第126話『歪んだ都にて、僕らの選択』
歪んだ都、ラガル=エント。
神の記録が残された、失われた文明の末路。
霧が立ち込め、空は沈み、影が這う――そんな不気味な街だった。
俺たちは六人でここに踏み込んだ。
リリィ、テナ、エリュ、ウケール、マリア、そして――俺。
街の入り口で立ち止まったとき、妙な“圧”が胸を押さえつけた。
空気が重い。いや、違う。これは、何かが“見ている”気配。
「……ようこそ、“記録の歪み”へ」
頭の中に声が響く。誰の声かはわからなかった。でも確かに、俺たちを見下ろしていた。
俺は剣を握る手に力を込めた。
「……行くぞ。絶対に帰る。そのために、何があっても選び続ける」
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◆廃墟の街での探索
俺たちは慎重に街を進んでいった。
瓦礫の間に、誰かの残した痕跡。古びた旗、崩れた神殿。
どれも“かつてここに誰かが生きていた”ことを証明していた。
「気をつけて。記録を奪われた者……つまり、“かつての冒険者”が徘徊してる可能性があるわ」
エリュの言葉に、マリアが頷く。
「私のように、記憶を塗り替えられた者たち。……でも、彼らはまだ救えるかもしれない」
「だったら、俺たちで取り戻そう。意志も、記憶も、未来も」
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◆そして、出会い
広場の中心。
そこに立っていたのは――ルシェとリオナにそっくりな姿をした、“記録の影”だった。
「……嘘だろ」
そうつぶやく俺の隣で、リリィが悲鳴を飲み込む。
でも、違う。あれは“彼女たち”じゃない。似ているだけ。
いや、似せているんだ。俺たちの記憶をもとに、作られた“敵”。
「こんにちは、ヨシオくん」
その口ぶりが……まるで昔のままで。
胸がぎゅっと締めつけられた。
「あなたのために死んだ私たちが……今度は、あなたの手で殺されるのね」
「やめろ!」
俺は叫んでいた。
剣を握る手が震える。
戦えない、こんなもん……戦えるわけがないだろ……!
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◆仲間の言葉・選ぶのは“今”
そんな俺に、背後から声が届く。
「ヨシオ。選ぶのよ」
リリィだった。
「ここで止まったら、私たちまで記録の亡霊にされちゃう。
“今を守るために、過去と戦う”って、あんたが言ったでしょ?」
俺は目を閉じ、深呼吸する。
そうだ。これは選ばされた戦いじゃない。
俺が、俺たちが――自分で選んだ道だ。
俺は剣を構えた。
「ルシェ、リオナ……いや、“お前たち”は偽りだ。
でも――俺がここで斬るのは、“お前たちの記録”じゃない。
“記録に縛られて生まれた呪い”だ!」
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◆戦闘と決着
影のリオナが放つ、炎の魔法。
影のルシェが跳躍して俺の背を狙う。
それを、テナとウケールが食い止めた。
「ヨシオに手ぇ出すなぁぁぁぁああ!!」
「にゃっ、背後は任せたにゃっ!」
俺は全力で駆け抜け、剣に力を込めた。
そして叫ぶ。
「――選ぶのは、俺たちだああああ!!」
斬撃は闇を裂き、影たちは霧とともに消えていった。
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◆戦いのあと
静けさが戻った広場で、俺たちは言葉もなく立ち尽くしていた。
やがて、マリアがそっとつぶやいた。
「……あれも、記録の呪い。誰かの記憶を“再現”して、私たちを縛ろうとしている」
「そうだな。でも、負けない。
どんなに過去を見せつけられても、俺たちは――今を生きる」
リリィが、そっと俺の手を握ってくれた。
「ありがとう、ヨシオ。……あなたが選び続けてくれるなら、私は信じられる」
俺も手を握り返した。
これが、俺たちの“現在地”だ。
どんな神が記録を塗り替えようとも――俺は、選び続ける。
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