第11話『叫んだら即減給!ピラミッドの沈黙ゲー厶』
筋肉認定証を手に入れた俺たちは、次なる試練の地――“叫んだら即減給!沈黙のピラミッド”へと向かっていた。
「ねぇ……どうしてピラミッドって、こんなに空気が重いの?」
リリィの言葉通り、ピラミッド内部は一面に響く無音。そして入口には、こんな注意書きが掲げられていた。
【注意:試練中に叫んだ場合、給与が1ランクダウンします】
「昇給チャレンジ中に減給ペナルティってどんな地獄だよ!」
「ふふっ……これは“静寂の神”が定めし、精神の修行……ヨシオ、がんばってくださいっ」
応援してくれてるリリィの背後から、もうひとりの旅仲間・エリュがそっと顔を出す。
「叫んだら負け……つまり、叫びたくなる仕掛けがあるということだ。例えば――」
エリュが壁のボタンを押すと、天井から巨大なぬるぬるスライムが落下。
「ぎゃあああああああああああッ!!」
――ガチャンッ。
【減給決定:現在給与ランクC → D】
「うおおおおおいぃぃぃぃい!!! スタート前に減給してどーすんだよ!!」
「残念だったわね、ヨシオ。これは“試練”……試されてるのよ、あなたの静寂力が」
不敵に笑うエリュ、完全に楽しんでやがる。
とはいえ、試練は続く。
【第1区画:封印のトラップ部屋】
踏んだら爆発する床。吊り天井。空飛ぶ毒矢。
だがこのピラミッド、恐ろしいのは“叫びたくなるタイミングの絶妙さ”だ。
「うおおおっ!? あぶっ! リリィ! 伏せ――っっ!!」
「キャッ……ふふっ、危なかったです……でも大丈夫、私、伏せるの得意なんでっ」
なんだその謎スキル。
その後も続く、数々の精神攻撃。
・突然流れる爆音ドッキリラップ(歌詞は全部“ワキ毛”) ・誰かの耳元で唐突に「ウラァ!」と囁く石像 ・階段を登るたびに、「段数カウントがズレる」精神的拷問
「うぅ……精神が削れていく……!」
だが最もやばかったのは、最深部での“静寂の番人”との対決だった。
「ようこそ……静かなる魂よ」
現れたのは、全身に鈴をまとった道化師のような男。
「我が名は《ベルゼ・ムーン》。静けさを守りしもの……ここで一音でも立てれば、お前は二段階減給となる」
「はぁ!? 今度は二段階!? 俺いまランクDなんだが!? 次Eってもう雑用じゃねーか!!」
「さあ、沈黙のゲームを始めよう」
◆ルール◆ ・相手がギャグを仕掛けてくる ・絶対に笑ってはいけない ・声を出したら減給
ギャグ一発目―― ベルゼが披露したのは、謎のフラフープダンス“チクビート回転拳”だった。
(笑っちゃダメだ……これは精神の修行……)
が、横でリリィが必死に笑いをこらえながらプルプルしている。
「うっ……ふふ……ヨ、ヨシオ、がんばって……ぷふっ……」
続いて第2のギャグ――“歌う腹話術人形(テーマ:上司の愚痴)”。
「社食のカレーが辛すぎて涙で食べる俺ォォォ!!」
(耐えろ……! 耐えるんだ、俺の精神腹筋!!)
最終ステージ、ベルゼが放ったギャグ――“くしゃみギャグ連発40連コンボ”の途中で、ついに事件が起きた。
「ぶぇっくしょおぉぉぉいッ!!!」
「それお前が叫んでんじゃん!!!」
――ピロリン。
【ベルゼ・ムーン、叫んだため昇給対象から除外】
「え、俺が失格!? なんでぇぇぇぇ!?」
「そっちが叫んだんだから当然だろうがッ!!」
こうして、ベルゼの自爆によって無事(?)試練はクリア。
【静寂耐性認定証を獲得しました】
「ヨシオ、すごいです! 次はFランクに昇給ですね!」
「え? Fって昇給してる……のか?」
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
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