第133話『空を裂いて、記録を壊せ』
――襲来は、あまりに静かに始まった。
最初に気づいたのは、エリュだった。
「……空間座標が、揺らいでる。上層域に“神域構造”の侵入を確認」
「つまり……奴らが来た、ってことか」
マリアが、静かに頷く。
「再記録の使徒――“記録神の代行者たち”。この浮遊都市そのものを、記録し直そうとしてる」
俺は剣を握った。
「記録に戻させねえ。ここは、“記録外の人間”が生きる場所だ」
---
◆空を覆う神殿
その日、空は黒く染まった。
白金の装甲に包まれた、巨大な空中神殿が、ゆっくりと都市の上に降りてくる。
「おお……まるで空が落ちてくるにゃ……!」
テナが呆然とつぶやく。
そして、光の柱が降りてきた。
その中から現れたのは――仮面をつけた4人の使徒たち。
「我ら、“再記録の使徒”。この世界の“過ち”を修正する」
「浮遊都市ヴァルト=アイン、およびその住人は記録外存在。抹消対象とする」
「貴様らの存在自体が、物語の“ノイズ”なのだ」
「……あんたたち、どこの編集者だよ」
思わず突っ込んでしまった。
でも、こいつら――本気だ。
---
◆戦闘開始!
「ヨシオ、来るわ!」
「任せろ、リリィ!」
敵の一人が巨大な羽を広げ、神聖魔術を展開してくる。
「“記録照準・浄化射出”――!」
「うおっ、来た来た来たぁあ!!」
俺は空へ跳び、雷を纏った魔剣を一閃。
「――《迅雷破》!!」
炸裂する雷撃が、記録魔術とぶつかり合い、空に亀裂が走る。
「な、なんにゃ!?空が割れてるにゃー!!」
「“空の構造”が干渉されてる……!長期戦は危険よ!」
エリュとマリアが支援魔術を連携。
「《反記録展開式》、発動。記録照準をズラして!」
「《逆数転写!》」
無数の魔術が乱舞するなか――俺とリリィは、前線を駆けていた。
---
◆二人の共闘
「リリィ、左から回るぞ!」
「わかってる!背中、預けるわ!」
敵の使徒の一人が、槍で突きかかってくる。
リリィが受け流し、俺が切り込む。
「二人とも、よく息合ってるな!」
「当然でしょ、これでも――」
リリィが言いかけて、ふと口を閉じた。
「……恋人、みたいなもんだし」
「……っ」
こっちが反応する前に、リリィは敵に蹴りを入れた。
「ちょっと照れたでしょ!?」
「い、今戦闘中!!」
「言ったのはあんたでしょ!!」
敵の使徒が戸惑っている隙に、連携で一人撃破。
「……強い。これが、“記録外の絆”か」
---
◆空中戦、決着へ
神殿の砲塔が都市に照準を合わせる。
「駄目だ、あれが撃たれたら、都市が……!」
マリアが一歩前に出る。
「なら、私が座標構造を歪める。あとはヨシオ、あんたの力で――!」
「――ああ、任せとけ!!」
俺は剣を天に掲げ、全魔力を集中する。
「《雷鳴一閃・虚空葬送》――ッ!!」
光が弾け、神殿の砲塔が粉砕される。
空が震え、使徒たちは撤退していった。
---
◆勝利と、静かな時間
戦いの後。
俺たちは、都市の中央に戻っていた。
浮遊都市は守られ、人々は歓声を上げていた。
「……終わった、のか?」
「うん。少なくとも、今はね」
リリィが、そっと寄り添ってくる。
「また一緒に、勝てたわね」
「ああ。お前がいたからだよ」
「じゃあ、もっと頑張ってもらおうかしら。だって――」
彼女は小声で、耳元にささやいた。
「“好き”なんだから。守ってもらわないと困るでしょ?」
「っ……!」
顔が、勝手に熱くなる。
「ちょ、こらリリィ!」
「ふふ、これも戦いのご褒美ってことで」
「面白かった!」
「続きが気になる、続きが読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、
正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
あと、感想も書いてくれるととても嬉しいです!