第3話『王様になったけど、即・暗殺ターゲットになった件』
──前回のあらすじ。
村人Cだった俺・ヨシオは、魔王をくしゃみで倒してしまい、
世界の王に就任。案内人のリリィには全く信用されていないが、
なぜか一緒に寝泊まりすることに──。
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深夜・王都の宿
「……くっそ、トイレ……」
ベッドからそろりと起き上がる。
初日の食事(鹿肉のクリーム煮)が異世界の洗礼すぎて、腹を下した。
「やばい……今、魔王より強い敵と戦ってる気がする……」
静かに扉を開け、廊下を進む。
すると──
「……そこまでだ、ヨシオ=タナカ」
「え、え、だれ!? なんかマントの人が3人も!? なにこれ忍者の宴!?」
暗がりの廊下に、怪しい黒装束が3人。
見事に全員、目だけ出してて怪しさ満点。
「我ら、影の暗殺者。王となった者はすべからく試練を受けるのが掟!」
「え、掟!? どこのブラック企業!? “入社したらとりあえず刺される”とか聞いてない!!」
「問答無用。いざ、勝負!」
1人目が短剣を構える!
「うわあああああああああ!!(※悲鳴スキル発動)」
──その瞬間、バァン!!
壁を吹き飛ばしてリリィ登場。パジャマ姿で氷の杖を構えていた。
「……夜中にうるさい。あと3秒で黙らないと凍らせるよ」
「え、どっちに!? 俺!? 暗殺者!?」
「両方」
「ヒエエエエエ!!(※物理的に)」
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数分後・廊下
氷漬けの暗殺者3人。
その上に座るリリィ。お茶飲んでる。シュール。
「ヨシオ、あんたまた運だけで生き延びたね」
「ち、違うぞ!? 俺にも! 俺にも『悲鳴スキル』という立派な能力が……!」
「レベル1で習得できるスキルを“能力”って言うな。うるさかっただけだよ」
「ヒロインからの扱いが段ボールより雑!!」
リリィはため息をつきながら、ぽつりとつぶやいた。
「……けどまあ、守るのは私の仕事だから」
「……ん?」
「勘違いしないで。王様が即死されたら給料カットされるから」
「現実的すぎて逆に怖い!!」
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翌朝・王都の玉座の間
「ヨシオ=タナカ殿……貴殿の命を狙った刺客は、すでにこの王都で暗躍しているようです」
「もう知ってる! 腹壊してトイレ行ったら3人いたわ!!」
「それは運が良かったな」
「いや普通は“運が悪かった”だろコレ!?」
周囲は騎士団、貴族、魔法使いの長老……
誰もツッコミ役がいない地獄みたいな会議だった。
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そしてその夜。
リリィが珍しく真面目な顔をして言った。
「……気をつけて、ヨシオ。これからあなた、もっと狙われる」
「やっぱ王になるのやめようかな……」
「もう遅いよ。あなた、昨日“王様就任記念ラップ”まで作られてたし」
「いやそんな文化あるの!? いらない! 王様にHIPHOP要素いらない!!」
「とにかく、私がついてるから。半分は義務だけど、もう半分は……まあ、気まぐれかな」
「い、今ちょっとデレなかった? 今! フラグ立たなかった!? 希望の光!!」
「うるさい。希望は明日から」
「言ってることが上司の朝礼みたい!!」
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
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