚れた手を見つめる。


「……後は、ポンプと貯水塔!みんなに、お願いしないと」


水は、命だ。


この一打で、この場所は“仮住まい”から、完全に“定住地”へと変わった。


「よし」


かおりは、気合を入れ直した。


「ここからが、本番ね」


水脈をぶち抜いたその日。


この土地に、確かな“未来”が流れ込み始めていた。

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