番外編2『風の鳴る丘、約束の鐘が鳴る【結婚編】』
■プロローグ:風の丘の小さな教会
あれから2年――
《記録の街》の再建は進み、世界は静かで、平和になっていた。
そして今日、世界にひとつの小さな教会に、たくさんの人が集まっていた。
「やっとか……長かったな」
と、ウケールが鼻をすする。
「泣くの早すぎだろ……」とマリアが呆れた声を出すが、目は潤んでいた。
エリュも壁に寄りかかりながら、ふっと笑っている。
「こんな時代が来るなんて、ね」
そして――鐘が、鳴った。
---
■ヨシオの語り
扉が開く音がして、みんなの視線が集まる。
……そこに現れたのは、純白のドレスを着たリリィ。
まるで、世界で一番綺麗な花が歩いてくるみたいだった。
「……おそいぞ、リリィ」
「待たせたわね。……でも、花嫁ってそういうものなんでしょ?」
くすっと笑うその姿に、俺の胸が一瞬だけ、痛いくらい締めつけられた。
嬉しすぎて、息ができなかった。
神父の言葉なんて、正直、あまり耳に入ってなかった。
でも、あの一言だけは――
「ヨシオ・アカツキ。あなたは、この者を妻とし、生涯、愛し、支え続けますか?」
俺は、迷わず答えた。
「……もちろんだよ。絶対、幸せにする」
そしてリリィが、ちょっと泣きそうになりながら、微笑んだ。
「私も、ずっと一緒にいる。あなたと……“これからの物語”を、書いていくの」
---
■仲間たちの祝福
宴は夜まで続いた。
マリアは手作りのアルバムを渡してくれた。
「これ、旅の写真を全部入れておいたの。……結婚しても、ちゃんと見返してね」
ウケールは酔い潰れて、床で寝ていた。
でも「ヨシオぉ……お前が幸せなら……それでいいんだ……」とか寝言で言ってて、ちょっと泣けた。
エリュは最後までツンツンしてたけど、帰り際にボソッと。
「バカみたいに真っ直ぐな奴が、最後にちゃんと幸せ掴んでくれて、ちょっと安心したわ」
って言ってくれた。
テナの墓にも、花を置いた。
「……見てるか、テナ。俺、ようやく……前に進めたよ」
墓の前で、リリィがそっと俺の手を握ってくれた。
---
■エピローグ:風の鳴る丘
数ヶ月後。
俺とリリィは、小さな家を建てた。風の鳴る丘のてっぺんだ。
子どもたちの声が響く日が来るのは、もう少しかもしれない。
それでも、俺たちはゆっくりと、新しい物語を書き始めた。
もう、誰かに書かれた物語じゃない。
俺と、リリィで描いていく、未来の記録だ。
ノートの最初のページには、こう書いてある。
> 『ヨシオとリリィの物語。第1話:「ただいま」と「おかえり」』
そして、それは誰にも記録されない。
けれど、確かに存在する。
幸せは、静かに、でも確かに続いている。
---
―物語のすべてに、ありがとう。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
あと、感想もお願いします!