第120話『転生して3秒で魔王に絡まれたんだが』
――俺たちは、空から地に降り立った。
アヴァロスでの出来事が幻だったかのように、青空の下、街の喧騒が戻ってくる。
「ふぅ……やっぱ、地面に足がつくって最高だな……」
ヨシオ(俺)は、ため息まじりに石畳を踏みしめた。
「空の旅は悪くなかったけど、もうしばらく浮かぶのはいいかな……」
「私はまた乗りたいけどな。空の上の魔力流は珍しいデータが多かったし」
エリュが当然のようにメモ帳に記録を取りながら歩いてくる。
「俺のバルーン船、実は今回も3回くらい爆発しかけたのに……」
「ウケール、お前はしばらく乗り物作るの禁止な」
リリィは、くすっと笑いながら俺の隣に寄る。
「でも、無事に帰ってこれてよかった。……ほんとに」
「……ああ、帰ってきたな、俺たち」
ギルドの建物が視界に入る。
この街で、俺たちはまた“いつもの場所”に戻ってきた。
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◆ギルドでの再会と報告
ギルドの扉を開けると、見知った顔が一斉にこちらを向いた。
「ヨシオ!リリィ!エリュ!……無事だったのかよぉ!」
受付嬢のミーナが泣きながら飛びついてくる。
「本部にも連絡がつかなくなってさ……てっきり、空の遺跡で……!」
「なんだよ、俺ら死んだ前提かよ!」
ギルドマスターがどっしりと構えてうなずく。
「話は聞いた。お前たちが《アヴァロス》の記録と封印を処理したってな」
「まあ、封印したっていうか、対話して選んで、ちょっと爆発もして……」
「“爆発”はいらない情報だぞヨシオ!」
「お前だよウケール!」
「とにかく、よくやった。しばらくは“休暇扱い”にしてやる。街でのんびりしてこい」
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◆
その夜、俺たちはギルド推薦の温泉宿にいた。
「ふぅぅ~~~~~……極楽……」
体中が湯に包まれる。
疲れがふわっと溶けていくようだった。
男湯にはウケールと俺だけ。
隣の湯船からは、リリィとエリュの話し声がほんのり聞こえてくる。
「……ヨシオ。お前、変わったな」
「ん?」
「なんか……前よりも“頼れる顔”になった。背負うもんが増えたからか?」
「……まあな。いろいろあったしな」
湯気の向こうで、ウケールは黙ってうなずいた。
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◆女湯
「ねぇ、エリュは……ヨシオのこと、どう思ってるの?」
「いきなりなんですか、そんなこと」
「いや、気になるじゃん?」
しばらくの沈黙。
「……私は、彼が選んだ“意志”を信じてる。それだけ」
「……そっか。私はね――もう、“好き”とかじゃないの。
一緒にいなきゃダメなの。あの人が笑ってないと、私も笑えない」
「……“感情は、論理より先に結論を出す”って、どこかで読んだことがあります」
「やだ、なにそれ、かっこいい……」
「リリィさんがそれ言います?」
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◆翌朝
「おいヨシオ!次の依頼出てたぞ!」
「早いな!?昨日帰ってきたばっかだぞ!?」
「でもこれ、ちょっと面白そうだよ。ほら、“伝説の迷宮に現れた猫耳の剣士を追え”って」
「なんだそのファンタジー濃度100%みたいな依頼は」
「エリュも興味あるんでしょ?剣士ってもしかして、“記録にない種族”かもって」
「少なくとも私の持つ文献には“猫耳剣士”なんて存在していません」
「採用!」
「軽いな!?」
「面白かった!」
「続きが気になる、続きが読みたい!」
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