表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/155

第152話『ふとした時間、揺れる想い』


「……やっぱ、こっちの世界の草むらって、地味にチクチクするんだよな」


俺――ヨシオは、いつものようにキャンプ地の準備をしながら、

草の上に寝転ぶウケールを横目に見た。


「言っただろ、寝る前には地面チェックしろって……」


「でも、星がよく見える場所って、だいたいチクチク草の上なんだよ……。うん、わかってるけどさ、もうちょいロマンを重視したい日もあるの」


「おまえなぁ……」


テントを組み終えたマリアが、鍋の中をかき混ぜながら微笑んでいる。


「ロマンは夜ごはんの後にして。今日は特別、エリュが持ってきてくれた保存野菜も入れてあるから」


「そう。腐ってないことを祈って食べなさい」


「やめてエリュ!? それ一番怖いパターンじゃん!?」


焚き火の明かりに照らされるメンバーたちの笑顔を見て、

俺はほんの少し、安心した。


ここ最近、戦いが続いていたせいで、

みんな、ほんの少しずつ無理をしてた。


今は、静かな時間の中で呼吸を整える――そんな時なんだと思う。



---



「ヨシオ、ちょっと……こっち、いい?」


食後。

皆が片付けを始める中、リリィが少し離れた岩場に座って、俺を呼んだ。


「……なあに、また相談?」


「ううん。今日は……ただ、話したいだけ。最近、色々あったから……」


焚き火の灯りから少し外れた場所。

そこでは、リリィの顔が、星の光だけで照らされていた。


「マリアのこと、すごく心配だったよ。……ヨシオ、頑張ったね」


「……いや、俺は大したことしてない。記録を書いただけだし」


「ううん、そうじゃない。あの時、迷わなかったでしょ?

マリアを“ここにいる”って証明するために、すごくちゃんと見てた。

……それって、なかなかできないことだと思う」


「……」


「わたし、ちょっとだけ、あの時……うらやましかった」


「うらやましい?」


「うん。……私も、“ちゃんと見てほしいな”って、思っちゃった」


リリィは、笑ってたけど。

それは、ちょっと寂しげな笑顔だった。


「馬鹿だよね、私。仲間なのに、そんなこと思ってさ」


「いや、馬鹿じゃないよ。……俺も、ちゃんと見てた。

お前が剣を抜いて、泣きそうになって、それでも立ち向かったこと」


言いながら、俺は、そっと彼女の手を握った。


「……ありがと」


リリィは、小さく頷いた。

星が流れた。



---



その夜。

マリアは、焚き火の傍でひとり、祈っていた。


「テナが、夢に出てきたの。……“もうすぐだね”って、笑ってた」


「……“もうすぐ”?」


「ううん。きっと……“全部が終わるとき”の話だと思う。

あの子、きっと何か知ってた。最後まで言わなかったけど」


「……そうか」


俺は、静かにうなずいた。


マリアが振り返って微笑む。


「でも、まだ“今”がある。私は、それを大事にする。

だから……この旅を、終わらせたい」


「終わらせよう。俺たちで」



---



次の日の朝。

エリュが手早く荷物をまとめ、みんなに告げた。


「次は《レコードライン》。

そこでは、すべての事実が石盤に記録される。

けど、最近“誰かが嘘の記録を書き込んでいる”らしい」


「つまり、“捏造された未来”があるってこと?」


「そのとおり、マリア。――ヨシオの名前もそこに書かれていた。

“仲間を裏切る存在”としてね」


「……は?」


「だから、次の目的は、その“嘘の記録”を探し出し、書き換えること」


「そんなもん、全力で否定してやるよ」


俺は拳を握った。


リリィが隣で頷く。


「わたしたちの物語は、私たちが決める。そうでしょ?」



「面白かった!」








「続きが気になる、続きが読みたい!」








「今後どうなるの!!」








と思ったら








下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。








面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、








正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!








ブックマークもいただけると本当にうれしいです。








何卒よろしくお願いいたします。








あと、感想も書いてくれるととても嬉しいです!







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ