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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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事情を話そう

ドアの前で向かい合ったままでは落ち着かない。

かおりはそう判断し、倉庫の中へ猫族の女性を招き入れた。


「……中、明るいな」


ミリャは天井を見上げ、一定の明るさで灯る光を不思議そうに眺めた。


「電気。理由は分からないけど、普通に使えてる」


「魔法でも、火でもない……」


「うん。この世界の仕組みじゃないと思う」


ミリャは深く追及せず、事実として受け取ったように小さく頷いた。


「まず、私から話すね」


かおりは槍を壁に立てかけ、両手が空いていることを示す。


「私は、別の世界で何でも屋をしてた。ここは、その店の倉庫」


「別の……世界?」


「魔法も獣人もいない世界。電気や機械で暮らしてる」


ミリャの耳が、ぴくりと動いた。


「突飛な話だが……この建物が突然現れた理由としては、納得できる」


「在庫整理をしてたら、光に包まれて……気づいたら、ここにいた」


「転移、だな」


「そんな言葉があるの?」


「稀だが、聞いたことはある。消えて、別の土地に現れる者の話だ」


思っていたよりも、受け入れは早かった。


「じゃあ、次はあなたの番」


ミリャは姿勢を正す。


「私は猫族の戦士、ミリャ。この森と周辺の見回りを任されている」


「森の警備役、みたいな?」


「近い。最近、この辺りで妙な気配が増えている」


「魔物?」


「魔物と呼ぶには弱いが、放置すると厄介な存在だ」


ミリャは棚に並ぶ工具や部品に視線を向けた。


「それらは武器ではないのか?」


「基本は修理用。壊れた物を直したり、足りない物を作ったりする」


「戦わないのか?」


「必要なら逃げる。そのための準備はする」


その答えに、ミリャは小さく息を吐いた。


「戦士ではないのに、備えを怠らない……不思議な生き方だ」


「何でも屋だから。困る前に備えるのが仕事」


少しの沈黙のあと、ミリャは正直な口調で言った。


「この建物は、無視できない存在だ。危険かもしれないし、役に立つかもしれない」


「だから、話を?」


「敵でないなら、話せる相手でいてほしい」


かおりは頷いた。


「私も同じ。この世界のことを知らないままじゃ、生きていけない」


「なら、取引だ」


「取引?」


「私は、この森と周辺の事情を話す。お前は、この倉庫と……何でも屋について話せ」


「等価交換、ね」


意味は分からなくても、悪くない響きだと判断したのだろう。

ミリャは否定しなかった。


二人は即席の椅子に腰を下ろす。


戦いではなく、会話から。

異世界と現地が、初めて静かに繋がった瞬間だった。

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