第124話『記録改変者と、一つの選択』
街の北に広がる静かな森――。
そこは、かつて冒険者たちが修行の場として使っていた、今は立ち入りが禁止された“霧の谷”。
「……観測者からの挑発、だったな」
ヨシオは森の手前に立ち、静かに剣の柄を握る。
背後にはリリィ、テナ、エリュ、ウケールがいる。
「“選ばれ直した者”がここにいるって話、本当かな?」
「記録を“書き換えられた者”――つまり、かつて別の選択をした仲間かもしれない。
……それが、“敵”として立ちはだかるなら――」
「ヨシオ」
リリィがそっと声をかけた。
「……迷わないでね。あなたが選んできたもの、私、ずっと見てきたから」
「……ありがとう、リリィ」
「……よし、行こう」
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◆森の奥・封じられた戦場
霧の奥に立っていたのは――
白銀の鎧に身を包んだ女騎士。
髪は短く、目は空虚。
「……貴様が、“記録を乱した者”か」
その声に、テナが目を見開く。
「! あれは――“マリア”? ……でも、彼女は……」
「マリア……?」
エリュが、手元の記録端末を起動する。
「この人、十年前に消息を絶った元・Sランク騎士……“聖光の守護者”だったはず」
ウケールがつぶやく。
「まさか……記録を書き換えられて、“今を生きる選択”を無理やりされたのか……?」
女騎士――マリアは、霧の中で剣を構える。
「私は“誤差”を正す者。
貴様たちの歩んだ自由は、この世界の“破綻”を招く」
「……それでも、俺たちは選ぶさ」
ヨシオは剣を抜いた。
「誰かに選ばされるんじゃない。
“自分たちで選び続ける”って、決めたからな!」
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◆ヨシオ vs 改変された騎士マリア
マリアの剣技は圧倒的だった。
かつての“聖光の守護者”の名は伊達ではない。
「はっ!」
霧を裂いて放たれる聖光の斬撃。
ヨシオはギリギリでかわしながら剣を振るうが、攻撃は届かない。
「にゃっ、くっそ強いにゃ……!」
テナも何度も攻撃を仕掛けるが、弾かれる。
リリィの魔法も、エリュの封印術も、なぜかマリアには通じない。
「……まさか、観測者により“無効化”された……?」
「くそっ、こんな戦い、誰が望んだんだよ!」
ヨシオが叫んだ瞬間。
ふと、マリアの瞳が揺れた。
「“誰が望んだ”……?」
その言葉が、彼女の中の何かを刺激したようだった。
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◆
「マリア!あんたは誰かに操られてる!お前の選択は、そんなもんじゃなかったはずだ!」
ヨシオの剣は、彼女の剣を受け止めたまま動かない。
「お前が守ろうとしてたもの……今でも覚えてるだろ!?
街を!人を!未来を守るって言ってただろ!?」
「…………っ……う……ぐ……」
剣が震えた。
「私は……誰のために……何を守って……」
リリィがそっと彼女の背に手を添える。
「――思い出して。あなた自身の“意志”を」
その瞬間、マリアの体から黒い霧がふわりと抜けた。
「記録誤差、安定中。観測レベル、変動。」
仮面の観測者が現れ、静かに消えた。
「やれやれ……ようやく、取り戻したか。これが“自由”か」
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◆騎士マリアの再会
「……迷惑をかけた」
マリアは静かに頭を下げる。
「謝ることじゃないよ。選ばされたんだ、あんたも」
ヨシオは手を差し出す。
「……でもこれからは、自分で選べよ」
「……ああ、ありがとう。ヨシオ」
テナが嬉しそうに微笑んだ。
「“仲間が増えた”って感じ、悪くないにゃ」
リリィはため息まじりに、肘でヨシオの脇腹を小突いた。
「なんか、どんどんハーレムになってる気がするんだけど……?」
「そ、それは誤解だ!たぶん!」
ウケールが鍋の残りを見ながらぼそっとつぶやいた。
「……鍋、もう一回やりてぇな」
「そこかよ!!」
「面白かった!」
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