第121話『伝説の迷宮、猫耳の剣士』
ギルドで提示された新たな依頼は、こうだった。
> 『東方の封鎖された迷宮に、猫耳の剣士が現れた。
詳細不明。迷宮は過去に魔族の封印地だった記録あり。
対象の調査および、必要に応じて保護・討伐。』
「猫耳の剣士……?」
「はい。どうやら“にゃー”とか言って飛び跳ねていたらしいです」
「どういう目撃情報だそれ!?」
俺はリリィ、エリュ、ウケールとともに、現場である《シラズの迷宮》へと向かった。
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◆シラズの迷宮・入口
風が音を立て、苔むした石の回廊が続く。
「おー、ほんとに誰もいねぇな。迷宮っていうより墓場って感じだぜ……」
「ウケール、そういうこと言うなよ……」
「うにゃっ!?」
「……今、何か聞こえたな?」
「え?うにゃって……えっ、うにゃ!?」
ダッ――!
暗がりから、猫耳を生やした少女が飛び出してきた。
黒髪ボブ、腰に二本の細剣、背中には小さなマント。
見た目は可愛い――が、目つきが鋭い。
「貴様ら、誰だ!?この迷宮には近づくなって警告しただろ!」
「は?いや、初耳だが……」
「“初耳”って……猫耳だけに、なんかウマいこと言ってない!?」
「それな!」
「やめろ二人ともギャグに乗るな!」
少女は構えをとる。
「名を名乗れ!」
「……ヨシオ。ギルド所属。猫耳剣士を探しに来た」
「なら、私を追ってきたのか――“殺るしかない”!」
「ちょ、ま――」
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◆プチバトル:猫耳剣士 vs ヨシオたち
彼女は素早い。
跳ねるような身のこなしで、俺の剣を軽々とかわしていく。
「にゃにゃにゃにゃっ!これが猫流奥義!【飛燕しっぽ斬り】!」
「ネーミングどうにかならねぇの!?」
「今度こそ――【雷閃・裂】!」
俺の剣が彼女の足元を打ち抜く。
地面が砕けてバランスを崩したところに、ウケールの大槌が振り下ろされる――が、寸前でエリュが叫ぶ。
「待ってヨシオ!魔力反応が変わった!」
「え?」
少女の背中のマントが、ふわりと光った。
「こ、これは……聖遺物……?」
リリィが目を見開く。
「え?なに?この子、“勇者の眷属”とかじゃないの?」
「は?そんなわけあるか――」
「あるんだよ!」
少女が叫ぶ。
「私は《テナ》。先代勇者に拾われ、訓練された守護者。
……そして、この迷宮を守る者!」
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◆
なんと、この猫耳剣士テナは――
かつて存在した“先代勇者”の仲間だったらしい。
「……信じられねぇ……“あの勇者”、ほんとに猫耳拾ってたんだ……」
「失礼だなお前」
「でもテナちゃん、どうして今まで姿を見せなかったの?」
リリィが優しく尋ねると、彼女は少し目を伏せて言った。
「私は……みんなが消えたあと、ずっとここで“扉を守ってた”の。
この迷宮の最深部には、“先代勇者が封じた魔族の心臓”があるのよ」
「魔族の……心臓?」
「えぇ。その封印が、少しずつ緩んでる。だから、近づく者には攻撃してたの」
「じゃあ、俺たちを“敵”だと思ったわけか」
「でも、あんたたちは違う。……なんか、“似てる”」
テナは、俺の目をじっと見つめた。
「きっと、勇者もこんな目をしてた……今のあんたも、ね」
「……」
「だから、協力してくれる?封印の維持に」
俺は頷いた。
「任せろ。“壊す”より“守る”って決めたんだ。だったら、ここも守るさ」
「……ありがとう」
テナは、少しだけ笑った。
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◆
封印の魔力強化を終え、俺たちは迷宮を後にする。
「なあ、テナ」
「なに?」
「……お前も、うちの仲間にならねぇか?」
「……!」
リリィとエリュが目を見合わせる。
ウケールは腕組みしてうんうん頷いていた。
「迷ったら、俺たちが守る。だからさ。お前ももう、一人で守る必要はないんだ」
テナは、ほんの少し――泣きそうな顔で、でも笑って言った。
「……よろしく、“ヨシオ団長”」
「やめろ、なんか恥ずかしいからその呼び方!!」
「面白かった!」
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