第119話『意志の交差、選択の剣』
空に浮かぶ遺跡の最深部。
その中心に広がる巨大な円形ホールで、ヨシオとカイ=ゼルは、静かに剣を構えていた。
「お前はこの世界を守るという。けど――何を“守る”んだ?」
「……決まってんだろ。誰かが笑って生きられる“今日”だよ」
「理想だけじゃ、何も救えねぇよ」
「だったら――それを、力で証明する!」
――ズドン!
剣と剣がぶつかる音が空に響いた。
どちらも一歩も引かない。
いや――カイ=ゼルの動きは、“俺”と似ていて、“俺”以上に鋭い。
「こいつ……俺の“強くなり損ねた可能性”か?」
「気づいたか。そう――俺は、お前の“もしも”だ。
絶望を選び、憎しみを抱いた、お前自身」
「だからこそ、絶対に負けられねぇ!」
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◆リリィの介入
「ヨシオ、下がって!」
リリィが横から飛び出し、光の矢を放つ。
だがカイ=ゼルは、冷静にそれを跳ね返した。
「仲間か。だが所詮、支えなど弱さの象徴」
「それは違う!」
リリィの瞳が燃える。
「私は弱くない。だって、支え合うことで強くなれるって、知ってるから!」
その声に応えるように、ウケールが巨大ハンマーで地面を叩く。
「俺もいるぜ、ヨシオォォォ!!」
「お、お前はちょっと落ち着け!」
続いて、エリュが魔導装置を展開する。
「空間干渉、座標固定。照準、完了――収束雷撃・【ラグナ=ゼロ】、発射!」
ゴオォォ――!!
カイ=ゼルの右腕が吹き飛ぶ。
「っ……やるな……!」
「これが、私たちの“意志”です」
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◆ヨシオの覚醒
「終わりにしようぜ、カイ=ゼル」
「……俺たちは同じだ。何も守れなかった、ただの人間だ」
「違ぇよ。俺には、もう――“守れてるもの”があるんだよ」
ヨシオの剣が光る。
かつてリリィが渡してくれた、特製の魔法石が共鳴していた。
> ――“希望”を媒体に変換。属性:雷+光。
――発動許可:《断光剣・レムナント》
「これが……“俺”の力だァァァ!!」
光の剣が、カイ=ゼルの黒衣を裂く。
その中心――胸元に、光が突き刺さる。
「ッ……こんな、光が……俺に……!」
カイ=ゼルは、ゆっくりと崩れ――
最後に、どこか安らかな顔で微笑んだ。
「……もし、俺がお前だったら……同じ選択が、できてたかな」
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◆遺跡の応答
> 「記録更新完了。選択確定」
「意志:継続と再構築」
「循環の装置、暫定停止」
> 「この世界は、破壊ではなく“対話”によって再生される道を選んだ」
白い光が天井から差し込み、遺跡全体が静かに鳴動する。
「終わったのか……?」
「ええ。たぶん、私たちの選択が、世界に“新しい問い”を生んだ」
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◆
数日後、アヴァロスはゆっくりと上空を離れ、再び霧の彼方へと消えていった。
「帰るか、みんな」
「ヨシオ」
リリィが言う。
「私……あなたと一緒に、この先も世界を見ていきたい」
「おう。俺も、もう誰も置いてかねぇ。ずっと、隣にいろよ」
「……うん。大好き」
――空に浮かぶ遺跡は去り、
地に足をつけた、確かな未来が、また始まる。
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