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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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次は、畑?

「さて……」


朝の光が差し込む中、かおりは伸びをした。


「今日は、何しようかな?」


建築は、ほぼ終わっている。

住む場所は整った。

倉庫も安定稼働。

建築用の道具も、一通り揃えた。


「やること……」


考えて、首を傾げる。


「……無い?」


いや、正確には。


「急ぎの用事が、無い」


それが逆に、落ち着かない。



ふと、窓の外を見る。


家の横。

まだ手つかずの土地。


「……畑」


そうだ。

食料は、備蓄と調達に頼っている。


「ずっと、買うだけってのも……」


自給自足を目指すと言っていたじゃない。


「畑、耕すか」


決めると、行動は早い。


「確か……」


倉庫へ向かい、奥を探る。


「……あった」


小型耕運機。


元の世界で使われていた、缶ガス式。

家庭菜園向けの、小ぶりなやつ。


「これなら……」


と、思った瞬間。


「あ」


缶ガスの棚は――空。


「……無いわね」


在庫、ゼロ。


「そういえば」


廃棄予定で回収した時、

ガス缶は別管理だった気がする。


「……詰んだ?」


いや。


かおりは、耕運機をじっと見つめる。


「……動力が、無いだけ」


本体は、ある。

刃も、構造も、問題ない。


「なら!動力、変えればいいじゃない」



かおりの頭の中で、歯車が回り始める。


「缶ガスの代わりに……」


魔力。


「……いける、よね?」


すでに、魔力鋸や発電機を作っている。

回転運動も、制御も、経験済みだ。


「問題は……」


出力。


耕運機は、土を掘り返す。

力は、そこそこ必要。


「でも建築用の丸ノコよりは、軽い調整すれば……」


できそうな気がする。



試しに、耕運機を分解する。


「……エンジン部分」


ここを、丸ごと置き換える。


「回転軸は、そのまま使えるなら……」


魔力発電機 → 制御部 → 回転軸。


いつもの構成だ。


「……あ」


ふと、手が止まる。


「これ農機具、よね?武器じゃない……でも」


土を掘る力。

刃の回転。


「扱い方、間違えたら危ないわね」


決めた“線引き”が、頭をよぎる。


「出力は人が押して歩ける程度。深く掘りすぎない。暴走しない……安全第一」



試作一号。


魔力を流す。


「……お」


刃が、ゆっくり回り始める。


「回転、安定」


持ち上げると、止まる。


「良し」


地面に下ろす。


ざく、ざく、と

土が軽く崩れる。


「……耕せてる」


深すぎない。

重すぎない。


「これなら家庭菜園には、十分ね」



額の汗を拭きながら、かおりは笑った。


「……結局農機具、作ってるし」


何でも屋。

発明家。

今は――農家見習い。


「でも畑があれば生活、安定するし皆も、助かる」


ふと、周囲を見る。


「……また、説明書いるわね」


安全な使い方。

やってはいけないこと。


「……管理側の仕事、増えてる」


でも、不思議と嫌じゃない。


「よし明日は、畑の区画決めからね」


かおりは、改造耕運機を倉庫へ戻した。


次の“生活の基盤”づくりが、静かに始まろうとしていた。

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