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最終話『記されるもの、それは――真実』


《レコードライン》――そこは、全ての出来事が「石盤」に記される都市。


中央広場の奥、黒い石塔の頂に存在する「大記録盤」。

それは、この世界における“絶対の歴史”であり、

“未来”でさえも、誰かによって記され、決められていた。


俺たちはそこへ辿り着いた。

あの記録に、「俺が仲間を裏切る存在として記されている」とエリュは言った。


だが、俺たちは違う未来を生きてきた。


仲間たちと共に、命を懸けて、失って、笑って、泣いて――


それがすべて「嘘だ」と?

……ふざけんな。


「ここが“大記録盤”……!」

リリィが息をのむ。


目の前にそびえる黒き石塔。その上に、銀色に輝く盤面が回転していた。

近づくにつれて、脳内に直接、声が響く。


《記録に従え。記録を疑うな。全ては決定されたもの》


「……洗脳か、あるいは支配か……!」

マリアが杖を構える。


だが――突然、俺の足が止まる。


「――ヨシオ」


石盤の中から、俺の“姿”が現れた。

それは、まるで鏡写しのような“もう一人の俺”。


「お前がここに来ることも、“この結末”もすべて記録されている」

「お前は、仲間を捨てて世界を手に入れる。

だが、心は空虚となり、最後に一人、塔の下で死ぬ――それが『運命』だ」


「……ふざけんなよ」


俺は拳を握る。


「そんなもんが決まってるってんなら、俺がぶっ壊してやる」


“記録のヨシオ”は微笑む。


「壊せるものならな。お前に、真実を書き換える力があるなら――来てみろ」



---



「ヨシオが、消されるわけないでしょッ!」

リリィが真っ先に剣を抜いた。


「そいつが“未来の姿”でも、“記録”でも……私は、今のヨシオを選ぶ!」


続いて、マリア、ウケール、エリュも構える。


「記録とは過去。過去に縛られるな」

「ヨシオの“今”こそ、私たちが知ってる彼だよ!」


《幻影の記録》と化したヨシオのコピー。

そいつは、仲間の姿に変化しながら襲いかかってくる。


「こっちは偽物……!」

だが、攻撃は重い。想いすら模倣されたような攻撃に、

仲間たちはひとり、またひとりと押されていく。


「……嘘だろ……このまま、負けるのか?」


だが、その時。


「信じるんだ、ヨシオ」


……マリアの声。


「“記録”にないものを書き込めるのは……“記録されていない今”を生きるお前だけ」


俺は、振り返った。


みんなが、俺を信じてる。

そして、テナも……いないはずの彼女の姿が、炎の奥に一瞬だけ見えた気がした。


「じゃあ、俺がやることはひとつだけだろ」


《記録のヨシオ》が剣を構える。


「お前に、何ができる?」


「“今を生きる”俺が、お前を否定する」


剣を振るい、拳を叩きつけ――

俺は叫ぶ。


「俺たちは、決められた運命なんかじゃない――!」



---



戦いが終わると、《大記録盤》は静かに崩れた。


崩壊するその中心に、一本の白い石が残っていた。

そこには、こう記されていた。


> 「名前:田中・ヨシオ

行動:仲間を信じ、運命を拒絶し、自らの手で未来を書き換えた

結果:この世界に、自由な未来が生まれた」




「……なんか……恥ずかしいな、これ」


「いいじゃない、かっこいいよ」

リリィが微笑む。


マリアが、手を胸に当てて言った。


「これで、きっと……テナも、安心して眠れる」


「私も、やっと過去を手放せるわ」

エリュの声に、皆が頷く。


「でも、俺たちの旅、これで終わりか……?」


ウケールが言う。


「いいえ」

マリアが答える。


「終わりじゃない。“始まり”よ。これからは、誰かに記録されるんじゃなくて――」


「――自分たちで、記録を創っていくんだ」


俺は、そう言って、空を見上げた。



---




《記録の街》は崩れ、今はただの石畳だけが残る。

だが、その上で、俺たちは新しい日常を始めていた。


商人になったウケールとエリュ。

旅の記録を書き始めたマリア。

町医者を手伝い始めたリリィ。

そして俺は――“書き手”になった。


もう、誰かが俺を記録するんじゃない。

俺が、自分で書くんだ。

仲間の笑顔も、別れも、戦いも、涙も。

全部。


ページの最後に、俺はこう記した。


> 「これは俺たちの物語。誰のものでもない、“俺たちが生きた証”だ」






「面白かった!」




「続きが気になる、読みたい!」




「今後どうなるの!!」




と思ったら




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