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第111話『水底より来たる影、少女の記憶』

水面から這い上がるようにして現れた魔水の亡者は、明らかに“何か”の呪いを帯びていた。


その体は水と泥と魔素が混ざり合ってできており、人の形をしていながら、その目だけが――赤く、まるで“恨み”を宿しているかのように輝いていた。


「くるぞ!」

俺は剣を構え、エリュがすかさず後方に展開する。


「後衛は任せて。広範囲の干渉魔術を使う!」

「リリィは?」

「私もやれる……今回は、怖くない!」


リリィの目が燃えていた。



敵は複数体、運河の水から次々と這い上がってくる。


「《雷鎖連撃・雷鳴の盾》!」


リリィが咄嗟に前衛を守るように雷の結界を展開する。その内側から俺とウケールが飛び出す。


「おりゃああああああああああああッ!!」

「おまえ絶対バカ力タイプだろ!?」


ウケールの打撃が一体を吹き飛ばし、俺がその隙をついて首を断つ。


だが次の瞬間、残りの“亡者”たちが呻き声のような音をあげて連携攻撃をしかけてくる。


「……まるで知性があるみたいだ」

エリュが冷静に観察しながら呟く。


「もしかして……これ、かつての“人間”が変じたものかもしれない」


「じゃあ……誰かの記憶とか、感情を背負ってるのか?」


その言葉に、リリィがピクリと反応する。


「ヨシオ……!」


「……リリィ?」


「わたし……この景色、どこかで……見たことがある」


その瞬間、亡者の一体が突如とどまり、声にならない囁きを漏らす。


「リ……リィ……さま……?」


「――!?」


リリィの目が見開かれる。


その影は、かつての姿――人間の少女のような形へと変化していた。



「ヨシオ……わたし、ここにいた。ずっと昔……この都に、わたしは住んでた……!」


リリィの中に、微かに眠っていた記憶が溢れ出す。


静かな水音、家族の笑い声、小さな祠、そして――水の神に祈る、白い服の自分。


「この都は……わたしの故郷だったの……!」


その言葉に、魔水の亡者たちが一斉に動きを止めた。


「リリィ……さま……封印を……解いて……」


「封印?」


「……都を呪いから守るため、私は“何か”を祠に封じた。でも……何を?」


リリィが額を押さえて苦しむ。


「リリィ、無理に思い出さなくていい!」

俺は肩を支える。


「……ううん、思い出さなきゃ……。ここにいる人たちの苦しみを、終わらせなきゃ!」


彼女の声が、亡者たちに届いていく。


その時――


エリュが魔術陣を展開し、彼らを静かに封じるための詠唱を始める。


「《転写・穢れし記憶、静かなる水へ帰れ》」


光の環が広がり、次第に亡者たちの姿が淡く溶けていく。


彼らは最後に微笑みながら、リリィに向けて静かに頭を下げた。


そして、完全に水へと還った。



夜が明け、エルグレアの水路は何事もなかったかのように静まり返っていた。


「……ありがとな、リリィ」

「……ううん。ありがとう、ヨシオ。……一緒にいてくれて」


彼女は少しだけ涙を流した。安堵の涙だ。


エリュは近くで黙っていたが、そっとリリィの頭に手を置くと、一言だけ。


「……よくやった」


リリィは、少し照れて笑った。



「面白かった!」








「続きが気になる、続きが読みたい!」








「今後どうなるの!!」








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