第135話『記録の深層、語られざる審問』
――浮遊都市《ヴァルト=アイン》地下、
そこには誰も存在を知らなかった空間があった。
まるで世界の心臓部。
“記録”という概念が、物質として渦を巻いている場所――
《深層記録域》。
マリアが緊張した声で言う。
「ここは、神々の筆が最初に触れた場所。
記録が“何を記録すべきか”を決める中枢……」
「つまり、ここを書き換えられたら、世界そのものが――」
「――“違う物語”になる可能性があるわ」
そう、それが敵の狙いだった。
そして、その“敵”が姿を現す。
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◆侵入者:記録神直属の刺客《筆記騎士団》
ガシャン……ガシャン……!
巨大な扉が軋み、白銀の鎧に身を包んだ一団が現れる。
中心に立つのは、無機質な仮面をかぶった騎士。
「我ら、記録の守護騎士団。“空白の記録域”に干渉する存在を、抹消する」
その名は――レムナ・ゼロス。
「貴様らは、記録の“誤字”。修正対象だ」
「……あのな、それ、ただの悪口じゃねーか」
「誤字にも、消去ボタンがある」
ギン……と、空間が震える。
次の瞬間、戦いが始まった。
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◆第一段階:術式干渉戦
「ウケール!支援頼む!」
「おうよ!――《加速風陣・展開ッ!》」
風の結界が仲間を包み、速度を一気に引き上げる。
「リリィ、行くぞ!」
「背中、任せる!」
二人が前衛として切り込む。
「《雷光斬・双牙!》」
「《魔弾連鎖・連花爆式!》」
斬撃と魔弾が敵兵を薙ぎ払うも、レムナ・ゼロスは一歩も動かない。
「記録の守護に、感情は不要」
彼が振るったのは、“物語そのものを削る剣”。
剣が振るわれた瞬間、ヨシオの雷撃が――消えた。
「……なっ!?」
「これは“否定剣”。記録外の力を、この世界に存在させない」
マリアが叫ぶ。
「ヨシオ、あの剣は、“存在論的削除”を発動してる!直接ぶつかっちゃダメ!」
「言われても!近接しかできねえ俺どうすんの!?」
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◆第二段階:仲間たちの連携
「時間稼ぐにゃ!――《幻像二重結界・テナ式!》」
テナの結界が一瞬だけ敵の視界を奪い、エリュがすかさず指示を飛ばす。
「ウケール、風を後方に送って!マリア、転写術式に干渉して、斥力を逆転させて!」
「了解!《転写干渉式・逆圧配置!》」
「よし、俺たちの流れだ!」
ヨシオは飛び上がり、敵の騎士団の中央へ突入。
「《雷撃疾風突・改!!》」
雷光が巻き起こり、敵兵を巻き込む。
が、その奥でレムナ・ゼロスが一歩、前へ。
「“始まりの記録”――《ゼロ=エディット》」
その瞬間、空間が崩れた。
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◆第三段階:虚無の書き換え
「くっ……!」
マリアが膝をつく。
「ゼロ=エディット……記録以前の状態へ強制的に戻す。全ての“証明”が消される……!」
「やばいってそれ!俺のパンツすら履いてなかったことにされるレベル!」
「ふざけてる場合か!」
記録が削除されていく。剣も、記憶も、名前すら――。
「俺……俺は……」
「――ヨシオ!!」
リリィが叫ぶ。
「大丈夫!私が“覚えてる”!あんたが誰で、何をして、どんな奴かってこと、全部!!」
その言葉が、ヨシオを引き戻す。
「……ありがとな、リリィ。おかげで、まだ“ここ”にいられる」
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◆最終局面:対存在魔法《記録超越式》
「マリア、どうすりゃいい!」
「記録を超えるには、“記録される前の概念”を打ち出すしかない!
つまり、“物語”そのものを――ぶつけるの!」
ヨシオが剣を掲げる。
「――ならやるよ。“記録される前のオレ”。物語が始まる前の“存在”。
全部こめてぶち込んでやる!」
剣が光り輝く。
リリィがそっと寄り添う。
「いっしょに撃ち抜きましょ、ヨシオ」
「おう!!」
二人の魔力が融合し、ひとつの技となる。
「《記録超越式――“始まりの名前を叫べ”!!!》」
雷と魔力が交錯し、空間そのものに“存在の意志”を刻みつける。
レムナ・ゼロスの剣が折れ、仮面が砕ける。
「記録に……抗うとは……。見事だ……」
そして彼は霧のように消えた。
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◆戦いのあとで
「……勝った、のか?」
「ええ。でも……深層記録域は、これで閉じる」
マリアが静かに結晶を閉じる。
「この場所は“誰かが記録される前”の余白だった。
もう干渉はできないわ。でも、必要ないわね」
ヨシオは空を見上げた。
「オレたちは、もうちゃんと“物語”の中にいる。誰かが書いたんじゃなくて、自分で書いてる物語だ」
リリィが笑って言う。
「なら、次のページも楽しみにしてるわ。“主人公”さん?」
「うるせーよ。……でも、頑張るわ」
「面白かった!」
「続きが気になる、続きが読みたい!」
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